image 滋賀県 丁字麩のからしあえ 800x350 - 〈 復興わがまち ご当地ごはん! 〉<br> 【第69回】<br> 滋賀県「丁字麩のからしあえ」

Photo by くにろく

文・料理:大塚 環(本紙特約ライター/防災士)

 滋賀県は日本のほぼ中央に位置し、総面積4017.38平方㎞のうち約半分の2044.64平方㎞が林野面積です(滋賀県ホームページ、以下HP 県内市町のデータ参照)。1000m級の山々に囲まれた盆地で海には面していませんが、約1/6の面積を日本最大の湖である琵琶湖が占めています。人口は140万8669人(令和4年1月1日現在)と、全国で26位です。

 彦根地方気象台によれば、滋賀県は日本海気候区(豪雪地帯・特別豪雪地帯に多い気候区)、東海気候区(温暖で夏に雨が多い)及び瀬戸内海気候区(温暖で少雨)が重なり合う地域だそうです。春や冬は降雪量が多い北部で雪崩や融雪による洪水の災害が発生しやすく、梅雨時期から夏にかけては太平洋高気圧が原因で梅雨前線が停滞し、雨が多くなります。秋には秋雨前線が停滞し、南下すると大雨になります(彦根地方気象台 滋賀県の気候参照)。また晩秋から初冬の小雨を指す「時雨」は滋賀県北部の特徴でもあり、当地では10月にも見られることがあります。

 滋賀県の年間降水量は他県と比較して多いほうではありませんが、琵琶湖には一級河川だけでも120本の川が流れ込み、大雨が降ると水害と無関係ではいられません。明治29年(1896年)の琵琶湖洪水は、9月3日~12日までの10日間で年間降水量の6割に当たる1008mmの雨が降ったために発生した水害です。琵琶湖水位は通常より3.76mも高くなり過去最高水位を記録、死者29人、行方不明5人、負傷者79人の他、住宅全壊3000戸、半壊6136戸、一部損壊2万6365戸、床上浸水3万5627棟、床下浸水2万2764棟、浸水日数は237日に及んだ大災害でした(滋賀県HP 明治29年琵琶湖洪水水害概要参照)。

 台風や豪雨による水害も発生しています。昭和9年(1934年)9月21日の室戸台風(911.64hpa)は全国で死者2702人、行方不明者334人、負傷者1万4994人、住家被害(全壊・流失・半壊・一部損壊含め)9万2740棟、床上浸水・床下浸水40万1157棟の大災害となり、滋賀県では死者47人、負傷者641人、住宅全壊681戸、半壊921戸でした(気象庁HP 台風による災害の例参照)。中でも山田尋常小学校の校舎倒壊による犠牲者が多く、児童死者17人、児童重傷15人、教員重傷2人、軽傷者122人という痛ましい記録が残っています(昭和9年室戸台風水害概要参照)。
 昭和28年(1953年)8月の多羅尾豪雨水害では、信楽町多羅尾で山津波(土石流)により44名の死者と、全破壊流出戸数が村全体の4割になる被害となりました。さらに同年の9月には昭和28年9月台風13号水害が起こり、県下の主な河川が決壊し、平野部で100~200mm、鈴鹿、比良の山間部で300~450mmの雨量を記録しました(昭和28年9月台風13号水害概要参照)。この時の人的被害は死者43人、行方不明4人、負傷者497人、住家全壊522戸、半壊1198戸、床上浸水9390棟、床下浸水2万9284棟でした。

 滋賀県ではこれらの過去の水害を教訓にし、令和4年(2022年)5月の水防協議会にて水防法第7条に基づき水害被害の軽減のための監視や連絡、通信の操作、水防のための設備整備や運用の実施大綱として「滋賀県の水防計画」を承認しました(滋賀県の水防計画参照)。

●料理名:丁字麩(ちょうじふ)のからしあえ(滋賀県)

 滋賀県のシンボルである琵琶湖。琵琶湖は四季折々に美しい景色を見せてくれますが、古くは室町時代の近江八景が有名です(滋賀県HP琵琶湖八景・近江八景参照)。近江八景とは室町時代に中国湖南省の「洞庭湖の八景」を参考にし、関白だった近衛政家が選定して浮世絵師の安藤広重が風景画に残したものです。八景とは、比良の暮雪(ひらのぼせつ)、堅田の落雁(かたたのらくがん)、唐崎の夜雨(からさきのやう)、三井の晩鐘(みいのばんしょう)、粟津の晴嵐(あわづのせいらん)、矢橋の帰帆(やばせのきはん)、瀬田の夕照(せたのせきしょう)、石山の秋月(いしやまのしゅうげつ)です。

 浮世絵には風景だけではなく舟や人も描かれています。古くから琵琶湖は水上交通の要衝でした。飛鳥時代から平安時代に建立された都城の大寺院の木材は、近江(滋賀県)で集められて琵琶湖や淀川を使い運ばれたそうです。明治2年(1869年)には大津~長浜間の蒸気船が就航し、鉄道連絡船として貨物や旅客を運んだため琵琶湖は往来する人で賑わいました。その後、大津~長浜間に鉄道が通ると、琵琶湖の舟は観光の要素が強くなり、観光遊覧船が人気となります(「水のめぐみ館アクア琵琶」HP 琵琶湖の水運参照)。

 さて、今回の滋賀県の郷土料理は「丁字麩のからしあえ」です。使用したのは滋賀県近江八幡市の「麸惣製造所」の丁字麩です。嘉永年間創業というのですから、江戸時代の近江の人々もご当地麩を使った料理を食べていたことでしょう。丁字麩のからしあえは、夏野菜のキュウリと麩を辛子酢味噌であえた料理です。レシピは農林水産省のうちの郷土料理 丁字麩のからしあえを参考にしました。

滋賀県 丁字麩のからしあえ - 〈 復興わがまち ご当地ごはん! 〉<br> 【第69回】<br> 滋賀県「丁字麩のからしあえ」
滋賀県 丁字麩のからしあえ

★暑さ忘れる、さわやかな夏の味

 丁字麩を買いに、滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」に行ってきました! 滋賀県の名物である食べ物や伝統工芸品、そして近江牛の精肉販売コーナーに日本酒と、美味しいものやここでしか買えないものがたくさんありました。楽しかったのは店内にある日本酒バー「SHIGA’s BAR」です。さっそく滋賀の地酒8種類の中から3種を選ぶ「地酒3種飲み比べ」に挑戦しました。おつまみは沖島のえびせんをチョイス。樽の香りが強い酒、古酒のような香りの酒、さわやかで華やかな風味の酒と、お酒に個性があって面白かったです。帰りには松の司(純米酒)の四合瓶を家族へのお土産に買いました。

 さて、家に帰り丁字麩を使い調理開始です。味噌は自家製味噌、キュウリは庭でとれたわが家のキュウリで作りました。丁字麩をぬるま湯に10分ほど漬けて絞り、3等分に切ります。輪切りキュウリは塩でもみ、軽く水で流してよく水切りをします。辛子、酢、味噌、砂糖、すり白ゴマであえて出来上がり。夏場は冷やして食べると美味しいかも。冷酒にも合います。ぜひ滋賀県の地酒とともに味わってみてください。

〈2022. 08. 07.〉

 

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