「防災と福祉をもっと身近なものに」
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「静岡県立大学KOKULABOフューチャーセンター」(主催=静岡県立大学経営情報学部 国保祥子研究室)が去る7月22日、学生や防災に関心のある人などの参加を募ってオンライン(zoom)ミーティングを開催、11人が参加した。
「フューチャーセンター(Future Center)」とは、企業、政府、自治体など様々な立場の参加者が、課題解決やイノベーションの創造といった目的を未来思考で対話を行うための場のこと(発祥は欧州とされている)。一般に研修スペースや学習スペース、ミーティングスペースなどの施設を指し、そのなかで行われるセッションは「フューチャーセッション(future session)」と呼ばれる。わが国でもこうしたフューチャーセンターの活動の輪が、教育機関や企業間で広がっている。
KOKULABO(KOKUBO:国保祥子・静岡県立大学経営情報学部経営情報学科准教授)+LABORATORY:研究室からの造語)は、静岡県立大学学生運営によるフューチャーセンターを日本で最初に設立した。複雑化している地域社会の問題に対して、様々な立場、年代の参加者が対話することで新たな価値観の創造を行うワークショップで、「未来思考」「多様性」「対話」の3つを大切にしている。
本紙特約リポーター・片岡幸壱(防災士/本項をリポート)はKOKULABOフューチャーセンターで「アジェンダオーナー」(セッションテーマを持ち込んだ相談者)となって、国保ゼミの学生たちと、準備から開催日まで約1カ月半・6回のzoomミーティングを設けて内容を深掘りし、開催に至った。
■セッション――防災・福祉のイメージは?
『「防災・福祉」と聞いてどんなイメージが浮かぶ?』では、過去に経験した防災・福祉活動ではどんなことがあったか、それについての印象・体験を話し合った。経験談のなかには、「マイナスイメージがある」、「身近な体験ではない」、だからこそ「実際に体験すると印象に残る」など、率直な感想も聞かれた。
『「こんな防災や福祉のイベントだったら参加したい!」と思えるイベントってどんなもの?』では、どんなイベントだったら興味を持って参加するのかを考えるセッション。「ゲーム式で消火器を使ってどちらが先に消えるか競う」、「60年後の自分を体験」、「景品が貰える」などのアイデアが出た。
■今後のフューチャーセンター
ミーティングを主催した国保ゼミ生の岡村亜美さん(静岡県立大学経営情報学部4回生)は「どちらも身近なことだが、普段それらについて考える機会が減っていると気づいた。改めて、自分事として考えなければいけないと感じた。また、自分が認識していないだけで、防災・福祉に関するイベントが多く行われているのを知ることができた」と語った。
高井可奈さん(静岡県立大学経営情報学部4回生)は「今の自分に身近なものとして捉えていなかった。イベントアイデアのセッションでは、参加したくなるような案が多く出て、私と同じような初心者も防災・福祉を楽しみながら学ぶことができると思った。今後はこうしたイベントへの参加や、防災・福祉への意識を高めて貰えるように声かけをするなど、具体的な行動に移していきたい」と感想を述べた。
アジェンダオーナーの片岡は「ミーティングを通して学生さんと対話することでお互いの学びが多かった。おもしろそうな体験・内容のアイデアが出てよかった」とし、今後のフューチャーセンターにおいて『「平等な立場」「未来志向」「よく聴く、よく話す」』を意識した対話から、「防災・福祉」への様々な意見・アイデアが活用されていくことを期待したい」と総括した。
※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・静岡県立大学KOKULABOフューチャーセンター
・KOKULABOのFacebook
・「防災と福祉をもっと身近なものに」イベント案内Facebook