国土交通省資料「近年における自然災害の発生状況」より

 国土交通省は、近年の水災害の激甚化や水災害リスクの増大を踏まえ、水災害に対するリスクの評価および防災、減災の方向性について検討するため、専門家、有識者からなる「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会(座長:中井検裕東京工業大学教授)を本年(2020年)1月8日に設置した。同検討会は4回の会合を経て去る7月16日、「水災害対策とまちづくりの連携のあり方提言(案)」と「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン骨子(案)」をとりまとめ公表した……

 元内閣府防災担当、JVOAD代表など有志チームが制作 TBWA HAKUHODO(東京都港区)とFUKKO DESIGN(東京都渋谷区)は、新型コロナウイルスの感染が広がるなかで大雨や台風による自然災害が起きた際に、一般の人びとがどのような行動をすべきかをまとめた『コロナ禍でもすぐできる! 大雨&台風への備え2020年版』を発表した……

滋賀県の「耐水化建築ガイドライン」より、「家屋水没に対する耐水化対策(2階建て)」の例

 日本建築学会が去る6月29日、「激甚化する水害への建築分野の取り組むべき課題~戸建て住宅を中心として~」と題する提言を発表した。
 近年急増する気候災害が都市活動や生活の脅威となってきていることから、同学会として、水害に絞って検討と議論を重ね、従来の建築の耐震性能、防火性能、耐風性能、耐雪性能、断熱性能などに並ぶものとしての「耐水性能」の確立に向けて、取り組むべき喫緊の課題をまとめた……

 7月上旬からの梅雨前線による大雨で列島各地は大きな水害に見舞われ、気象庁はこの災害を「2020(令和2)年7月豪雨」と命名した。7月末になってようやく梅雨明けの兆候が明らかになってきたが、8月以降はゲリラ豪雨をはじめ、台風シーズンを迎える。
 水害は河川の氾濫、土砂災害などによる人的被害、建物の損壊はもとより、水害の直接被害に続いて、「目に見えない被害」と呼ばれる「後片づけ時の感染症対策、衛生対策」が大きな課題となる……

「2040年、道路の景色が変わる」より「店舗(サービス)の移動」イメージ

 国土交通省はこのところ、「ウォーカブルなまちづくり(居心地が良く歩きたくなるまちなか)」(本紙既報)など、それこそ“クオリティ・オブ・ライフ(”高い民度)を追求する方向性に転換(?)したかのような政策が打ち出されている。
 その一連の動きとして去る6月18日、社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会の提言として、道路政策ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」を大臣に手交した……

防災士研修会場の大ホールで開講

 東日本大震災をはじめ豪雨、土砂災害などの自然災害を教訓とした防災教育の整備など、各地で震災経験を活かした防災訓練等に取り組む動きが本格化している。2016(平成28)年8月に台風10号による豪雨災害を受けた岩手県岩泉町では、豪雨災害の教訓から防災士養成等を通した住民の防災意識を高める取り組みを行っている。
 岩手県沿岸では宮古市、大槌町、釜石市に続き防災士養成を実施した同町では……

川村匡由・著『防災福祉先進国・スイス 災害列島・日本の歩むべき道』の表紙

 著者は武蔵野大学名誉教授で、専門は社会保障・地域福祉・防災福祉。同書のキャッチコピーには「スイスの危機管理に学ぼう、核シェルターで半年間、在宅避難」とあり、コロナ・ショック、首都直下・南海トラフ地震の脅威にさらされる日本での防災福祉コミュニティづくりの道すじを示すとしている。
 スイスの災害対策と言ってもピンと来ないかもしれない……

国土交通省資料より「2018年7月豪雨/広島県安芸郡坂町小屋浦の土砂災害」

 国土交通省は去る7月6日、新たに「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」を立ち上げた。ここ数年来、2016年熊本地震、2018年7月豪雨、2019年房総半島台風・東日本台風など、気候変動の影響などにより激甚な災害が頻発している状況について、「災害から国民の命と暮らしを守るためには、これまでの教訓や検証を踏まえ、抜本的かつ総合的な防災・減災対策が必要」として、国土交通省の総力をあげて、抜本的かつ総合的な防災・減災対策の確立をめざす、としている……