生涯学習課から地震防災課へ異動の課長さんのアイデア
「防災は“生涯学習”のインフラ」、婚活とも結びつく
●「災害を一緒に乗り越えていくパートナーを探そう！」
高知県四万十市は、高知県の西南部に位置し、周囲には四万十川があり南東部は太平洋に面していて、自然公園が多くあり、観光的な資源に恵まれた自然豊かな地域。そんな住みやすい環境の四万十市でも、少子高齢化の波がじわりと押し寄せていることから、市としても、子育て支援や介護支援など福祉行政にも取り組んでいて、市主催のカップリングパーティ（婚活パーティ）も積極的に行われている。
そんな四万十市の地震防災課が先ごろ（10月24日）、市主催のカップリングパーティと連携して、ユニークな婚活イベントを試みた。そのイベントに付されたタイトルは「BOUSAI de 縁結び（防災婚活）」――そのうたい文句は、「災害を一緒に乗り越えていくパートナーを探しませんか？」というもの。
初めての防災婚活イベントには、市内外から男女20名が参加（募集要件は定員・男女各10名、年齢25～45歳程度、参加無料）。災害食を提供する市内のカフェでの試食や津波避難タワーの見学などを通して交流、気になる異性との距離を縮めた。
●部署、垣根を超えて「防災インフラ」で連携
高知新聞によると、このイベントを発案したのは四万十市地震防災課の山本 聡課長。生涯学習課にいたときに企画したスポーツと婚活を組み合わせたイベントが好評だったことから、防災部署へ異動したことを機に、防災テーマでも企画したという。
市役所の防災対策室に集まった参加者男女は「カップルでドライブ中に地震が起きたら」、「レストランで食事中だったら？」など、状況別の行動を考えるワークショップに参加、自然と会話が弾んだとのこと。結果的にカップル2組が成立、参加者からは「防災の学びもあるので、純粋な婚活イベントより参加しやすかった」、「災害食は思ったよりおいしい。知識も得られ、楽しかった」などの感想があったという。
市行政の生涯学習課というと、社会教育、生涯スポーツ普及、芸術文化振興、読書活動推進など広い分野にかかわるが、いずれも「防災は“生涯学習”のインフラ」で、婚活とも結びつく。四万十市地震防災課は、防災士養成講座の開催をはじめ、市民の防災意識向上と実践的な地域防災力の向上に向けていろいろな試みを行っている。
自然豊かな地でありながら、近年頻発する大雨災害や南海トラフ巨大地震など大規模災害への備えと合わせて、安心して子育てできる地域づくりに取り組み、支え合いのコミュニティづくりの基盤にしようという「防災婚活」の試みは、全国各地の地域防災活動でも、分野横断・連携の参考になるのではないだろうか。
高知県四万十市：BOUSAI de 縁結び（防災婚活）の開催について
〈2021. 11. 15. by Bosai Plus〉