ひとたび災害が起こって避難するとして、その生活場所は応急的に「床」となる。一般的にそこは、固く、冷たく、不衛生でもある。要支援者はハンディキャップがあるので立ち上がりが困難な人が多い。トイレの回数を我慢するために水分摂取を減らして脱水症状が出る人や、体勢が変えられず褥瘡(じゅくそう=床ずれ)ができたり、エコノミークラス症候群を発症する人もいて、東日本大震災では、要支援者の「災害関連死」は、総死者数の2割を占めた……

令和防災研究所-第3回シンポジウム-1

 一般社団法人令和防災研究所(所長:青山 佾(やすし)・明治大学名誉教授)による第3回シンポジウム「これからの地域防災の知恵~『温故創新』」が去る9月23日、リアル会場(申込み先着50名限定)を御茶ノ水ソラシティとして、またYouTubeオンライン・ライブ配信により開催された。同シンポジウム開催趣旨は、「気候変動による激甚化、頻発化する水害、切迫する巨大地震に対し『温故創新』の発想が必要な時代」とし、「都市が自然の外力に対して劣勢になる時代が到来しつつある」ことから、ここで「いまいちど先人が培った知恵を発掘し、『温故』として学び直すことが重要」としている……

 防災士研修センターは「防災士制度」発足以来、全国各地で年間80回以上の研修を実施し、自治体や企業。個人でご参加された多くの受講生から高い評価と信頼を頂いております。防災士研修受講修了者のうち、約半数の方が当センターの研修を受講されています……

防災マニュアルの使い方・利用シーン

 訪問保育の勉強会・交流会、ベビーシッターなど訪問保育に関わるコミュニティ運営、情報発信、調査研究を事業とする特定非営利活動法人日本ホームチャイルドケア協会(東京都渋谷区)は、近年毎年、全国各地で豪雨や台風、地震などの甚大な自然災害が起きていることから、いざというときに訪問保育者が災害対応について判断・行動できる「訪問保育者向け防災マニュアル」をこのほど発売開始した……

槍ヶ岳、涸沢カール、国営アルプスあづみの公園(安曇野市)位置図(Google-mapより)-1

 大地を揺らす地震は山岳地帯も揺らすという大自然の鳴動のリアリティを実感させる地震が先ごろ起こった。地震が起きたのは9月19日午後5時18分、岐阜県高山市で震度4を観測したが、長野県大町市の北アルプス・槍ヶ岳(3180m)山頂直下の槍ケ岳山荘に設置された地震計が震度5弱を記録したという。
 この地震の影響で、北鎌尾根で落石が発生し、登山者の男女7人から「身動きできなくなった」などと救助要請があり……

房総沖の巨大地震(地震調査委員会による分類より一部トリミング)

 国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」)の研究者グループが、千葉県九十九里浜沿岸で、歴史上知られていない津波の痕跡を発見、それが約1000年前に、房総半島沖で発生したマグニチュード(M)8級の巨大地震によるものとの結論を得たと発表した。同論文は科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された……

介護施設に防災リーダー

 2020年7月の熊本豪雨で熊本県を流れる球磨川水系で氾濫が発生し、球磨村の特別養護老人ホーム(以下、「特養」)「千寿園」では、水没した施設で入所者14人が犠牲となった。千寿園のある球磨村渡地区では浸水の深さが最大9mに達したとみられている。これを受けて厚生労働省などが同年、全国の特養を対象に実施した災害時の対応について調査、多くの施設で災害時の対応担当を置いているにもかかわらず防災知識が十分に普及していない可能性があることがわかった……

伊藤和明「平成の地震・火山災害」(イメージカット)

 元NHK解説委員で中央防災会議専門調査会座長・委員などを歴任、市民の防災啓発や防災士育成・指導で知られる伊藤和明氏による最新書下ろし『平成の地震・火山災害』(近代消防新書、定価・税共990円)がこのほど刊行された。
 同書冒頭「はじめに」で「元号が『平成』に変わったのは、1989年の1月、それから約30年続いてきた平成の時代も、さまざまな自然災害が日本列島を席巻……

日本防災士会県支部とNHKとの協定締結状況

 「災害時応援協定」という言葉をよく聞く。一般的には、阪神・淡路大震災や東日本大震災大規模災害のような大規模な災害が発生したとき、いわゆる「公助」による対応には限界があることから、自治体が被災自治体となることを事前に想定して、物資の供給、医療救護活動、緊急輸送活動などの各種応急復旧活動について、民間事業者や関係機関・団体との間で応援協定を締結し、応急復旧活動にあたろうというものだ……

 京都大学防災研究所・西村卓也准教授(測地学・地殻変動論)がこのほど、GPS(GNSS *後述)の観測データから、内陸地震を引き起こす「ひずみ」がどの程度蓄積しているのか分析、西日本での大地震の発生確率を算出し、NHKニュース(文末にリンク)と9月12日放送のNHKスペシャル「MEGAQUAKE 巨大地震 2021」がその詳細を伝えた。
 西村准教授の分析結果によると、活断層の分布調査に基づいて同じ地域区分で算出した政府の地震調査委員会の発生確率と比べてGPS推定では、発生確率が2倍以上高くなる……

 国連の専門機関、世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)が8月31日、報告書を発表し、1970~2019年の50年間で気候変動や異常気象、または水の危険に関連する災害などを背景に、干ばつや洪水といった気象災害が5倍に増えたと警告。この間に報告された1万1000件を超える気象災害で200万人以上が死亡し、経済的な損失は3兆6400億ドル(約400兆円)にのぼった……

自然災害に対するリスク指標-GNS(2017年度版より)

 地盤工学会関東支部の研究委員会グループ(委員長:伊藤和也)が、自然災害に対する安全性指標「GNS(Gross National Safety for natural disasters)」の開発を進めている。経済分野で用いられるGDP(国内総生産)やGNP(国民総生産)、国民の幸福量指標であるGNH(Gross National Happiness *ブータンが提唱)のような統一指標を自然災害への防災減災対策にも適用しようというもので、都道府県レベルのGNSを、2015年、2017年に公表。また、2019年には、市町村レベルのGNSについて関東地方をとりまとめた……