“レベル5=避難”情報の混乱を受けて 警報文改善

桜島大正噴火を想起させた7月24日の桜島「噴火警戒レベル5」
 ⇒大規模噴火の兆候の有無を明記へ

 7月24日20時05分、桜島で爆発が発生、気象庁は20時22分、桜島について「噴火速報」を発表、同50分に桜島の「噴火警戒レベル」を「3」から「5(避難)」に引き上げた。気象庁発表によれば、「弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から約2.5kmまで達し、桜島の火山活動は非常に活発化している。南岳山頂火口及び昭和火口から概ね3km以内の居住地域(鹿児島市有村町及び古里町の一部)では、大きな噴石に厳重な警戒(避難等の対応)が必要」――
 そして「風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るため注意。爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれ。また、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり留意」とのことだった――

P4 2 「桜島 警戒が必要な範囲」(気象庁資料より) - 桜島 噴火警報文の改善
「桜島 警戒が必要な範囲」(気象庁資料より)

 本紙は本年8月3日付けで、「桜島 不意の噴火情報―警戒レベル5」と題し、「大正桜島噴火を想起―『レベル5』の基準は『重大な被害をもたらすおそれ』―『レベル5』判断は、噴石飛散の範囲で決定か」と、疑問符を匂わせる伝え方をした。
 この7月の桜島噴火レベル情報の発表は、気象庁判断では当初から1914年「大正噴火」クラスの大規模噴火の恐れはなかったものの、噴石の一つがレベル引き上げの基準となる2.4kmを超えて飛んだことが確認されたことから引き上げとなったという。
 しかし、「レベル5」の受け止めについて、地元・鹿児島市では市民にも混乱があり、「どの程度の爆発か分からない」、「広域で避難するべきか」といった問い合わせが相次いだという。その後、市議会でも「対象地域がわからず、市民は困惑した」などとの議論もなされた。

 これを受けて福岡管区気象台は11月22日、桜島の噴火警報文について今後、桜島の噴火警報(噴火警戒レベル5、4)について、「大規模噴火の兆候の有無」を明記することで、噴火の影響が及ぶ範囲をよりわかりやすくするよう、噴火警報文の改善を行う」と表明した。
 それによると、「噴火警報は周辺に危険が及ぶ恐れがある時に発表。気象庁ホームページで確認できるようにする。従来の警報文に「大正噴火クラスの大規模噴火の発生が切迫」「大規模噴火が発生する兆候は認められない」との文を追記する」など。市は避難情報を出す際、こうした文言を加える予定だ。

P4 1 桜島噴火警報(噴火警戒レベル5)における警報文例(気象庁資料より) - 桜島 噴火警報文の改善

気象庁:桜島の噴火警報文の改善について(福岡管区気象台)

〈2022. 12. 01. by Bosai Plus

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