小生は社会保障の研究者である半面、山岳紀行家でもあり、これまで『ふるさと富士百名山』(山と渓谷社、1996年)などの出版のほか、『岳人』(東京新聞出版局:現ネイチュアエンタープライズ社)に寄稿したり、講演を依頼されたりしている。このような趣味が高じ、30年前、軽井沢に山荘を持ち、周辺の低山をトレッキングする一方、槍・穂高連峰などはもとより、ハワイやニュージーランド、マチュピチュも訪れるようになった。
 なかでもあこがれはスイス・アルプスで、毎年のように出かけているが、そこで気づいたのは自然の景観美だけでなく、気候の厳しい山岳部での都市部に負けない有事と災害対策だった……

 先の台風10号では、気象庁が進路予報段階から特別警報発令の可能性に触れ、最大級の警戒を呼びかけた背景もあり、また新型コロナウイルスへの懸念もあったことから、事前に避難を試みる人のなかには堅牢な建物で浸水のおそれがないホテルなどに分散避難する人が相次いだという。当然、自治体の指定避難所ではないので有料での宿泊となるが、プライバシーが確保され、基本的なホテルサービスが受けられることから、台風避難としてはある意味当然の選択だろう……

 直近の報道の見出しに「縦割りの弊害なくし利水ダムも洪水対策に活用へ官房長官」(NHKニュース、8月12日付け)とあった。「国が管理する水系にあるおよそ900のダムは縦割りの弊害をなくし、洪水対策に使えるよう見直した」というもので、ダムが用途に応じて所管する省庁が異なり、治水用のダムは国土交通省、発電用は通商産業省、農業用水用は農林水産省とそれぞれ別の省庁が所管することでの防災上の弊害(2019年台風19号での緊急放流を例に)を是正するというものだ……

 一般社団法人日本損害保険協会は、日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」および2000万人以上の利用者数を擁するアプリ「Yahoo! 防災速報」と連携して、「損害保険に関する受付窓口」のページを開設した。
 同ページはアプリ内の防災手帳(災害発生時に適切な行動ができるように、防災関連の情報をまとめた機能)に“災害時の知恵”として掲載しており……

 国土交通省は、近年の水災害の激甚化や水災害リスクの増大を踏まえ、水災害に対するリスクの評価および防災、減災の方向性について検討するため、専門家、有識者からなる「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会(座長:中井検裕東京工業大学教授)を本年(2020年)1月8日に設置した。同検討会は4回の会合を経て去る7月16日、「水災害対策とまちづくりの連携のあり方提言(案)」と「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン骨子(案)」をとりまとめ公表した……

 日本建築学会が去る6月29日、「激甚化する水害への建築分野の取り組むべき課題~戸建て住宅を中心として~」と題する提言を発表した。
 近年急増する気候災害が都市活動や生活の脅威となってきていることから、同学会として、水害に絞って検討と議論を重ね、従来の建築の耐震性能、防火性能、耐風性能、耐雪性能、断熱性能などに並ぶものとしての「耐水性能」の確立に向けて、取り組むべき喫緊の課題をまとめた……

 国土交通省はこのところ、「ウォーカブルなまちづくり(居心地が良く歩きたくなるまちなか)」(本紙既報)など、それこそ“クオリティ・オブ・ライフ(”高い民度)を追求する方向性に転換(?)したかのような政策が打ち出されている。
 その一連の動きとして去る6月18日、社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会の提言として、道路政策ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」を大臣に手交した……

 国土交通省は去る7月6日、新たに「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」を立ち上げた。ここ数年来、2016年熊本地震、2018年7月豪雨、2019年房総半島台風・東日本台風など、気候変動の影響などにより激甚な災害が頻発している状況について、「災害から国民の命と暮らしを守るためには、これまでの教訓や検証を踏まえ、抜本的かつ総合的な防災・減災対策が必要」として、国土交通省の総力をあげて、抜本的かつ総合的な防災・減災対策の確立をめざす、としている……

 「タイムライン(防災行動計画)」とは、台風や大雨の水害などで想定される災害に対し、事前に防災関係機関が連携して状況を予め想定・共有したうえで、「いつ」、「誰が」、「なにをするか」を明確にして、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画である。
 2012年に米国ニューヨーク市を襲ったハリケーン・サンディの際、被災した自治体が住民避難対策で「タイムライン」を適用して被害を最小限にとどめたことから注目され……


 自然災害に強いまちづくりを目指す改正都市再生特別措置法が去る6月3日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。近年の相次ぐ風水害で甚大な被害が発生しているが、そもそも浸水想定地域に住宅が増えているという現実があり、抜本的な対策が望まれている。
 同法は、津波や土砂災害の危険度が高い区域に建物を新設する際の規制を強化するほか、市町村がコンパクトなまちづくりに向けた計画を定める際、居住を促す居住誘導区域の中に「防災指針」を策定する制度も創設しようというもので、事前防災を織り込んだまちづくりを志向することから注目されるところだ……