自治体等が作製する水害等ハザードマップ(「防災マップ」とも)には、洪水・内水・高潮・津波・土砂災害の種類があり、一般的には「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」という定義だ。その情報は、災害時の住民における安全確保に役立つことが期待され、住民すべてに向けて(障害のある人たちにも等しく)提供されることが基本であることは言うまでもない……

 7月24日20時05分、桜島で爆発が発生、気象庁は20時22分、桜島について「噴火速報」を発表、同50分に桜島の「噴火警戒レベル」を「3」から「5(避難)」に引き上げた。気象庁発表によれば、「弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から約2.5kmまで達し、桜島の火山活動は非常に活発化……


 早稲田大学理工学術院の関根正人教授をはじめとする東京大学、リモート・センシング技術センターなどの研究グループは去る9月6日、2019年に開発し、社会実装に向けて準備を進めてきた東京都23区で発生する都市浸水をリアルタイムで予測するシステム「S-uiPS」(スイプス。Sekine’s urban inundation Prediction System)を、本年9月下旬から一般公開すると発表。一般公開に先立ち、ユーザーを限定した3週間ほどの先行公開期間を設けることとし、防災の日である同9月1日より開始した……

 株式会社ナビタイムジャパン(東京都港区)が、カーナビアプリ『カーナビタイム』で、「冠水注意地点」と「ハザードマップ」の提供を開始した。『カーナビタイム』では、2021年8月から、走行中に、降雨状況を考慮して、ルート上の冠水注意地点に近づくと音声で注意喚起……


 大雨による浸水被害が頻発するなか、迅速な災害対応や地域への情報発信を行うため、堤防における越水や決壊などの状況や、周辺地域における浸水の状況を速やかに把握することが求められている。また、流域内で活動を行う各種企業・事業体などにおいても、店舗や事業施設の適切な管理、住居や車両の浸水被害への保険金支払いなど、災害後の対応の迅速化などのため、浸水の状況を容易に把握する仕組みへのニーズが高まっている……

 大雨災害報道でよく目にするのが、車の水没だ。被害を視覚的に理解できる映像なのだが、大雨予報が出ているときに、なぜハザードマップをチェックして、車を水没から予防的に避難させないのか、常々疑問に思っていた。
 そこで本紙は、本年7月1日付け「車中泊避難」記事で「豊田市の一時車両退避場所」を紹介した……

 広島県では、公共土木施設等に関するあらゆる情報を一元化・オープンデータ化し、外部システムとのデータ連携を可能とするインフラマネジメント基盤「DoboX(ドボックス)」を6月28日から運用開始している。DoboXでは、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの災害リスク情報や、公共土木施設等の情報を、3Dマップや地図上で確認することができる。また、これまで行政内部で利用していた情報をオープンデータ化することで、県民や民間企業、研究機関など、誰でも利用することが可能となる……

 NHKニュースは去る6月3日、出水期を迎え、気象庁による線状降水帯予報が始まることにあわせ、「浸水リスク地域で増える住宅~一体何が…」という特集記事を打った。この特集は、毎年水害による犠牲者が出ている日本で、浸水リスクがある地域で人口が増えているというもので、背景に、農地が宅地に変わるなかで自治体による「規制緩和」があるというものだ。つまり、かつては水田が広がっていた地域に、いまは全国各地で多くの住宅が建ち並んでいるが、そうした地域の多くは「市街化調整区域」と呼ばれる場所だ……

 宮城県が、「津波防災地域づくりに関する法律」(以下、「津波防災地域づくり法」)に基づいて沿岸15市町の新たな「津波浸水想定図」を作成し、5月10日公表した。最大級の津波が満潮時などの最悪の条件で襲来した場合を想定したもので、浸水する面積は東日本大震災のおよそ1.2倍にのぼり、震災後に整備された住宅地や避難所、市役所や町役場も浸水区域に含まれることから、津波対策を大幅に見直す地域も出てきそうだ……

 「津波避難タワー」「津波避難ビル」とは、津波浸水が想定される地域において、地震発生時に住民が一時的、または緊急に避難・退避するための人工施設を言う。これら施設の整備は、内閣府が2005年に策定した「津波避難ビル等に係るガイドライン」に沿って進められ、2011年の東日本大震災の発生を受け、「津波防災地域づくりに関する法律」によって津波防災対策が制度化され、現在に至っている……

 東京海上日動火災保険株式会社と応用地質株式会社、株式会社Tengun-labelが、台風や集中豪雨などによる浸水被害の可視化・即時把握につながる「3D仮想都市浸水シミュレーションモデル」を開発した。今後さらに同モデルを高度化することで、全国各地の自治体向けに、防災計画や浸水対策、また被災後の活動支援につながる防災・減災サービスを提供することをめざす……

 株式会社日経BP(東京都港区)が、書籍『私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか』を発行した。そのサブタイトルには「自然災害が突き付けるニッポンの超難問」とある。こうしたタイトルは刺激的ではあるが、むしろ“覚醒的”と言っていいだろう。
 本紙もこれまで、災害リスクのある地域での都市化・人口増を問題視してきたが、防災白書冒頭に記載されているように、もともと、日本は台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土であり、日本の立地そのものが“いつでも危険となり得る場所”であることは言うまでもない……