株式会社日経BP(東京都港区)が、書籍『私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか』を発行した。そのサブタイトルには「自然災害が突き付けるニッポンの超難問」とある。こうしたタイトルは刺激的ではあるが、むしろ“覚醒的”と言っていいだろう。
 本紙もこれまで、災害リスクのある地域での都市化・人口増を問題視してきたが、防災白書冒頭に記載されているように、もともと、日本は台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土であり、日本の立地そのものが“いつでも危険となり得る場所”であることは言うまでもない……

 国土交通省が2020年度に立ち上げた事業「Project PLATEAU」では2020年度に44件のユースケースの開発を行った。公式ウェブサイトではブラウザ上でプレビューできる「PLATEAU VIEW」を公開中で、ユースケースもこの中で閲覧可能。2020年度開発ユースケースである全国48都市の洪水浸水想定区域の3D表示モデルも実装されており、津波浸水想定の3D表示モデル、土砂災害警戒区域の2D表示モデルとあわせて表示することができる……

 「タイムライン(防災行動計画)」とは、台風や大雨の水害などで想定される災害に対し、事前に防災関係機関が連携して状況を予め想定・共有したうえで、「いつ」、「誰が」、「なにをするか」を明確化し、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画だ。2012年に米国ニューヨーク市を襲ったハリケーン・サンディの際、被災した自治体が住民避難対策で「タイムライン」を適用して被害を最小限にとどめたことから注目され、日本でも2016年に国土交通省が指針をまとめ、普及が進んでいる……

 本紙はこれまで、山梨大学の秦(はだ)康範・准教授(地域防災)が2018年10月に日本災害情報学会で発表した調査研究結果「全国ならびに都道府県別の浸水想定区域内人口の推移」を何度か取り上げてきた。
 秦氏の調査研究は、災害リスクの高い地域として浸水想定区域内の人口に着目したもので、その推移について社会的な背景とともに考察。国や都道府県が指定した全国の河川の洪水による浸水想定区域に住んでいる人は、2015年時点で約3540万人にのぼり、20年前の1995年と比べて4.4%増えていること、また、世帯数では約1530万世帯で、24.9%と大幅に増えたことを明らかにした……

 不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」などの情報サービスを提供する株式会社LIFULL(ライフル/東京都千代田区)が、不動産ポータルサイトで初となる『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』を「新築一戸建て物件詳細」に追加した。新機能はLIFULL HOME’Sサイトの「新築一戸建て物件」を対象に、スマートフォンで利用できる……


 7月3日午前、静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区で大規模な土砂崩れが発生し、約130軒の住宅や車が土砂に流され、土石流は相模湾にまで達した。これまでに11人の死亡が確認され(7月14日現在)、まだ17人の安否が分かっていないという。被害を受けたまち(住宅など)は、「土石流危険渓流」沿いにあった――
 土石流は断続的に発生し、標高400mの起点から約2kmにわたり流れ下ったとされる。土砂は約5万5500立方mにのぼると推定。流れ落ちた土石流のほとんどが、起点付近の盛り土だった可能性があるとして検証が進められている……

 文部科学省は、近年、学校において水害・土砂災害の甚大な被害が発生していることから、浸水想定区域および土砂災害警戒区域に立地する公立学校(幼稚園、こども園、小中学校、高校、特別支援学校など公立の計3万7374校)を対象に、ソフト面(避難確保計画の作成状況や避難訓練の実施状況等)やハード面(学校施設内や受変電設備の浸水対策等)の対策状況について調査を実施、去る6月8日、2020年10月時点の調査結果としてとりまとめ公表した……


 静岡県・山梨県・神奈川県の各行政機関や警察、消防、国の関係機関等で構成する「富士山火山防災対策協議会」(委員長:藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所所長)は去る3月26日、富士山噴火時のハザードマップを改定し公表した。従来版は国が2004年に策定したもので、今回の改定は17年ぶりとなる……


 国土交通省は、東日本大震災を教訓に、道路の高架区間などを津波や洪水時の緊急避難場所として活用する取組みを進めている。昨年(2020年)とりまとめた「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」の一環として、この取組みを一層推進するため、昨年9月、津波・洪水の浸水想定より高い道路区間を下記のように抽出した。
 今後、抽出区間の詳細を該当市区町村に情報提供するとともに、緊急避難場所として活用するニーズがある箇所について、避難施設等の整備に向けて各市区町村と調整しているところだ……


 国土交通省はこのほど、「総力戦で挑む防災・ 減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」の取組みの一環として、中長期的な視点で災害リスクに対する適切な土地利用を検討するため、都道府県別の災害リスクエリア内の人口(2015年〜2050年)の推移を分析し、公表した……