以前本紙は、「”借家住まい”の防災環境」をテーマに特別企画を打った。その趣旨は、3大都市圏のいずれにおいても大規模水害、大規模地震の発生が懸念され、都市部の膨大な「借家居住者」の災害脆弱性が浮上しているいっぽうで、全国的にも浸水想定区域に住んでいる人は、2015年時点で約3540万人にのぼり、20年前の1995年と比べて4.4%増え、また世帯数では約1530万世帯で、24.9%と大幅に増えたいるという……


 近年、豪雨災害が各地で発生している現状を踏まえ、都はこのほど(3月25日から)、浸水予想区域図が示す「浸水リスク」を地図や住所から検索できるサービスを開始している。自宅や職場などの「浸水リスク」を事前に確認して、「洪水時の避難計画の立案」(マイ・タイムラインの作成など)や「水害に強い生活様式の工夫」などに役立ててほしいとしている……

 日常性に潜む災害リスクが突然、露出した。2020年2月5日午前7時58分、神奈川県逗子市池子2丁目に建つマンション「ライオンズグローベル逗子の丘」の東側斜面が崩壊、側面の市道を通学のために歩いていた18歳の女子高校生が土砂に巻き込まれて死亡した。崩落した土砂量は約68t。この斜面は逗子市が、土砂災害警戒区域に指定していた……

 本紙は11月2日付け「広域同時多発水害に どう備えるか」でカット図版で国土地理院資料「利根川水系(鹿島川・高崎川)佐倉市周辺の浸水推定段彩図」を取り上げたが、この「浸水推定段彩図」がその後、避難の判断や救助にも役立つと、関係各方面やマスメディアで話題だ……

 酪農学園大学(北海道江別市)農業環境情報サービスセンターの金子正美教授(環境GIS 研究室)は、台風19号による各地の洪水の状況をGIS(地理情報システム)を用いて可視化す るシステムを構築し、ネット上で公開している。  このシステムでは、2019年10月に広域で被害をもたらした台風19号について、洪水前後の 衛星画像を画面中央のバーを移動させることにより、浸水域を確認できる……

 東京都江戸川区の「江戸川区水害ハザードマップ」が表紙の浸水予想区域の説明図に『ここにいてはダメです』と書き込んで(賛否の)話題を呼んだことは、本紙も最近伝えた。
 その後、台風15号、19号、そして21号の影響を受けた大雨などでこの秋、各地で河川氾濫が起こり、現下、広域同時多発大規模水害となっている。東京都では多摩川が氾濫したが、荒川の決壊想定で引き起こされる大規模水害によって”水没”する可能性がある東京東部低地帯に位置する江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)の「250万人広域避難計画」が、決して想定外ではないことが改めて浮き彫りになったと言える……

 「広域同時多発」と言えば大地震のあとの火災の発生を伝える常套句だが、今回は「水害」で の形容となった。
 本紙は9月15日付けで台風15号による千葉県を中心とする被害を伝え、そのひと月後の前号10 月15日付けで台風19号被害状況を速報(14日12時時点)した。このとき、死者37人、行方不明者 17人、河川の決壊は21河川24カ所、越水は延べ142河川(13日20時56分現在)と伝え、「まさに 広域・ゲリラ的”河川の反乱”の様相を呈している」としたが、その後、台風19号の災害規模は大き く拡大。災害は規模が大きくなればなるほど初期の被災情報はあくまで小間切れで入ってくるこ とを思い知ることになった……