多様な立場から考える防災教育
― 誰も取り残さない学びをめざして―
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

「防災教育学会 第7回大会」(主催=防災教育学会、共催=京都大学防災研究所)が去る6月20日・21日、京都大学宇治キャンパス・宇治おうばくプラザ(京都府宇治市)で開催された。7回目となる今回の大会には大学教員・教育関係者・学生など約150人が参加し、研究発表(口頭・ポスター)、総会、懇親会も同時開催された。
防災教育学会は、防災と教育の研究者・実践家が研究領域を超えて協力し、防災教育をけん引していくという理念のもと、2020年4月に創設されている。
■ 基調講演、シンポジウム
大会委員長を務めた矢守克也氏(京都大学防災研究所・教授)の挨拶後、基調講演は四方由美氏(宮崎公立大学副学長・教授)が「多様な立場から考える防災~宮崎での取組み事例から~」をテーマに話題を提供。
避難所における女性の困難(プライバシー・衛生、ケア労働の固定化、防犯・暴力リスク)、バリアフリー版ぼうさいダック(子どもたちが実際に体を動かし、声を出して遊びながら学ぶカードゲーム)などを取り上げて「宮崎県聴覚障害者協会と連携して、手話サマーフェスティバル、手話講座、デフカフェを開催した。
スターバックスの連携で『街の中の日常』へと実践していき、地域のコミュニティとして定着を目指した」と語った。
シンポジウム「多様な立場から考える防災教育-誰も取り残さない学びをめざして」ではコーディネータを中野元太氏(京都大学防災研究所・准教授)が務め、パネリストとして四方氏、湯井恵美子氏(一般社団法人福祉防災コミュニティ協会・理事)、浜田奈穂美氏(株式会社アクトワン・理学療法士)、山瀬麻里絵氏(NPO法人松山さかのうえ日本語学校・代表理事)が登壇。

湯井氏は特別支援学校の防災教育などについて述べ、「大切なことは、支援が必要な人も支援をする人も一緒に助かること」、浜田氏は「日常的に動ける体力を身に付け、日々災害時に備えた活動に取り組んでいる。『元気な体が一番の防災グッズ』」、山瀬氏は「ミッションは外国人と日本人が『つながって、変わって、寄り添い会える社会』をつくることで、国際防災教育プログラムを実践している」と語った。

■多様な立場から考える防災教育
防災教育学会大会を通して「誰もが当事者意識を持って防災に取り組む」ことが重要であると実感させられた。学校教育にとどまらず、社会教育や地域福祉の現場も視野に入れて、「誰も取り残さない」共生社会の実現に向けた防災教育が展開されることを期待したい。
※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・防災教育学会
・京都大学
・ぼうさいダック(一般社団法人 日本損害保険協会ホームページ引用)
(2026.07.25.)
