南海トラフに備え命を守り、地域を守るためにできること
~東灘区魚崎で学ぶ~
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

「つながりから広がる、地域防災の未来セミナー 第8回」(主催=一般社団法人 大学都市神戸産官学プラットフォーム採択プロジェクト「企業、行政、大学、住民が共につくる地域防災」)が去る6月13日、魚崎西町会館・横屋会館(兵庫県神戸市)で開催され、学生、一般などを含む約50人が参加した。
日々の備えと予測不可能な災害へどう備え続けていけばよいのか。防災・減災の視点で地域を歩き、災害クロスロードを用いて新たな視点の気付きにつなげることを目的として開催された。
「企業、行政、大学、住民が共につくる地域防災」プロジェクトは、南海トラフ巨大地震等の未曽有の災害に備え、広域的かつ多層的な地域防災の体制構築に向けて、大学、企業、行政、住民が連携する取組みを目指している。
■ 第1部 津波避難マップによるまち歩き

魚崎町防災福祉コミュニティの有志による案内で、地域と行政が一緒に取り組んだ「津波避難マップ」を手に、約90分をかけて「魚崎西町会館~住吉川~酒蔵~防潮鉄扉~避難路の確認~横屋会館」のコースで、まち歩きした。
住吉川の中下流に位置する魚崎は、灘五郷のひとつ「魚崎郷」で多くの酒蔵が集積しているが、阪神・淡路大震災で大打撃を受けた。また1938(昭和13)年阪神大水害でも、花崗岩質の土砂を押し流し、大きな被害をもたらした。
マップには「津波避難!最低でも阪神電車より北へ!」、「阪神電車高架下の出口付近に人が溜まらないように、より北側へ避難しましょう」、「魚崎町の津波到達時間は地震発生後、約110分」と記載されている。

■ 第2部 地域防災セミナー
講演では、清原孝重・魚崎町防災福祉コミュニティ会長が「阪神・淡路大震災とその後」と題して、防災訓練(放水・消火器・バケツリレー・けがの手当)、津波防災マップ作成などの取組みを通じて「災害時、一人ひとりが指示を待つのではなく何をすべきかを知っておくことが大切」と語った。
災害クロスロードカード「あなたは、どう行動しますか?」では、浜 尚美・竹の台地区防災・防犯福祉コミュニティ会長の進行で、阪神・淡路大震災を契機に開発された災害対応クロスロードは、避難所のリーダー・自主防災組織のリーダー・認知症患者の家族・市民の立場での4問の問題にグループで意見交換した。
フロアで討論「地域から災害を考える」では、進行・総括した久保はるか・甲南大学全学共通教育センター 教授、山地久美子・神戸大学地域連携推進本部特命准教授により、参加者との活発な意見交換が行われた。

■「防災はまちあるきから」の重要性

まち歩き、セミナーを通して「防災に強いまちづくりは、地域を知ることから」だと改めて考えさせられた。参加者から「自分の自宅周辺の避難経路を確認してみたい」、「自分の住んでいる地域をよく知ったうえで、日々の備え・災害時の行動などについて考えてほしい」などの感想があった。各個人が住んでいる地域で「まち歩き」を実践して、それが「受け身の防災から主体的な防災へ」とつながるのだ。

(注)「クロスロード」とは、直訳すると「岐路・分かれ道」。阪神・淡路大震災で、災害対応にあたった神戸市職員へのインタビューをもとに作成された。流れは、グループで自己紹介の後、「あなたならどうする」といった質問カードの事例を自分の問題として考え、「YES」あるいは「NO」の1つだけを選び、カードを一斉に出して理由を話して意見交換しながら、問題の解決方法を探る。多数派は青座布団、1人だけの場合は本人のみ金座布団を獲得出来るというカードゲーム形式の防災教材。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・一般社団法人 大学都市神戸産官学プラットフォーム
・イベント情報(大学都市神戸産官学プラットフォームのホームページ)
(2026.07.24.)

