関東大震災100年を期して、
各種防災意識調査結果 続々公表
9月1日「防災の日」の由来を知っていますか?
盛りだくさんの防災イベントに加えて、各種団体・企業も「意識調査」
「関東大震災100年」の9月1日を目前に、各種防災イベントや教訓の発信・情報が飛躍的に増えている。そのなかで、各種団体・企業などがリサーチした市民の“災害・防災意識調査”から、ユニークな視点(テーマ)と興味深い結果を数件、ピックアップしてみた。
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●5割が、防災の日の由来「知らない」
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日本赤十字社(東京都港区、略称「日赤」)は、国内外を問わず、防災・災害被災者支援などで重要な役割を果たしてきたが、関東大震災においても発災当日から救護班を派遣し、延べ200万人超の救護にあたっている。
その日赤が全国の男女合計1200名を対象に防災意識や備えの実態について調査を実施、調査結果の“ハイライト”として、9月1日の防災の日が、関東大震災に由来することを「知らなかった」国民は49.2%にのぼったことを伝えている。
年代別に見ると、10代46.0%、20代56.0%、30代69.0%、40代50.5%、50代38.0%、60代34.6%、70代以上38.6%と、若年世代ほど由来を理解していない人が多くなっているという。
関東大震災が「どのような災害か内容は知らない(35.9%)」「全く知らない(8.4%)」と、4割を超える国民にとって、過去の大規模災害に対する歴史認識が薄れている。
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●7割以上が、地域の防災訓練に参加したことが「ない」
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日本トレンドリサーチ(運営会社:株式会社NEXER)が、テレネット株式会社と共同で、全国の男女1000名を対象に「地域の防災訓練」に関するアンケートを実施し、結果をサイト内で公開している。
地域の防災訓練に参加したことはあるか聞いたところ、26.4%の人が、「ある」と回答、いっぽう7割以上の人は、地域の防災訓練に参加したことが「ない」ということになるとしている。
「参加した」その理由は、自治体の集会で半強制(20代・女性)、万が一の時に備えて参加(20代・女性)、自分だけだったらどうでもいいが子供の安全が第一だから(30代・女性)、一度くらいどんな事やってるのか見ておこうと思い参加(30代・男性)、大きな災害が起こった際に家族や周りの人たちを助けられるよう実際に訓練を受けておきたかった(40代・女性)。
参加したことが「ない」その理由は?――面倒(30代・男性)、してるのか知らないし、参加方法も分からない(40代・女性)、あんまり役に立ちそうではなかったので(20代・男性)、参加する時間がない(30代・男性)。
なお、参加したことがない人の40.5%が、今後参加してみようと「思う」と答えている。
日本トレンドリサーチ:73.6%が、地域の防災訓練に参加したことが「ない」
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●「全国エリア別防災意識ランキング」――トップは…
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ソニー損害保険株式会社は、全国の持ち家で火災保険に加入している1000人を対象に、全国10エリアごとの防災に対する意識や傾向などを調査・分析した。
その結果、「全国エリア別防災意識ランキング」で、第1位は甲信越エリア、最下位は北海道エリアと分析。北海道エリアは、地震保険の加入率も10エリア中9位と低い傾向だった。
また、地震保険の加入率のエリア別ランキングでは、トップ3が「九州・沖縄エリア(61.0%)」「四国エリア(60.0%)」「東北エリア(59.0%)」であったのに対し、ワースト3は「近畿エリア(43.0%)」「北海道エリア(47.0%)」「北陸エリア(51.0%)」。
北海道と北陸は「全国エリア別防災意識ランキング」と「地震保険の加入率」ともに低い傾向。
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●関東大震災100年―調査企業全体で6割近くが「知らない」
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企業を対象とする信用調査会社・帝国データバンク(TDB)が、関東大震災の認知度や震災に対する企業の見解について調査を実施した(調査対象は全国2万7930社、有効回答企業数は1万1420社)。
その結果、「関東大震災から100年」であることを知っている企業は42.5%、「100年であることを知っていて」かつ震災への備えに「取り組んでいる」企業は16.5%だった。
都道府県別では、「東京」(52.9%)、「神奈川」(52.1%)、「千葉」(51.4%)など関東の都県で割合が高く、全体を大きく上回った。いっぽう、「100年であることを知らない」企業は57.5%と半数超にのぼった。
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●建設・建築業界で働く人の約95%が、”大地震へのリスク”を認識
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建設・建築業界は、都市再生や災害対策、震災復興、老朽化対策などに大きな役割を担っており、地域の防災・減災にも密接に関わる言わば“防災インフラのプロ”。耐震天井をはじめ建築⽤鋼製下地材の製造販売を⾏う株式会社桐井製作所(東京都千代⽥区)が、建設・建築業界(設計、建設会社、内装⼯事店等)で働く20代〜70代の男⼥を対象に、「防災意識・建物内部の地震対策の認知調査」(n=340)を実施した。
その結果、回答者の約95%が、「地震による建物内部(天井・壁・床等)の被害発生リスク」を認知。回答者の99%が「大地震へのリスクを感じている」。耐震性に関しては、「自宅」「勤務先」「外出先施設」の順で不安を感じているという。
当然とは言え、こうした防災意識が、社会インフラに成果として反映されることを期待したい。
〈2023. 09. 09. by Bosai Plus〉