“ガワ”と“アンコ”両面整備作戦で「危険密集市街地」解消へ

東京都は首都特有の開発の影響もあり密集市街地の解消が進展
――大阪市、京都市は難航

 国土交通省は2012年10月、「地震時等に著しく危険な密集市街地」を公表した。「地震時等に著しく危険な密集市街地」とは、密集市街地のうち、延焼危険性または避難困難性が高く、地震時等において最低限の安全性を確保することが困難な著しく危険な密集市街地を言う。

 国土交通省は、最低限の安全性確保のための当面の目標(当時)として、同時多発火災が発生したとしても際限なく延焼せず、避難が困難とならないこととし、全国の市区町村に調査票を配布・回収した。具体的には、地震時などでの市街地大火の危険性を判断する基準として従来から用いている「延焼危険性」の指標や、「避難困難性」の指標を併せて考慮した。その結果、「地震時等に著しく危険な密集市街地」は、全国に197地区(5745ha)あり、2020年度を目処にこれを解消する目標を設定した。

国土交通省:「地震時等に著しく危険な密集市街地」について(2012年10月12日)

 それから10年を経て、この目標は達成できず、2021年3月に閣議決定した住生活基本計画(全国計画)で、「地震時などに著しく危険な密集市街地」の解消とそれにあわせた「地域防災力の向上に資するソフト対策」を強化することとされた。その成果指標として、改めて危険密集市街地の面積(約2220ha(2020年度末))を2030年度までに概ね解消するととともに、危険密集市街地における地域防災力の向上に資するソフト対策の実施率(約46%(2020年度末))を2025年度までに100%とする目標を定めた。また、住生活基本計画の見直しにあたり、危険密集市街地の区域・面積及びソフト対策の実施状況等に関する調査を実施した。

国土交通省:「地震時等に著しく危険な密集市街地」について(2021年3月19日)

P3 1 地震時等に著しく危険な密集市街地の位置図/東京都 - 「著しく危険な密集市街地」 なう
「著しく危険な密集市街地」(東京都)
P3 2 地震時等に著しく危険な密集市街地の位置図/神奈川県 - 「著しく危険な密集市街地」 なう
「著しく危険な密集市街地」(神奈川県)
P3 3 地震時等に著しく危険な密集市街地の位置図/大阪府 - 「著しく危険な密集市街地」 なう
「著しく危険な密集市街地」(大阪府)

 密集市街地整備の阻害要因としては、狭小敷地、接道不良敷地、借地・借家等の権利関係の複雑さ、地権者の高齢化など多様だ。そのなかで、地方公共団体でのマンパワー・財政面の厳しい状況下で、街区外縁部(いわゆる“ガワ”)での一定規模の道路・公園整備や共同建替えなど、従来からの骨格的な公共投資型の整備が続けられている。また、条件不利敷地等が集積し整備改善の遅れている街区内部(いわゆる“アンコ”)を改善するためには、規制誘導手法の活用等のきめ細かな整備方策や、民間活力の活用を併用することが有効とされている。

P3 4 地域防災力の向上に資するソフト対策の実施状況 - 「著しく危険な密集市街地」 なう
地域防災力の向上に資するソフト対策実施状況

 国土交通省・国土技術政策総合研究所(国総研)では、『密集市街地におけるきめ細かな整備事例集』を刊行し、接道不良、複雑な権利関係などの整備阻害要因に対し、規制誘導、地域防災の取組などハード、ソフトの手法を活用した“アンコ(” 街区内部)を中心に整備した事例を、近畿圏の19事例を含めて紹介している。

国総研:『密集市街地におけるきめ細かな整備事例集』

〈2023. 02. 07. by Bosai Plus

コメントを残す