P4 1 JVOADロゴより 640x350 - JVOADの「企業の被災者支援」調査

被災者支援のコーディネーションを行うJVOAD、
災害時応援協定―企業の被災者支援との
さらなる連携をめざして

 「災害時応援協定」は、大規模な災害が発生したとき、「公助」による対応には限界があることから、自治体が被災することを事前に想定して、物資の供給、医療救護活動、緊急輸送活動などの各種応急復旧活動について、自治体間や民間事業者、関係機関・団体との間で応援協定を締結し、応急復旧活動にあたろうというものだ。
 応援協定の組合せは自治体と民間事業者・関係機関に限らず、都道府県間、大都市間、姉妹都市関係にある市区町村同士もある。そして、「受援計画」(応援の受入れを前提とした人的・物的支援の受入れ体制を地域防災計画等に位置づけ)の策定も進められている。

 自治体が民間事業者とのあいだで結ぶ応援協定としては例えば、物資供給では食品業者、建設・土木業者ほか、緊急輸送ではトラック業界、避難・帰宅困難では大規模小売業、ガソリンスタンドなど多種・多様。また、「包括的連携」もあり、平時も市民生活に役立つ連携をめざして大学などとも連携するケースがある。自治体は協定締結を報道機関を通じて住民に広報するので、民間業者はCSR(企業の社会的責任)の一環として企業イメージの向上につなげられる。
 協定実施にあたっての費用負担は、応援者負担、受援者負担、双方協議のうえ負担割合を決定するなど、協定書に明記されることが多い。

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●JVOAD「 企業の被災者支援への参画 調査報告書」公表
 企業の地域貢献をさらに活かすには 課題など整理

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P4 1 JVOADロゴより - JVOADの「企業の被災者支援」調査
JVOADロゴより

 東日本大震災後、災害ボランティアと行政やボランティアセンターとの連携を進める調整役として重要な役割を果たす認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(略称:JVOAD)が、企業の災害への取組み状況を把握するために、企業の被災者支援の入口となっている行政との災害時応援協定を調査し(調査実施期間:2021年1月~2021年12月)、傾向や特徴をまとめた「企業の被災者支援への参画に関する調査プロジェクト」に関する調査報告書をとりまとめ、9月9日公表した。

 近年の災害対応、被災者支援においては、行政や専門性をもったNPOだけではなく企業の役割もますます重視されているが、災害時に各種支援主体間のコーディネーションを行うJVOADとしては、企業の被災者支援と十分な連携ができているとは言えないという反省もあったという。JVOADは今回の調査結果を通じて、企業の災害支援にかかわる動機や傾向、課題などを把握し、協定の枠にとどまらないさらなる被災者支援への参画について、企業と共に考えるきっかけとしたい意向だ。

【 企業の被災者支援への参画に関する調査プロジェクト 報告書 概要】

○行政・NPO等と企業をつなぐ支援のコーディネーション機能の構築、推進、強化を
○地域と企業がつながることで、企業にとっては地域社会への貢献の機会になる。コーディネーションや連携の充実により、企業のリソースが被災者支援に生かされる
○企業には協定だけに留まらない、更なる被災者支援への参画を促したい
○発災時を想定した具体的な連携イメージの共有、定期的な協定の見直しを
○企業側の意識は高いが、実際に災害時に地域に役立つことを具体的に想定したうえで、平時からの連携体制を考える機会をもつことが重要

P4 2 災害時応援協定の締結数(JVOAD資料より) - JVOADの「企業の被災者支援」調査
災害時応援協定の締結数(JVOAD資料より)
P4 3 締結の種類 - JVOADの「企業の被災者支援」調査
締結の種類(JVOAD資料より)
P4 4 応援内容 - JVOADの「企業の被災者支援」調査
応援内容(JVOAD資料より)

 JVOADとしては今後、県域ごとに災害時の課題を整理し、行政、企業、災害支援ネットワーク、そしてJVOADが関わりながら、県域ごとに必要な支援を明確化し、それぞれの企業の得意分野を活かした循環の仕組みづくりとそのプラットフォームを民間企業とともに検討していく予定だ。
 「調査報告全体へのコメント」を寄せた菅野 拓・大阪市立大学大学院文学研究科准教授は、「協定=可視化させた社会ネットワークの維持には手間がかかるという当たり前のことを、どのように効率的・効果的に続けるのか。ここによりよい災害対応・被災者支援のヒントがある」と総括している。

JVOAD:企業の被災者支援への参画に関する調査プロジェクト報告書

〈2022. 10. 06. by Bosai Plus

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