P4 1 「大雨の稀さ情報」例 640x350 - 『大雨の稀(まれ)さ情報』って?<br>地域での大雨の“稀”さがリスク要因

防災科研発ベンチャー「I-レジリエンス株式会社」の
防災情報配信サービス第1弾『大雨の稀さ情報』

●防災科研が出資・設立した「I-レジリエンス」 研究成果の社会実装

 『大雨の稀(まれ)さ情報』という名称の防災気象情報が登場した。『大雨の稀さ情報』は、近年の線状降水帯等による豪雨災害の激甚化を受け、出水期となる6月23日から試験配信が開始されている。これは、I-レジリエンス株式会社による防災情報配信サービスの第1弾で、I-レジリエンスは、国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、「防災科研」)が「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」の改正(2020年6月)を受けて、2021年11月に防災科研の研究開発成果や知見、ビッグデータの社会実装の推進を目的として、民間企業4社とともに出資・設立した会社だ。

 『大雨の稀さ情報』は防災科研の研究開発成果で、これとデータインテリジェンス分野のベンチャー企業・株式会社JX通信社と同社が運営するリスク情報配信サービス「FASTALERT」(ファストアラート)が連携して試験配信が具体化した。
 この取組みの背景としては、I-レジリエンスの中核事業のひとつ、「レジリエントDX」事業を進めるなかで、今回デジタル技術を活用して防災にまつわる情報を一元的に収集・配信するためのプラットフォームである「IResilience Information Network:IRIN」(以下、「IRIN」)を活用した共創の第1弾として、防災科研の研究開発成果である「大雨の稀さ情報」を採択、JX通信社と連携して、同社が運営するAIを駆使して全国のリスク情報を抽出・即時配信するリスク情報SaaS(Software as a Service=サービスとしてのソフトウエア)である「FASTALERT」を通じて試験配信を開始したもの。

P4 1 「大雨の稀さ情報」例 - 『大雨の稀(まれ)さ情報』って?<br>地域での大雨の“稀”さがリスク要因
「大雨の稀さ情報」の例。「再現期間100年」は、その地域で非常に稀な大雨を表し、災害リスクが大きいことになる

【『 大雨の稀さ情報』とは 】

 防災科研では、近年の豪雨による災害の多発を受け、より具体的な避難行動を促すため、『大雨の稀さ』データの研究開発を進めてきた。『大雨の稀さ』とは、再現期間という表現を使って観測された降水量が平均して何年に一度くらいの確率で起こるかを表すもので、再現期間が長いということは、その地域にとって滅多にない稀な規模の大雨であることを意味する。この稀さは、過去約30年分の解析雨量に基づき推定される。

 通常、インフラの設計には、これまでを大きく上回る稀な大雨は想定されていないケースが多く、その施設の対応能力を超えてしまう可能性がある。今まであまり大雨が降っていない地域は、頻繁に大雨が降るような地域と比較すると、大雨に対する自然・社会環境の脆弱性があると考えられ、災害が起こる恐れ(危険度)の度合いは、雨量そのものよりもその地域にとってどれくらい稀な大雨であるかのほうがより重要な情報になると考えられる。

▼今後の展開について

 今回、JX通信社の「FASTALERT」との連携によるI-レジリエンスの「IRIN」を活用した試験配信の第1弾・『大雨の稀さ情報』の試験配信を皮切りに、防災科研では今後もJX通信社との連携を強化しながら、同時に多くの企業との連携も模索していくとしている。

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防災情報サービスプラットフォーム「IRIN」のイメージ

▼「FASTALERT」について

 「FASTALERT」は、JX通信社が提供する、AI(人工知能)がSNSから災害、事故、事件などのリスク情報を収集し配信するWebサービスだ。TwitterをはじめとするSNS情報や、同社が運営する市民参加型ニュースアプリ「NewsDigest」のユーザーから寄せられる目撃情報を元に、AIを駆使して全国のリスク情報を抽出・即時配信するリスク情報「FASTALERT」を提供している。

P4 2 「FASTALERT」のイメージ - 『大雨の稀(まれ)さ情報』って?<br>地域での大雨の“稀”さがリスク要因
「FASTALERT」は、自然災害(大雨、地震、台風、積雪など)、システム障害、交通事故などの物的・人的被害から情報漏洩、炎上リスク、新型コロナウイルス最新情報まで幅広くカバー。画像、動画だけでなく文字も含まれるので、映像で表せない停電や異臭などの異常検知にも対応。企業が向き合う様々なリスク情報に対応する

 「FASTALERT」は自然災害から事件・事故・テロ事案まで、幅広いリスク情報を報道機関、公共団体、民間企業に24時間配信、2016年9月のリリース後7カ月で、すべての民放キー局とNHKで採用されており、各局ニュース番組における「視聴者提供」動画定着の原動力となっている。現在はSNS緊急情報サービスでシェアNo.1の業界標準として全国の大半のテレビ局や新聞社に採用されているほか、警察、消防、自治体、一般企業でも幅広く導入実績がある。

I-レジリエンス:防災科研『大雨の稀さ情報』を「FASTALERT」で試験配信

〈2022. 07. 11. by Bosai Plus

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