東京23区の浸水深マップ(早稲田大学資料より)

本年6月末までに試行運用開始をめざす

 早稲田大学では、東京都23区で発生する都市浸水をリアルタイムで予測するシステムを開発、社会実装が可能として、東京都23区を対象に本年6月末までに文部科学省のDIAS(データ統合・解析システム)上で試行運用を開始する予定であることを発表した。

 これは、同大学理工学術院の関根正人教授、東京大学地球観測データ統融合連携研究機構の喜連川優(きつれがわまさる)教授グループ、そして一般財団法人リモート・センシング技術センターの研究グループの共同研究の成果だとしている。

 これまで、既存の浸水情報の多くは、静止画として示された予想浸水深がどの程度確かなものであるかが定かにされず、速報性が優先されてきたが、研究グループはより信頼性の高い浸水情報を、住民にわかりやすく届けることが重要と考えた。

 そこで、「道路・下水道、都市河川」のネットワークとその関連付帯施設についての現状を忠実にとらえることのできるデータと、都市の土地利用状況と「都市街区に立てられている建物」などに関わる情報である「建ぺい率・容積率」などのデータ、さらに河川の付帯施設としては地下調節地に代表される貯水施設や下水道のポンプ場・水再生センターなどのデータも取り込み、そのうえで、気象庁の30分先までの降雨予報の結果を入力値としたリアルタイム浸水予測の実現をめざし、リアルタイムでの浸水予測を可能とする計算方法を考案したという。

 同システムは、まず東京都23区を対象に、本年6月末までには試行運用を開始。その後、1年の準備を経て2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックまでには、十分な精度を有する浸水情報を継続的に提供できるような安定した運用を予定している。

>>早稲田大学:リアルタイムな都市浸水予測が可能に

〈2019. 06. 02. by Bosai Plus〉

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