去る11月14日、イタリア・フィレンツェで開催された第6回斜面防災世界フォーラム(WLF6)で、新しい「KLC2020」の調印式が開催された。「KLC2020」とは、「京都地すべりコミットメント(Kyoto Landslide Commitment)2020」の略称で、地すべり災害リスクの理解と低減を世界的に推進するための枠組みとして、2020年11月オンラインで世界90機関の賛同を得て発行されたもの……


 小沢慧一・著『南海トラフ地震の真実』(東京新聞刊)が防災関係者のあいだで話題を呼んでいる。同書は、東京新聞社会部科学班記者の小沢慧一(けいいち)氏が著したノンフィクションで、本年8月24日に東京新聞(中日新聞東京本社)から出版され、菊池寛賞を受賞。受賞理由は「『30年以内に70~80%』という南海トラフ地震の発生確率は水増しされており、予算獲得などのために科学がゆがめられる実態を明らかにした」とされている……

 大阪公立大学大学院理学研究科および南部陽一郎物理学研究所の藤井俊博准教授らの国際共同研究グループが、米国ユタ州で稼働中の最高エネルギー宇宙線観測実験「テレスコープアレイ実験」で2021年5月27日に、極めて高いエネルギー(2.44×10の20乗電子ボルト=244エクサ電子ボルト)をもった宇宙線の検出に成功したと発表した……

 近年の地球温暖化の進行や異常気象の発生による自然災害の頻発やその影響を考慮し、国土交通省は、「高台まちづくり推進方策検討ワーキンググループ(WG)」を設置している。このWGは、地域社会が安全かつ持続可能なまちづくりを進めるための方策を検討し、提案することが目的だ……


 国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下「防災科研」)は10月17日、南海トラフ海底地震津波観測網「N-net」での沖合システム敷設工事を同月24日から開始すると発表した。文部科学省地球観測システム研究開発の一環である「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築事業」は、2019年から海洋調査などを実施、今回の敷設工事を経て2025年3月末の整備完了を予定している……


 気象災害リスク(大雨、台風、洪水、土砂災害、竜巻、落雷、大雪など)は気象予報技術の進展である程度の発生予測ができるようになった……火山噴火は火山性地震やマグマ溜まりの観測から発生可能性の指摘も……このように主な自然災害リスクは防災科学技術の進歩で少なくともリスクの指摘はできるようになってきた……しかし、地震だけはいつ起こるかわからない。ちょっと待った、地震由来の津波も予測できない……?

 名古屋市が「エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」を制定し、本年10月1日に施行した。エスカレーターの安全な利用の促進を図り、もって市民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することが目的、とある。条例の主な内容としては、エスカレーターの利用者は、右側か左側かを問わず、エスカレーターの踏段上に立ち止まって利用しなければならない(義務)、エスカレーターの管理者等は、利用者に対して、立ち止まった状態でエスカレーターを利用するよう周知しなければならない(義務)、としている。ちなみに埼玉県では2年前に、エスカレーター利用時は立ち止まることを求める条例ができている……


 国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 寶(たから) 馨。以下、「防災科研」)が、世界最大規模となる巨大岩石摩擦試験機を新たに開発した。今後、同試験機を用いて自然に近いサイズの地震の再現実験を行い、地震の発生・連鎖メカニズムの解明と、それに基づく地震・津波被害の軽減に貢献しようというもの……

 最近、「地産地防」(ちさん ちぼう)という言葉を聞くようになった。「地産地防」は、「地産地消=地元で生産されたものを地元で消費する」をもじった造語で、「地域の産業・技術で地域の防災を強化する」という意味とされる。
 この新たな概念は、地域経済を持続可能かつ強化するための取組みと、地域防災力の強化を連係させようという試みを指す。災害に強いまちづくりのために、地域の人びとが自らの力で先端技術を活用して、災害に対する自衛防災力の増強を図ろうというもので、地域の資源を活用し、地域社会全体の防災力を高めるという、わが国懸案の地方活性化に通じる可能性を秘めたプロジェクトだ……

 環境省は、低炭素社会の実現に向けて、市民の自発的な省エネ行動やエコ商品の購入などの行動変容を促す「ナッジ事業」を展開している。「ナッジ」(nudge)とは、英語で「そっと後押しする」という意味で、行動科学の知見を活用して、人びとの意思決定や行動に微妙な影響を与える仕掛けのことだ……


 環境省は、地球温暖化が進行した世界で過去の台風と同様の台風が襲来した場合の影響について評価した結果を、去る7月21日、公表した。2019(令和元)年東日本台風(台風第19号)と2018(平成30)年台風第21号を対象に、スーパーコンピュータを用いたシミュレーションを実施し、降水量や河川流量、風速や高潮などの変化を分析した……