日本建築学会が去る6月29日、「激甚化する水害への建築分野の取り組むべき課題~戸建て住宅を中心として~」と題する提言を発表した。
近年急増する気候災害が都市活動や生活の脅威となってきていることから、同学会として、水害に絞って検討と議論を重ね、従来の建築の耐震性能、防火性能、耐風性能、耐雪性能、断熱性能などに並ぶものとしての「耐水性能」の確立に向けて、取り組むべき喫緊の課題をまとめた……
防災研究
4月21日、千島海溝・日本海溝沿いでマグニチュード9クラスの地震が起きた場合、本県沿岸 北部には東日本大震災の場合よりも大きな津波が襲来するとの内閣府有識者会議の検討結果 が公表された。これに対して、岩手県沿岸3市長が浸水域想定の非公表を求めたことに批判的な 報道がなされている。
いうまでもなく、最大の想定は、その対策、避難や町づくりの基礎となるもので、意義は大きく 公開すべきであることは言を待たない……
内閣府の「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」((以下「モデル検討会」。座長: 佐竹健治・東京大学地震研究所教授)は去る4月21日、北海道から東日本の東北北部太平洋側 に延びる日本海溝・千島海溝沿いで起こる海溝型地震について、過去最大級の地震が発生した 場合の最大津波高の推計結果を公表した……
「ナッジ(nudge)」をご存知だろうか。Nudgeは直訳すると「ひじで軽く突く」という意味で、行動経済学や行動科学分野で、人びとが自発的に望ましい行動を選択するように促す仕掛けや手法、つまり「用語・表現などを工夫することで人に行動のきっかけを与える方法」を言う……
政府の地震調査研究推進本部(以下、「地震本部」)は去る1月24日、南海トラフ地震によって引き起こされる津波が今後30年以内に沿岸を襲う確率となる「確率論的津波評価」(以下、「津波評価」)を初めて公表した。「津波評価」では、影響を受ける352市区町村ごとに、津波の高さを――①3m以上、②5m以上、③10m以上の3段階で算出……
2014年9月27日に発生した御嶽山噴火は、死者行方不明者63名を出す戦後最大の火山災害となった。しかし、この御嶽山噴火は水蒸気噴火という噴火現象の規模ではそれほど大きくない 噴火ではあったが、災害発生当日は天候もよく登山日和のため、多くの登山者が火口周辺にいるなかで発生した現象のため、多くの犠牲者を出す結果となった。
このため、内閣府では2016年に活火山法を改正し、各活火山において火山防災協議会の設置とその協議会を中心とした火山災害対策を進めることとなった……
特定非営利活動法人地理情報技術研究所(東京都新宿区)は、2019年台風19号による長野市千曲川の洪水被災地区に対する調査を2019年10月15日~11月27日に行い、12月6日にその結果と分析を発表した。それによると、台風19号による長野市千曲川の洪水被災地区は、長野市洪水ハザードマップと見事に重なり合い、ハザードマップの重要性が立証されたとしている……
国はいま、長期ビジョンとして「Society5.0」実現による日本再興を掲げている。「Society5.0」とは、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会を意味し、様々な分野のデータが垣根を超えてつながるデータ連携基盤を整備して、組織や分野を超えたデータの利活用等を通じて新たな価値の創出をめざそうというものだ……
工学院大学建築学部の研究グループ(後藤治教授、田村雅紀教授、村上正浩教授)と、能美防災株式会社は、茅葺き屋根など伝統的建造物における発災時の延焼防止・燃焼抑制効果を持つ「高粘度液体」を用いた消防技術を産学共同で開発した。
このところ、世界遺産「首里城跡」の上に復元されていた首里城(那覇市)全焼の衝撃に続いて、世界文化遺産登録・白川郷(岐阜県白川村)近くで物置小屋と配電設備小屋が全焼するなど、文化財等の防火体制・対策が大きな課題として急浮上している……
「広域同時多発」と言えば大地震のあとの火災の発生を伝える常套句だが、今回は「水害」で の形容となった。
本紙は9月15日付けで台風15号による千葉県を中心とする被害を伝え、そのひと月後の前号10 月15日付けで台風19号被害状況を速報(14日12時時点)した。このとき、死者37人、行方不明者 17人、河川の決壊は21河川24カ所、越水は延べ142河川(13日20時56分現在)と伝え、「まさに 広域・ゲリラ的”河川の反乱”の様相を呈している」としたが、その後、台風19号の災害規模は大き く拡大。災害は規模が大きくなればなるほど初期の被災情報はあくまで小間切れで入ってくるこ とを思い知ることになった……
設立からほぼ5カ月となる去る9月23日、令和防災研究所は設立記念シンポジウム「平成災害史の教訓と令和に向けた課題」を、東京・千代田区の全国都市会館に約300名の聴講者を集めて開催した。
シンポジウムは青山佾所長(明治大学名誉教授、元東京都副知事)の挨拶に始まり、「1部:発表」(同研究所理事/研究員による研究ブリーフィング)のあと、ゲストスピーカーとして浦野 修・NPO日本防災士会会長による「日本防災士会の活動」の講演、「2部:パネルディスカッション」の構成……
立正大学、九州大学、海洋研究開発機構、名古屋大学の共同研究チームは去る6月、2018年1月4日に米国東方海上で発生した「スーパー爆弾低気圧」事例を研究、その発達要因を世界で初めて解明したと発表した。この「爆弾低気圧」は従来の低気圧発達理論では説明できないほどの急発達を遂げ、暴風や大雪となって甚大な被害をもたらした。
研究チームは、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」上で雲の詳細を再現できる数値モデルを用いて、海洋上で発達する低気圧の詳細な構造をシミュレーションし、その結果を分析……