空き家解体作業(《Bosai-Plus》2023年6月15日号より)

佐賀関大規模火災を教訓に「空き家」対策

空き家放置で、火災延焼や飛び火に対する脆弱性が大きくなる
――通報や初期消火の遅れも

● 空き家―可燃物(ごみ、枯れ草、木材など)を敷地内に放置しない

 総務省消防庁は、昨(2025)年11月に大分県大分市佐賀関で発生した大規模火災について、同庁検討会が「火元の建物の隣が空き家だったことが、火災発見の遅れや延焼拡大の要因の一つと考えられる」と指摘したことから、延焼火災のリスクを減らすには、こうした建物の除却が有効だとし、「密集住宅市街地における空き家等に対する火災予防ガイドライン」を策定、去る3月末に公表した。

P3 2 ガイドラインにおける対象範囲のイメージ - 「空き家」の火災延焼対策で手引
ガイドラインにおける対象範囲のイメージ
P3 3 火災予防上改善を要する空き家の状態と措置内容(例) - 「空き家」の火災延焼対策で手引
火災予防上改善を要する空き家の状態と措置内容(例)

 密集住宅市街地は、一般的に乾燥・強風といった気象条件下では、火災が発生すると延焼拡大しやすい潜在的な危険性を有し、さらに道路が狭あいである場合は、消防活動の困難性が高くなる。加えて、高齢化や人口減少に伴い、建物の更新が進まず、火災予防上管理が不十分な空き家等の増加や地域における人的対応力の低下等が進み、延焼拡大の危険性を高める。
 また、空き家は、放置されて草木の繁茂や建物の損傷など火災予防上管理が不十分な状態となった場合には、隣棟からの延焼や飛び火に対する脆弱性が大きくなり、火災時、消防への通報や初期消火が遅れるなど、延焼拡大の要因となる。

 他方、消防活動上の観点からは、人命救助や避難誘導、飛び火警戒の優先度を検討するうえで、空き家の所在に係る情報は有用で、その把握が重要となる。

○ 空き家の主な防火対策のポイント
・可燃物(ごみ、枯れ草、木材など)を敷地内に放置しない
・建物の老朽化部分(屋根・外壁・窓・雨どい)を補修し、飛び火しにくくする
・施錠やフェンスで不審者侵入・放火を防ぐ環境整備
・隣家との離隔が小さい場合は、防火塀や不燃材の設置を検討

○ 自治体・消防が行う具体的な取組み
・空き家等対策計画と連携し、危険度の高い空き家を「特定空き家」候補として抽出
・消防本部が現地調査を行い、延焼シミュレーションや避難経路の確認を実施
・所有者への指導・助言、必要に応じて除却や不燃化への支援制度を案内

○ 所有者に求められる管理と法的位置づけ
・空き家法により、所有者には「適切な管理」と「国・自治体施策への協力」の努力義務
・倒壊や火災リスクが高いと判断されると「特定空き家」として指導・勧告・命令の対象
・行政代執行による解体費用が所有者負担となる場合もあるため、早期対応が重要

P3 4 空家等対応マニュアルに基づく消防部局の対応イメージ - 「空き家」の火災延焼対策で手引
空き家等対応マニュアルに基づく消防部局の対応イメージ
P3 5 空き家に関するデータベース構築例(尼崎市消防局) - 「空き家」の火災延焼対策で手引
空き家に関するデータベース構築例(尼崎市消防局)

総務省消防庁:密集住宅市街地における空き家等に対する火災予防ガイドライン等

● 空き家や老朽化マンション
 ――負の遺産処理から、ポジティブな資源活用の可能性は?

 本紙は2023年6月15日付けで、「わがまちの災害リスク〜空き家、老朽化マンション」と題した記事を掲載している。

WEB防災情報新聞 2023年6月15日付け:わがまちの災害リスク〜空き家、老朽化マンション

 同記事では「全国で空き家が増えている。総務省の住宅・土地統計調査(5年ごと/2018年調査)によれば、空き家の総数はこの20年で約1.5倍(576万戸→849万戸)に増加。いっぽう国土交通省の調査では、賃貸用や売却用などを除いて、人が長い間住んでいない住宅は349万戸。少子高齢化、人口減の時代を迎え、空き家は今後はさらに増えると見込まれている。
 このまま相続放棄などで空き家が放置され続けると、防犯(放火なども含めて)上も問題が大きく、周辺環境の悪化や自然倒壊などにもつながる。ひいては大地震などでの倒壊・火災延焼の要因ともなるから、防災まちづくりにおいてももはや放置できない状況となっている」とした。

 そして本紙は結びとして、「地域防災において、地域の特性やニーズに応じた多様な形態を検討し、住宅や福祉施設、コミュニティスペースなどとして再生を検討するなど、新しい時代・社会を展望した大きな視点も望ましい。空き家や老朽化マンションを適切に管理・活用することで、防災対策だけでなく、空き家バンクや空き家情報公開制度など、住宅供給や地域活性化に貢献できる可能性もある。空き家や老朽化マンションの防災対策は、単なる負の遺産の処理ではなく、ポジティブに資源活用としてとらえることも、地域防災のテーマとなり得るのではないか」としたが、どうだろう。

〈2026. 05. 20. by Bosai Plus

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