ドローン活用「防災DX」時代
デジタルツイン都市を群飛行
ドローン x 防災AI
=防災立国・日本の防災プラットフォームとして拡充へ
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防災DXの“フィジカル版”としての災害時ドローン活用
被害把握・通信復旧・救助支援の「自律防災ネットワーク」実現へ
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防災庁の開設日が11月2日に決定した。防災庁への期待、課題等の考察は11月以降に譲るとして、防災庁発足を前に、本紙は去る10月9日付けで「災害時保健医療福祉活動支援システム(D24H)」を紹介、防災庁がその成否をかける「防災DX」が切り開く防災の新たなフェーズを展望した。本号では引き続き、防災DXの“フィジカル版”とも言える「ドローン」(小型無人航空機)の防災活用への大きな可能性を探ってみたい。
WEB防災情報新聞(26.10.09.):災害時保健医療福祉活動支援システム D24H

ドローンは普及当初は主に空撮目的で使用され、また元々は小型ラジコンヘリコプター等で行われていた農薬散布などで業務活用もされていたが、いまやその活用範囲は驚くほど広がり、高層建物の外壁調査や下水管など、危険個所の空撮・飛行調査などにも利用されている。言うまでもないが、軍事用では、AI(人工知能)とともに戦争のあり方を根底から変えるような大変革をもたらしているが、ここではあえてそれには触れない。
ドローンは、人間を危険な状況・環境に置くことなく、簡単な操縦と安定した飛行性能、そしてGPS機能を備え、指定の場所への移動や停止、発進場所への帰還なども自動的に行うことが可能であり、防災DXとの掛け合わせにおいては、防災・減災の可能性を限りなく広げる最先端ツールともなり得ることは間違いないのだ。
ドローンの災害時活用としては、2016年熊本地震や2017年7月九州北部豪雨で被害地域を国土地理院がドローンで撮影を行い、被害様相がウエブ上で公開されている。その後、典型的なドローンの災害時活用事例は、2024年1月の能登半島地震時に見られた。
その事例は一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会(岡山県岡山市、以下「DBA」)のリポートからうかがい知ることができる。DBAは能登半島地震の発生直後から被災地に入り、20カ月にわたってドローンを活用した災害支援を継続してきたという。

日本ドローンビジネスサポート協会(DBA):能登半島地震から2年──20カ月の災害支援で見えた「ドローン防災」の現実と可能性
DBAは、近年の地震・豪雨・土砂災害の激甚化により自治体の防災体制の見直しが急務となっていて、以下の課題について、従来の手段だけでは対応が困難だとする。
①道路寸断による孤立
能登半島地震では、道路の寸断により多くの集落が孤立した。陸路が使えない状況で、ドローンによる空からの物資輸送が実際に機能した。
②初動72時間の情報収集
発災直後、被害の全容を迅速に把握することが救命率に直結する。ドローンによる空撮は、人が入れない現場の状況を短時間で把握する手段として有効。
③職員の安全確保
二次災害のリスクがある現場に人を送り込む前に、ドローンで安全確認を行うことで、職員の安全を確保しながら情報を得ることができる。
④インフラ点検の迅速化
橋梁、道路、河川施設など、災害後のインフラ点検をドローンで実施することで、復旧の優先順位を迅速に判断できる。
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DBAが石川県穴水町消防署とドローン支援訓練を実施
要救助者をドローンで捜索、消防署員が重機を操作して救出訓練
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そのDBAが能登半島地震発災の年(2024年)の9月5日、石川県穴水町消防署と輪島綜合自動車学校との合同訓練においてドローン支援を実施した。「崩落現場+雨の中」で「ドローン+重機」の複合訓練を行ったもので、訓練は要救助者をドローンで捜索し、穴水町消防署員が重機を操作して救出するまでの実践訓練だ。

能登半島地震において崩落した山間部を使用、ドローンによる崩落体積の算出など、ドローンの測量機器としての能力を活用して迅速に現場状況を計測。また、レーザースキャナを使用して、短時間で森林部の地面状況などを把握できることを確認した。
訓練は時系列的には次のような内容を実施――ドローンによる上空からの訓練開始のアナウンス。放送する音声はドローンの送信機で録音し、飛行するドローンにデータを転送して再生。100m程の高度で飛行するドローンから放送される音声は、雨の中でも地上でハッキリ聞き取ることができた。
その後、撮影用カメラを搭載したドローンによる状況調査が行われ、要救助者の捜索に移り、広角および望遠カメラで効率的に現場全体の状況を確認。現場状況を撮影し映像をStarlink回線を使用して転送、リアルタイムにインターネット上で表示された。ちなみに使用ドローンは、「DJI MATRICE300RTK」。望遠+赤外線カメラを搭載したドローンを使用し、要救助者を捜索し映像および位置情報を転送。土砂崩れ現場に取り残された要救助者を捜索した。

安全な訓練施設ではなく、実際の崩落現場を使用することで「捜索手法」を確認するとともに「見つかりやすさ」も確認することができた。今後の防災訓練を通じて、町民に「要救助者となった際」の行動についても意識を高めてもらうことにつなげる。使用ドローンは「DJI MATRICE300RTK+H20T(クワッド複合カメラ)」だ。
その後、消防署員による重機を使用した救助経路の確保や、警報音+ライトでの緊急アラート警報による一時退避(二次災害防止)も実施された。穴水町では消防署員自らが重機操縦の免許を取得。重機取扱い業者の応援到着を待たずに迅速な救助に当たることを想定している。実際の崩落現場を使用することで免許取得時の訓練や通常の工事現場などでの訓練とは異なる危険性などについても確認することができた。
運搬機能を有したドローン活用訓練としては、救助員が要救助者のもとに到着した際に救助に必要な機材・物資を現場まで空輸。物資を直接最終現場まで空輸することで、救助員の安全の向上とともに迅速な移動が可能となる。また、当然のことながら、現場到着後に必要物資があった場合の輸送にも効果が期待される。


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2035年の防災ドローン活用シナリオ「首都直下地震 発生後72時間」
ドローンスウォーム(群制御による飛行)で被災情報を収集
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本紙はこうしたドローンの災害時活用について、近未来フィクションを“空想”してみた。題して、「2035年首都直下地震 発生後72時間――防災ドローン活用シナリオ」である。
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ポジウム「災害時のドローン活用最前線」のチラシより
●2035年11月2日午前8時17分。東京都心震源のマグニチュード(M)7の地震が発生。その瞬間から、防災インフラとして常設されたAI自律ドローンネットワークが起動。
発災後0〜5分、AIが自動的にドローンを出動させ、都内各所の区役所、消防署、学校、防災倉庫、通信基地に事前に配備されたドローンポートから約500機が自動離陸する。
AI防災管制システムが、震度分布、人口密度、建物密集度、火災発生情報を分析し、人的被害、経済被害を推計、「どこを優先的に調査すべきか」、被害対応・救助救援のプライオリティを瞬時に決定。東京上空の約500機のAIドローン群のそれぞれが役割を持ち、ただちに任務を遂行する――偵察ドローン、被害撮影、火災検知、河川監視、通信ドローン、6G基地局展開、Wi-Fi提供、救助支援ドローン、スピーカー搭載、ライト搭載、AED搭載、輸送ドローン、医薬品、血液製剤、衛生用品搭載などなど――だ。
●発災後30分、AIが被害マップを作成。ドローン映像はリアルタイムで解析される。AIは、倒壊建物、延焼火災、道路閉塞、液状化、土砂災害を自動抽出。
自治体や消防の画面には「危険度マップ」が(従来の被害確認に要した数時間から数日は、30分以内の自動判定に短縮)。さらに、発災後1時間で、多摩地域や奥多摩での孤立地域を自動発見、AIは携帯位置情報、ドローン映像、SNS投稿、センサー情報を統合、「孤立可能性の高い地区」も検出。
いっぽう、避難所周辺では大型ドローンが上空待機し、多言語(英語、中国語、韓国語など)で「この地域のみなさんは○○小学校へ避難してください」と避難誘導を実施。とくに火災延焼のおそれのある木造密集地帯では風向きを考慮したガイダンスも有効だ。
●発災後3時間を経過した頃は、地上ロボットとの連携対応となり、新宿区で中規模ビルが倒壊したとして、まずドローンが3Dスキャンを実施。AIが崩落危険度、侵入口、生存可能空間を推定、その情報をもとに地上レスキューロボットが侵入して人間が危険区域へ入る前に状況を把握、消防指揮所のモニターにこの状況がリアルタイムで接続される。
●発災後6時間、ドローンが空飛ぶ通信基地局に。都心の一部では通信障害が継続。大型滞空型ドローンが上空200m付近でホバリング。臨時基地局として機能する。
●発災後12時間、AI物流システム稼働――道路寸断地域へ大型輸送ドローンが連続運航。搬送するのはインスリン、人工透析資材、医療機器、粉ミルク、飲料水で、避難所では地上配送ロボットが荷物を受領。完全無人で物資供給が続く。
●発災後24時間で、「デジタルツイン東京」(東京全体の3D仮想空間)上にリアルタイム被害状況を再現。国・都・区市町村・消防・警察・自衛隊が同じ画面を共有し、例えばどこで火災が拡大しているか、どの道路が通行可能か、どの避難所が満員かを瞬時に確認できる。
●発災後48時間、ドローンスウォーム(数百機のドローンによる群制御での飛行)による広域捜索が行われ、AIが赤外線カメラ、音声検知、動体検知から生存者を探索。発見するとGPS位置送信、映像共有、救助隊誘導を自動実施。
●発災後72時間、復旧支援フェーズへ――ドローンの任務は、インフラ点検、橋梁調査、河川監視、建物安全確認、さらに被災地全体をスキャンし、AIが復旧優先順位、仮設住宅候補地、土砂撤去計画の策定を支援する。
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このように近未来のドローンは、「デジタルツイン都市」の防災プラットフォームとなり、防災立国を打ち出すわが国の標準システムとなる。
災害情報は「災害発生後に集める」時代から、「災害発生と同時にAIが状況を把握して行動を開始する」時代へと転換する。防災庁はこの11月2日、「防災DX最前線」に向けて、その第一歩を踏み出すのだ。

〈2026. 10. 22. by Bosai Plus〉

