「防災立国」実現に向けて、
「自分ごと」として防災に向き合い、
産官学民が一体となる
国は防災庁創設を目前に控え、「防災立国」の実現を国家的急務と位置づけ、抜本的な防災体制の強化に乗り出している。
防災庁は内閣直下に設置され、総理大臣を組織の長とし、防災大臣がこれを補佐する。各府省庁への勧告権や、災害対応力強化に必要な予算・人員の確保など、強力な権限を持つ。従来の内閣府防災担当を発展的に改組し、個別行政分野の防災対策は各府省庁が引き続き担うが、防災庁が全体を統括する。
防災庁の主な役割は、①防災に関する基本政策・国家戦略の立案、②徹底的な事前防災の推進・加速、③発災時から復旧・復興までの災害対応の司令塔機能の発揮、の三本柱だ。
防災庁の設置は、単なる組織改編にとどまらず、日本社会全体の防災意識と対応力を根本から変革する試みであり、国民一人ひとりが「自分ごと」として防災に向き合い、産官学民が一体となって「防災立国」を実現することが日本に求められている。

そこで――「防災立国の推進に向けた基本方針」(2025年12月26日閣議決定)において「防災対策推進のための技術のニーズ・シーズを把握し、産官学民連携による防災技術の研究開発・社会実装等を推進する」とされたことを踏まえて、防災技術の研究開発と実装を推進すべき研究テーマ及び推進方策等の総合的な検討を目的として、内閣府に「総合防災技術推進会議」が設置された。

同会議では、AIを使った被災者への情報発信、救助ロボット、ドローン、衛星による被災状況の把握などといった先端技術の活用策を中心に議論が行われる予定。女性や障害者団体などの専門家15人が委員に就任、現場のニーズに即した技術開発の重要テーマを絞り込んでいく。
会議は本年度中に5回開催される予定で、最終回は2027年3月10日を予定。将来的には、日本の防災知見を世界に役立てる海外展開も目指す方針だという。
また、防災庁が担う役割の一つとして、被害想定の精度向上及び高度化を図るとともに、国・都道府県等が連携し、地域レベルでの具体的かつ分野横断的なシミュレーションに基づく災害リスク評価を通じて、大規模災害に対する社会や地域における弱部のあぶり出しを推進することとされた。
そのため、被害想定の精度向上と、高度化に係る手法や、シミュレーションに基づく災害リスク評価手法についての検討を行う有識者会議「定量的弱部分析手法等検討会」が設けられた。

具体的には、災害時に不足する態勢を事前に数値で洗い出し、市町村向けの備えにつなげるもので、例えば、これまでの被害想定は死者、負傷者、建物倒壊数といったマクロな数字の算出が中心だったが、この手法では「想定される負傷者を救護所まで運ぶ人員は足りるか」「救急車などの数」「病床は十分か」といった対応能力まで踏み込んで数値化する。
救護に必要な医師・看護師の人数や物資の数量など、平時には見えにくい態勢の「弱点」を事前に浮き彫りにし、対策の優先順位を明確にすることが狙いだ。

〈2026. 07. 07. by Bosai Plus〉
