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3想定のうち2つは大津波を伴う
迅速な避難、耐震補強で減災可能

南海トラフ・首都直下への備えのリマインダー、千葉県の3地震想定

P1a 地震調査委員会の分類地図より房総沖の位置 - 千葉県の3つの巨大地震被害想定が<br>備えを促す

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首都圏の一角・千葉県の3つの巨大地震想定
減災のカギは共通――迅速な避難(津波)、耐震化
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 千葉県が先ごろ(5月26日)、県内で発生が想定される大規模地震に関する被害想定調査の結果を発表した。今回の調査結果の公表は、県や市町村の防災対策の基礎資料とするだけでなく、県民や地域・事業者の自助・共助力向上を目的としている。背景には、国の首都直下地震被害想定の見直しや、過去の大規模地震の教訓がある。

■ 調査の目的と背景
 千葉県では、2017年度に地震防災戦略を改訂し、「予防対策」「応急対策」「復旧・復興対策」の3分野で173施策を規定。今回の調査は、国の中央防災会議による最新の知見や社会状況を反映し、県独自の地域特性を踏まえた被害想定を行ったもの。

■ 想定地震と前提条件
 調査では、①千葉県北西部直下地震(M7.3)、②大正型関東地震(M7.9)、③房総半島東方沖の地震(M8.5)の3つを想定。発災時刻や季節、風速、人口・建物データ、地盤モデルなど、最新の統計や科学的知見を用いて被害を推計した(M=マグニチュード)。

P2 1 想定対象地震(千葉県資料より) - 千葉県の3つの巨大地震被害想定が<br>備えを促す
想定対象地震(千葉県資料より)

 以下、主な被害想定――

① 【 千葉県北西部直下地震 (M7.3) 】
 最大想定震度:震度6強。津波浸水域:内陸部での地震で津波想定なし。建物被害(全壊・焼失):最大約7万6千棟。死者数:最大約2400人(建物倒壊等約680人、火災約1700人)。災害関連死:約3800人。上水道断水人口:約257万人。停電率:約53%。避難者数(2週間後):避難所約34.9万人、避難所外約52.3万人。災害廃棄物:約1297万トン。経済被害額:直接約9.5兆円、間接約1.4兆円

② 【 大正型関東地震 】(=関東大震災)
 最大想定震度:震度7。津波浸水域:県南部沿岸の一部。建物被害:約3万3800棟。死者数:約920人。災害関連死:約800人。上水道断水人口:約43万人。停電率:約53%。避難者数(2週間後):避難所約7.6万人、避難所外約11.4万人。災害廃棄物:約390万トン。経済被害額:直接約4.2兆円、間接約0.4兆円

③ 【 房総半島東方沖の地震 】
 最大想定震度:震度7。津波浸水域:外房を中心に広く浸水。建物被害:約11万3600棟(津波による被害約2万9500棟)。死者数:約4万2100人(津波による死者約4万200人)。災害関連死:約3700人。上水道断水人口:約225万人。停電率:約3%。避難者数(2週間後):避難所約33.3万人、避難所外約46.2万人。災害廃棄物:約1175万トン、津波堆積物約453万トン。経済被害額:直接約14.6兆円、間接約1.7兆円

P1 地震動の予測結果(千葉県資料より) - 千葉県の3つの巨大地震被害想定が<br>備えを促す
想定3地震の「地震動の予測結果」
P2 2 津波の予測結果(千葉県資料より) - 千葉県の3つの巨大地震被害想定が<br>備えを促す
津波の予測結果(千葉県資料より)

 このうち特筆すべきは、「房総半島東方沖の地震」による津波被害である。房総半島東方沖の地震では、最大津波水位がいすみ市で12.8m、銚子市で12.5m、勝浦市で10.6m、館山市で9.1mなど、県沿岸で大きな津波が想定されている。そして、冬・夕方18時に発生した場合のこの地震による最悪死者数約4万2100人のうち、津波による死者は95%を占める約4万200人となる。同沿岸部は夏季は観光客・海水浴客・サーファーも多いことからいずれにしても迅速な避難対策が大きな課題となる。
 いっぽう、「大正型関東地震」でも、最大津波波高は館山市で5.0m、南房総市で4.7mなど、高い津波が想定されている。

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避難行動の迅速化が津波での人的被害軽減のカギ
建物被害は、古い建物の2001年以降の耐震基準で補強が減災のカギ
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 調査では、避難行動の迅速化や耐震化の推進、感震ブレーカー設置率の向上などが被害軽減に大きく寄与することが示された。例えば、房総半島東方沖の地震で冬夕方18時に津波発生時、全員がすぐに避難した場合の死者数は約8200人と、早期避難率が低い場合の死者数約4万200人から大幅に減少する。
 また、1980年以前の建物を2001年以降の耐震基準で補強した場合、北西部直下地震の全壊棟数は約7100棟にまで減少する。

P2 5 防災・減災対策の効果(千葉県資料より) - 千葉県の3つの巨大地震被害想定が<br>備えを促す
防災・減災対策の効果(千葉県資料より)

 千葉県は、今回の被害想定結果を「千葉県地域防災計画」や「地震防災戦略」、「津波避難計画策定指針」などに反映し、県全体の防災・減災対策を強化する。
 また、被害想定の結果を地図上で確認できるホームページや、地域別リスクをまとめた「ちば地震防災ガイド」などの広報・啓発資料も作成・配布する。千葉県は今後も、「想定外」を「想定内」に取り込む形で、災害対応力の向上を目指すとしている。

 房総半島東方沖は日本海溝の南端部にあたるが、房総半島九十九里浜付近や銚子市付近を震源とする千葉県東方沖地震や相模トラフに起因する房総半島南方沖の地震とは発生地域が異なり区別される。ちなみに、産業技術総合研究所は2012年5月、房総半島東方沖の発生間隔は約400年とする研究結果を公表している。
 また、地震本部は、房総沖では太平洋プレートとフィリピン海プレートとの境界で発生するプレート間巨大地震は知られていないとし、将来に発生する地震の規模・地震発生確率等は不明としている。

千葉県:千葉県地震被害想定調査(令和6・7年度)――千葉県北西部直下地震/大正型関東地震/房総半島東方沖の地震

〈2026. 06. 02. by Bosai Plus

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