“災前・災中・災後”――そして
「見て、触って、感じて」 防災を考えるきっかけに
2024年10月1日から2025年2月16日まで、
今年度後期展「間(あいだ)の防災-いまのあいだに考える、
あしたのための防災-」を開催
国立大学法人兵庫教育大学附属図書館教材文化資料館(兵庫県加東市)では、2024年10月1日から2025年2月16日まで、今年度後期展「間(あいだ)の防災-いまのあいだに考える、あしたのための防災-」を開催している。
阪神・淡路大震災から30年が経とうとするいま、あしたにも起きるかもしれない災害をいま考えるために、防災を「災害」と私たちの「生活」との「間(あいだ)」にあるものとしてとらえ、その間(あいだ)で私たちに何ができるのか、何をなすべきかについて考えるための企画展。
今回の展示では、「防災」に関わる研究を行っている同学の教員4名が企画制作・協力したコーナーを中心に、「間(あいだ)」という切り口で今日の防災について考える。「津波てんでんこ」をキーワードに共助を考える「ひととひと」の間(あいだ)、防潮堤を例に科学と人の想いの折衝を考える「ひとともの」の間(あいだ)など、様々な視点から防災のあり方を探る。
【 2024年度後期展「 間の防災-いまのあいだに考える、あしたのための防災-」 】
・主催:兵庫教育大学附属図書館 教材文化資料館
・会期:2024年10月1日から2025年2月16日まで
開館時間は、兵庫教育大学附属図書館に準じる
・会場:兵庫教育大学附属図書館 教材文化資料館
(兵庫県加東市下久米942-1)
・観覧料:無料
主な展示資料は次のようだ――
(1) 巨大立体ハザードマップ
展示で大きく目を引くのは、展示室中央に置かれた巨大立体ハザードマップ。研究者や大学生の力を借りて小学生が制作したもので、地形的特徴とそれによって起こった被害の相関が、立体になることでより直感的にわかるようになっている。スケールバーで距離を測ったり、起伏を指でなぞったり、直接手で触れて観察してもらうことで、その精巧さがわかる。ハザードマップの有用性を触って学べる展示となっている。
(2) 能登半島地震で隆起した海岸の3D模型
今年1月に起こった能登半島地震によって隆起した地形の様子を3Dプリンタで印刷した立体模型を展示。海岸の様子やその周辺の民家の並び、地面の凹凸など3Dプリンタならではの精密さをその手で感じてもらえる。360°パノラマで撮影された画像と模型を見比べ自然のスケールの大きさを想像してみよう。
(3) 日々の生活を備えに
発災時、満足に物資がないなかで命をつなぐ方法として、日々の生活を備えにする食料備蓄法「ローリングストック」や、非常時に心と体の健康を支える「パッククッキング」について紹介する。「ローリングストック」とは、普段から食べ慣れている食品を多めに買っておいて、常に一定の量を備えておこうというもの。どんなものをストックしておくとよいのか、また、「パッククッキング」とはどんなものか、その目で確かめてみよう。
(4) 見て、触って、感じる防災
展示室入り口で来場者を迎えるダンボールベッドの上には、災害支援に使われた毛布を素材としたぬいぐるみ作品が展示されている。被災時の不安な状況に陥ったとき、ぬいぐるみなどやわらかいものを抱きしめることで、その気持ちを軽減することができるのだ。左写真はねずみのぬいぐるみだが、会期中2~3週間ごとに展示替えを行うので、ぜひ子どもと一緒に訪れて寝転んだり、抱きしめたりしてみてほしい。
まさに、見て、触って、感じて……防災の視点から、「災前・災中・災後」という言葉もあるが、同展が、“災間”のいま、改めて「防災」を考えるきっかけになることは確かだろう。
兵庫教育大学:「間の防災-いまのあいだに考える、あしたのための防災-」
〈2024. 11. 05. by Bosai Plus〉