3 シンポジウム「能登半島地震 これからの防災教育と心のケア」の模様 800x350 - 防災教育学会 第5回大会<br>「世代を超えた<br>新たな防災教育の地平とは」

2025年は阪神・淡路大震災から30年
知恵として身につく防災を

《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

 「防災教育学会 第5回大会」が去る6月15日・16日、神戸学院大学 ポートアイランドキャンパス(兵庫県神戸市)で開催された。5回目となる今回の大会には大学教員・教育関係者・学生など約100人が参加し、研究発表(口頭・ポスター)、総会、懇親会も同時開催された。
 防災教育学会は、防災と教育の研究者・実践家が研究領域を超えて協力し、防災教育をけん引していくという理念のもと、2020年4月に創設されている。

■フィールドワーク、ワークショップ、シンポジウム、基調講演

 フィールドワークは「人と防災未来センター見学、地域住民の防災活動、長田区西部・鷹取地区の現状と復興プロセス、神戸湊川周辺の水害史・まちづくり、爪痕巡り」、ワークショップは「たき防災体験、防災学習教材、防災の知識を行動に結び付ける大切さを学ぶ、防災SDGsすごろく、災害発生後の課題・対応」の内容で開催された。

 「防災の知識を行動に結び付ける大切さを学ぶ」では「明日、災害が起こる!今日のうちに何をしておく?」の問いに必要な物を用紙に書き出した。
 「防災SDGsすごろく」では、サイコロを振って止まった所でSDGs(持続可能な開発目標)の17個の課題に関する問題に答えてポイント数を競った。

1 ワークショップ「防災SDGsすごろく」の模様 1024x768 - 防災教育学会 第5回大会<br>「世代を超えた<br>新たな防災教育の地平とは」
ワークショップ「防災SDGsすごろく」の様子
2 ワークショップ「明日災害が起こる!今日のうちに何をしておく?」の模様 1024x768 - 防災教育学会 第5回大会<br>「世代を超えた<br>新たな防災教育の地平とは」
ワークショップ「明日災害が起こる!今日のうちに何をしておく?」で

 シンポジウム「能登半島地震 これからの防災教育と心のケア」ではコーディネータを中野元太・京都大学防災研究所助教が務め、パネリストとして室崎友輔・神戸常盤大学講師、前川良栄・一般社団法人福祉防災コミュニティ協会、小寺真穂・兵庫県立舞子高等学校教諭、脇田潤・金沢福祉専門学校福祉ビジネス学科専任教員が登壇。

3 シンポジウム「能登半島地震 これからの防災教育と心のケア」の模様 1024x769 - 防災教育学会 第5回大会<br>「世代を超えた<br>新たな防災教育の地平とは」
シンポジウム「能登半島地震 これからの防災教育と心のケア」で
4 「防災教育学会 第5回大会」のチラシ 724x1024 - 防災教育学会 第5回大会<br>「世代を超えた<br>新たな防災教育の地平とは」
「防災教育学会 第5回大会」のチラシ

 シンポジウム「世代を超えた新たな防災教育の地平」では諏訪清二・防災教育学会会長がコーディネータ、中溝茂雄・神戸親和大学教授、舩木伸江・神戸学院大学教授、柴田真裕・桃山学院教育大学講師、小崎遼介・環太平洋大学助教、田中達也・神戸常盤大学講師がパネリストとして登壇した。

 2024年1月1日に発生した能登半島地震の現状・課題などについて議論し、「水道復旧の遅れ、施設破損による福祉避難所開設の遅れ」などをめぐって意見が交わされた。また保育・幼児・小・中・高・大学の防災教育の取組みが紹介され、今後の防災教育について話し合った。

 基調講演は中溝茂雄・神戸親和大学教授が「兵庫・神戸の防災教育30年」をテーマに話題を提供。中溝氏は震災当時、神戸市立鷹取中学校の教諭で、避難所となった同中学校の状況などから得た教訓として「地域に開かれた学校として、コミュニティづくり・住民どうしのつながりが重要だ」と語った。

■防災教育を通じて、知恵としての防災力を身につける

 防災教育学会大会を通して、来年2025年は阪神・淡路大震災から30年を迎えるが、震災を知らない世代にどのようにその教訓を伝えていくかが大きな課題になってきていると実感させられた。その方策を模索しながら防災教育の取組みをしていくことが重要だ。
 学校で学ぶ各教科の内容を通しながら「楽しい防災教育」の機会を増やして、将来発生する災害への知識・備えが自然に、知恵として身につく。防災教育は、個人とコミュニティ、さらには広く社会の防災力を高めることに有効なはずだ。
 阪神・淡路大震災以降、様々な防災教育への取組みが試みられているが、次世代に伝えていく仕組みを各個人が考えを持ち寄ることで、大きな流れも生まれてくるのだろう。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。

▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。

▼参考リンク:
・防災教育学会
https://bosai-education.net/

・防災教育学会 第5回大会(YouTube)
https://www.youtube.com/@user-jz2xo5ri8u

・神戸学院大学
https://www.kobegakuin.ac.jp/

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