P4 1 女性版骨太の方針2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024/原案 概要より) - 女性版「骨太の方針2024」<br> 男女共同参画にブレイクスルーを

「2022年版 骨太方針」で「昭和の想定は通用しない」
――「防災女子の会」再稼働に期待

 直近の報道に、世界経済フォーラム(WEF)が6月12日、世界の男女格差の状況をまとめた2024年版「ジェンダーギャップ報告書」を発表、日本は調査対象となった146カ国のうち118位で、前年の125位からは改善したが、主要7カ国(G7)では最下位だったというものがあった。その低迷の原因は、経済と政治の両分野でとくに男女格差の解消が進んでいないこと。企業での管理職・役員への女性登用の少なさなどを反映した経済分野の達成率は56.8%、政治分野は11.8%など、女性の政治参加の遅れが響いている。

P4 1 女性版骨太の方針2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024/原案 概要より) - 女性版「骨太の方針2024」<br> 男女共同参画にブレイクスルーを
女性版骨太の方針2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024/概要より)
P4 2 避難所チェックシートより - 女性版「骨太の方針2024」<br> 男女共同参画にブレイクスルーを
男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点〜男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン〜」より「避難所チェックシート」

 ちょうど時を同じくして、内閣府男女共同参画局から「女性版骨太の方針 2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024)」が6月11日、発表された。この“骨太方針”(男女共同参画にしてはいかにも“ブコツ=無骨”な響きだが)は、女性の活躍を促進し、男女平等を推進するための具体的な取組みを示すものだ。その概要は――

  1. 企業等における女性活躍の一層の推進
     ・女性役員の登用目標を達成するため、女性人材の育成を強化
     ・科学技術・学術分野における女性の活躍を推進
  2. 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組みの一層の推進
     ・所得向上とリスキリングを促進
     ・仕事と育児・介護の両立を支援
  3. 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現
     ・防災・復興の視点から男女共同参画を推進
     ・「女性・平和・安全保障(WPS)」の取組みを強化
  4. 女性活躍・男女共同参画の取組みの一層の加速化
     ・政府計画の策定や政治・行政分野での男女共同参画を推進
     ・国際的な分野で女性の参画を拡大  このうち、「3.」の「個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現」にある「防災・復興の視点から男女共同参画を推進」が本紙としてとくに関心事ではある。

女性活躍・男女共同参画の重点方針2024(女性版骨太の方針2024)

P4 3 避難所の運営体制・運営ルールなど - 女性版「骨太の方針2024」<br> 男女共同参画にブレイクスルーを
男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点〜男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン〜」より「避難所の運営体制・運営ルールなど」

 本紙は2022年6月25日付け「男女共同参画に向けて骨太方針と防災フォローアップ」記事で当時の「女性版骨太の方針2022」と「男女共同参画 防災取組み状況」を取り上げた。
 このなかで、「女性版骨太の方針2022」が、「わが国の男女共同参画の現状は諸外国に比べて立ち遅れ、昭和の時代に形づくられた各種制度や、男女間の賃金格差を含む労働慣行、固定的な性別役割分担意識など構造的な問題が根強く残っている」と厳しく指摘していること、そして「もはや昭和の時代の想定は通用しない」と厳しく指摘し、女性の経済的自立が「対応の鍵」となるとして、男女間賃金格差への対応や経済的自立の支援策などが盛り込まれていることを紹介した。

WEB防災情報新聞 2022年6月25日付け:男女共同参画に向けて骨太方針と防災フォローアップ

 「女性版骨太の方針 2024」の「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」によれば、災害状況下ではとくに女性やこども、脆弱な状況にある人々がより多くの影響を受けるため、女性と男性が災害から受ける影響やニーズの違いに十分に配慮された災害対応が行われることが不可欠であり、男女共同参画の視点を取り入れることで、災害対応力を強化できるが、能登半島地震では、その視点に欠けて、女性のニーズに配慮した対応が不十分な事例もあったという。

 旧聞に属すが、本紙は2021年6月16日付けで、「内閣府(防災担当)全職員147名に占める女性職員はわずかに5名、避難所のリーダーにも女性はいない……(当時)」として、内閣府防災担当と男女共同参画局の女性職員を中心とした「防災女子の会」が立ち上げられ、災害時における女性のニーズや課題とその対応策についての提言を防災担当大臣に行ったことを伝えている。
 その志やよし……まさに“ブレイクスルー(” 突破)であった。

P4 4 「防災女子の会」からの提言書を小此木防災担当大臣に手交(5月17日、内閣府HPより) - 女性版「骨太の方針2024」<br> 男女共同参画にブレイクスルーを
「防災女子の会」からの提言書を小此木防災担当大臣(当時)に手交(2021年5月17日、内閣府HPより)

WEB防災情報新聞 2021年6月16日付け:内閣府 防災女子の会『世界を変えたい』

〈2024. 06. 20. by Bosai Plus

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