耐震基準は最低基準、「耐震等級」でグレードアップ
「耐震等級」が「2」以上であれば、「長期優良住宅」の認定につなげることも
令和6年能登半島地震では建物倒壊、地震火災、津波、液状化などさまざまな被害状況が発生した。このうち住家(住宅)被害は、全壊7737棟、半壊1万2681棟(総務省消防庁 2月28日14:00現在)となっている。
被害に遭った住宅の多くが古い木造住宅や旧耐震基準の建物で、地震の揺れの周期が木造住宅に大きな影響を与える1秒から2秒であったことから被害が拡大したようだ。そこで本項では住宅の耐震性能について“おさらい”する。
建物の耐震性と言うと、「建築基準法の耐震基準」を思い浮かべるが、これは建物を建てるために必要な最低限度の耐震能力の基準で、「数十年に1度程度発生する地震動に対してほとんど損傷しない」「数百年に1度程度発生する地震動に対して倒壊・崩壊する恐れのない」という基準で強度を検証する。したがって耐震基準は人命を守るための基準で、大地震で倒壊はしなくても建物にダメージが残る可能性はある。
また、本震には耐えられても複数回の大きな余震が起こった場合には建物が損傷・倒壊する可能性はある。
![「耐震等級」おさらい P3 1 国土交通省「建築基準法の耐震基準の概要」より - 「耐震等級」おさらい](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/03/P3-1_%E5%9B%BD%E5%9C%9F%E4%BA%A4%E9%80%9A%E7%9C%81%E3%80%8C%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95%E3%81%AE%E8%80%90%E9%9C%87%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81%E3%80%8D%E3%82%88%E3%82%8A.jpg)
これに対して、「耐震等級」という地震に対する建物の強度を示す指標があり、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められている。「耐震等級」は1から3までの等級があり、等級が上がるほど地震に対する強度が高まる。また、耐震等級2~3を長期優良住宅の認定につなげると、住宅ローン控除の上限額が上がるなど、多くのメリットが受けられる。
「耐震等級3」は耐震等級の中では最もグレードが高く、災害時の救護活動などの拠点となる消防署・警察署などの多くが「耐震等級3」となっている。
![「耐震等級」おさらい P3 2 耐震等級1・2・3の違い(長沼アーキテクツHPより) - 「耐震等級」おさらい](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/03/P3-2_%E8%80%90%E9%9C%87%E7%AD%89%E7%B4%9A1%E3%83%BB2%E3%83%BB3%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%EF%BC%88%E9%95%B7%E6%B2%BC%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%84HP%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
また、「長期優良住宅」という認定制度もある。耐震等級が2以上であれば、「長期優良住宅」の認定につなげることもでき住宅ローン控除の拡充などより多くのメリットを受けられるので、知っておきたい。
長沼アーキテクツ:耐震等級とは?耐震基準との違い、長期優良住宅ほか
〈2024. 03. 04. by Bosai Plus〉