デジタルツイン―
気象、防災等に関するデータも3次元サイバー空間で再現、
防災にも大きな貢献が期待
デジタル庁「防災DXサービスマップ(カタログ)」―
自治体現場職員などが防災分野の民間サービスに迅速にアクセス
国は長期ビジョンとして、「Society5.0」実現による日本再興を掲げている。「Society5.0」とは、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会を意味し、様々な分野のデータが垣根を超えてつながるデータ連携基盤を整備して、組織や分野を超えたデータの利活用等を通じて新たな価値の創出をめざそうというものだ。
国土交通省では、同省が多く保有するデータと民間等のデータを連携し、フィジカル(現実)空間の事象をサイバー空間に再現する「デジタルツイン」(電子の双子)により、業務の効率化やスマートシティなどの国土交通省の施策の高度化、産学官連携によるイノベーションの創出をめざしている。具体的には――
①国土に関する情報をサイバー空間上に再現するインフラデータプラットフォーム構築
②インフラデータプラットフォーム上に経済活動や自然現象のデータを用いてサイバー空間上でシミュレーションを実施
③サイバー空間上でシミュレーションした結果をフィジカル空間に反映し、課題解決
![「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ P5 1 防災・減災、国土強靭化新時代の実現のための提言(内閣府資料より) - 「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/03/P5-1_%E9%98%B2%E7%81%BD%E3%83%BB%E6%B8%9B%E7%81%BD%E3%80%81%E5%9B%BD%E5%9C%9F%E5%BC%B7%E9%9D%AD%E5%8C%96%E6%96%B0%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%8F%90%E8%A8%80%EF%BC%88%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
![「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ P5 2 防災デジタル 情報・データ フロー図(内閣府資料より) - 「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/03/P5-2_%E9%98%B2%E7%81%BD%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB-%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF-%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%9B%B3%EF%BC%88%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
![「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ P5 3 デジタル・防災技術WG(社会実装チーム)提言(内閣府資料より) - 「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/03/P5-3_%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%BB%E9%98%B2%E7%81%BD%E6%8A%80%E8%A1%93WG%EF%BC%88%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AE%9F%E8%A3%85%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%EF%BC%89%E6%8F%90%E8%A8%80%EF%BC%88%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
気象、防災等に関するデータも3次元サイバー空間で再現し、防災にも大きな貢献が期待されている。以下、デジタルツインの防災活用についていくつかの事例を紹介する。
- 都市の被害予測と避難計画
デジタルツインは、都市を仮想空間に再現し、人流や空間のデータと組み合わせて災害時の被害予測を行う。避難計画や避難誘導の最適化に活用され、危険箇所を特定 - 災害初期対応のシミュレーション
デジタルツインを活用して、災害発生時の対応方針を策定
人々の避難行動や避難所の選定、帰宅困難者対策などに役立てられる。 - データ共有と連携
デジタルツインは、リアルタイムのデータ共有を可能にする。センサーやドローンなどを活用して、災害情報を収集し、デジタルツインに組み込む。デジタルとリアルのシームレスな連携により、効率的な災害対応を実現 - 都市のデジタルツイン化プロジェクト
国土交通省は、日本各地の都市を仮想空間で3Dモデル化して公開するプロジェクト
「PLATEAU」を推進している。横浜市や大阪市など56都市がツイン化され、災害シミュレーションに活用されている。
2022年版 防災白書(特集 第3章 第4節 4-1 デジタル・防災)
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●デジタル庁の「防災DXサービスマップ(カタログ)」
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デジタル庁では、防災分野におけるデータ連携を促進し、デジタル防災を強力に推進するために、防災分野のデジタル技術を活用した民間等のサービスをまとめたウェブサイト「防災DXサービスマップ(カタログ)」を公開している。このサービスマップは、以下の4つの局面に分けられて、防災に有用なサービスを掲載している。
- 平時:防災学習やVRを使用した津波・洪水の可視化、避難体験シミュレーションなどが含まれる。
- 切迫時:防災情報の一括配信、災害情報の音声配信、多言語防災情報配信、危険区域の可視化などを提供
- 応急対応(+72時間):避難所の混雑状況可視化、備蓄品の在庫管理など
- 復旧・復興:罹災証明書発行手続き支援、住居や建物の被害認定調査支援、ドローンを活用した点検などが含まれている。
サービスマップは、自治体現場職員などが防災分野のデジタル技術を活用した民間サービスに迅速にアクセスできるようにすることを目的とし、さらなるサービスも公募、「防災DXサービスカタログ」に掲載していく予定だ。
![「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ P5 4 「防災DXサービスマップ」の構成図 - 「デジタルツイン」の防災活用/<br>防災DXサービスマップ](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/03/P5-4_%E3%80%8C%E9%98%B2%E7%81%BDDX%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%A7%8B%E6%88%90%E5%9B%B3.jpg)
〈2024. 03. 01. by Bosai Plus〉