KLC2020=「京都地すべりコミットメント
(Kyoto Landslide Commitment)2020」
去る11月14日、イタリア・フィレンツェで開催された第6回斜面防災世界フォーラム(WLF6)で、新しい「KLC2020」の調印式が開催された。「KLC2020」とは、「京都地すべりコミットメント(Kyoto Landslide Commitment)2020」の略称で、地すべり災害リスクの理解と低減を世界的に推進するための枠組みとして、2020年11月オンラインで世界90機関の賛同を得て発行されたもの。
![地すべりリスク軽減の世界的な枠組み<br>「KLC2020」 P5 1 6th World Landslide Forum(第6回斜面防災世界フォーラム) - 地すべりリスク軽減の世界的な枠組み<br>「KLC2020」](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/01/P5-1_6th-World-Landslide-Forum%EF%BC%88%E7%AC%AC6%E5%9B%9E%E6%96%9C%E9%9D%A2%E9%98%B2%E7%81%BD%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0%EF%BC%89.jpg)
「KLC2020」は、2006年の東京アクションプランに基づき、地すべりに関する国際コンソーシアム(ICL)によって提唱された。2006年にICLとその支援機関(UNESCO、WMO、FAO、UNDRR、UNU、ISC、WFEO)との間でアクションプラン推進のための覚書が交わされ、その後ICLは、2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議(WCDRR)において、「地すべり災害リスクの理解と低減をグローバルに推進するための「仙台防災枠組(仙台地すべりパートナーシップ2015-2025)」の締結を提案した。
「仙台防災枠組」には、22の国連、世界各国のステークホルダーの賛同を集めていて、2015年から2020年にかけて、活動の具体的な成果は、雑誌・書籍の出版物や会議録で紹介され、2017年リュブリャナ(スロベニア)において、グローバル・パートナーシップを2030年以降にも拡充していくことについて合意されている。
これらの背景から、2019年フランス・パリにおいて、地すべり災害リスクの理解と低減の世界的推進のための「京都地すべりコミットメント(KLC2020)」が提唱され、57名の組織代表によって署名された。今回の情報を提供した中央開発株式会社(東京都新宿区)は、前述のWLF6に参画、地すべりリスク軽減のための世界的な枠組みである「KLC2020」に調印している。
![地すべりリスク軽減の世界的な枠組み<br>「KLC2020」 P5 3 中央開発株のイメージ広告より - 地すべりリスク軽減の世界的な枠組み<br>「KLC2020」](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2024/01/P5-3_%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E9%96%8B%E7%99%BA%E6%A0%AA%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E5%BA%83%E5%91%8A%E3%82%88%E3%82%8A.jpg)
新しい「KLC2020」の取組みとしては、以下の内容について賛同することを確認した。
1.世界中で土砂災害への理解を促進し、リスクを低減する
2.情報と最良の実践を共有し、新技術の研究開発を支援し、土砂災害への備えと対応改善のための能力を構築する
3.土砂災害によってもたらされるリスクに対する意識を高め、早期警戒システム、安全な土地利用計画、リスク教育と意識向上等を含む効果的な適応策の促進に協力する
4.KLC2020で定義されている土砂災害リスク削減行動を加速・奨励するために中長期的な世界的同盟を結集し、2026年のWLF7開催に向けたプロセスを開始・推進
5.世界の土砂災害コミュニティからのリスク低減に関する2023年フィレンツェ宣言を“市民のための仙台防災枠組2015-2030”に提出する
ちなみに中央開発(株)は1946年、日本初の地盤コンサルティングカンパニーとして、戦後復興を目的にスタートした会社で、近年では”地質DX”と銘打ったデジタルトランスフォーメーションを推進している。
中央開発:京都発、地すべり対策の国際合意「KLC2020」とは?
〈2023. 12. 15. by Bosai Plus〉