P6 2 医療スペースにダンボールベッドを設営 - 日本女子大学<br>妊産婦・乳児救護所の<br>開設訓練

大学と文京区、学生と教職員の協働で
開設キットの有効性を検証

 東京都文京区は2016年に全国で初めて妊産婦・乳児救護所の設置を決定している。妊産婦・乳児救護所とは、地震等による家屋の倒壊、または倒壊の恐れがある場合に妊産婦・乳児のみを一時的に受け入れる場所。
 文京区の同救護所の設置決定の背景には、2016年熊本地震時に、東京都文京区長が熊本市長に乳児のいる母子専用避難所開設が提案され、実際に乳児をもつ母親のための避難所が開設されたものの、準備・周知が充分ではなく、想定していたような活用がなされなかったという背景がある。

 そこで、文京区と災害協定を結び、妊産婦・乳児救護所開設の指定を受ける4大学のひとつ、日本女子大学(東京都文京区)は、事前に準備することでスムーズな救護所の設置を実現するため、文京区と協力して専用の開設キットを開発、内容の検討を重ねてきた。その有効性の検証を目的として去る11月10日、救護所開設訓練が行われた。

■開設キットの主な検討・改訂内容

・同学の避難者の受け入れ方法
・公平な居住スペースの確保
・新型コロナウイルス感染症対応
・班分けとタイムラインに基づく担当業務の合理化、避難者受入の迅速化
・各業務の流れを1枚で把握できる全体のフローチャート作成 など

 訓練では、各班への業務指示、施設内外の安全点検、掲示物の貼り出し、受付の設置、医療スペースの準備(ブルーシート・毛布の設置、ダンボールベッドの組立て)、災害時用トイレの準備、居住スペースの設営などが検証された。

P6 1 屋外から施設の安全点検 - 日本女子大学<br>妊産婦・乳児救護所の<br>開設訓練
妊産婦・乳児救護所開設訓練で。屋外から施設の安全点検
P6 2 医療スペースにダンボールベッドを設営 - 日本女子大学<br>妊産婦・乳児救護所の<br>開設訓練
医療スペースにダンボールベッドを設営
P6 3 開設キット - 日本女子大学<br>妊産婦・乳児救護所の<br>開設訓練
妊産婦・乳児救護所開設キット

 訓練参加者は、日本女子大学(学生、職員)、文京区防災課職員、参集職員(区民センター(シビックセンター)に勤務する職員・幼稚園・保育園等の区有施設勤務職員)など。参加者の感想として、学生からは「開設キットを検証できたことに感動、さらに改善していきたい」などの声があった。また、文京区防災課は「防災は自助・共助が重要、他の救護所や避難所でも、日本女子大学のような自主的な取組みを区として推進していきたい」としている。

 日本女子大学では、救護所を題材に研究・教育を進める趣旨として、救護所の運営とその事前準備について、文京区と同学、ならびに教職員と学生の協働をめざすことにあるとしている。大学の学術的知見を反映した形で教職員が救護所を開設・運営すること、学生にとっては社会に実際に存在する課題解決をはかり、社会と結んで実践し、提案する社会連携型研究となるよう取り組んでいるという。

 実際に救護所を開設する際は、不測の事態も頻発すると予想され、事前に検討と演習を重ね、大学と社会が常に関心を持ち、連携しておくことが重要となる。同学では今回の訓練で得られた有効性と改善点を今後の研究に活かし、文京区と交流しながら、避難者同士が助け合う避難所運営をめざすとしている。

 日本女子大学は日本初の組織的な女子高等教育機関として創立、昨年120周年を迎えている。避難所開設キット開発の学生指導を担当する平田京子・家政学部住居学科教授は、「1923年関東大震災の際、本学学生と卒業生、教職員が上野公園や本所地域で、被災女性と子どもの健康状況の改善・生活再建を大規模に支援したという記録があり、当時から現在までも、女子大学として女性に寄り添う支援は重要」としている。

日本女子大学:文京区と大学、学生と教職員の協働型の救護所開設をめざす

〈2022. 12. 23. by Bosai Plus

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