PEAD「災害支援ボランティア制度」を発足
災害支援ネットワークおかやま「復旧ロードマップ」策定
近年、気候変動の影響とみられる大雨災害が増える傾向にあるなか、被災者支援活動で直面した課題の解決をめざす市民ボランティア団体(NPO)と企業、社会福祉協議会など、民間関係者と行政連携による新しいネットワークづくりやノウハウ・マニュアル策定の動きが注目される。ここではその一例として、 「災害時緊急支援プラットフォーム」(PEAD) と、 「災害支援ネットワークおかやま」を取り上げたい。
●「災害時緊急支援プラットフォーム」(PEAD)の“ラストワンマイル”
IT業界を中心として、災害時におけるヒト・モノ・カネの「ラストワンマイル」(Last One Mile:モノ・サービスが到達する最後の接点)を民間の力(共助)で解決しようという「災害時緊急支援プラットフォーム」(Platform of Emergency Assistance in the Disaster :PEAD)が、「災害支援ボランティア制度」を正式に発足し、IT業界のマネーフォワード、ラクスル、アソビューなど10社の社員向け災害支援ボランティア研修と認定ボランティア登録を開始した。
また、各企業のボランティア制度・休暇の体制構築を支援し、平時から被災地とIT業界などを結びつけるために、PEADが行政と企業内ボランティアの橋渡しを行うことで、IT業界をはじめとする経済界と被災地を結びつける活動を促していく方針だ。具体的には――
1.行政との災害支援協定
千葉県館山市、熊本県人吉市・佐賀県武雄市などの行政との連絡網を構築
2.認定ボランティア制度
良品計画の社員26名を対象とした認定ボランティア研修登録制度の発表。今後、IT業界各社などで、災害支援ボランティアに必要な心構えや活動について研修
3.IT業界を中心とした企業内ボランティア登録
アイスタイル、アソビュー、ガイアックス、クラウドワークス、SAKURUG、ビザスク、マネーフォワード、Unipos、ラクスル、リブセンス(50音順)の10社
![被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング P4 1 災害時緊急物資支援パッケージの開発(2021年) - 被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2022/08/P4-1_%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%99%82%E7%B7%8A%E6%80%A5%E7%89%A9%E8%B3%87%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%81%AE%E9%96%8B%E7%99%BA%EF%BC%882021%E5%B9%B4%EF%BC%89.jpg)
![被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング P4 2 千葉県館山市との「災害ボランティア活動の連携支援に関する協定」の締結 - 被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2022/08/P4-2_%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%8C%E9%A4%A8%E5%B1%B1%E5%B8%82%E3%81%A8%E3%81%AE%E3%80%8C%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AE%E9%80%A3%E6%90%BA%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%B7%A0%E7%B5%90.jpg)
PEADはその基本的な考え方として、「平時からの行政との連携を通して、認定ボランティアが適切に現地で活動できるように手配し、参加ボランティア人材が自身の能力を発揮できる環境を整える」としている。
●被災者と企業支援のマッチング
「災害支援ネットワークおかやま」の「できるかもリスト」
4年前の「2018年西日本豪雨」(気象庁による命名は「平成30年7月豪雨」)でとくに被害が目立ったのは岡山県倉敷市真備地区だった。発災直後の同年7月7日、岡山NPOセンター(岡山市)を中心に、県内の約200の組織が集う「災害支援ネットワークおかやま」(当時は仮称)が誕生した。災害支援ネットワークおかやまは、民間主導で立ち上げられたネットワークで、日本赤十字社と県市町村など行政機関が評議委員として参画、官民連携の災害支援のプラットフォームを形成する。
その趣旨として、被災者が必要とする物資をできるだけ過不足なく迅速に届けられる仕組みづくりがあった。刻々と変化する被災者ニーズに対応するために、まとまった量の物品を提供できる企業の力をさらに活用するため、ネット上のマッチングシステムを構築。
飲料や資機材など100を超える物品のカタログを用意、企業が提供できる品目と個数をあらかじめ登録することで、発災後に現地で必要数を入力して突き合わせ、企業から避難所などに発送してもらうゆるやかな寄付の約束という趣旨で「できるかもリスト」と名づけるウェブシステムを導入した。
![被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング P4 3 「災害支援ネットワークおかやま」紹介パンフレットより - 被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2022/08/P4-3_%E3%80%8C%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%82%84%E3%81%BE%E3%80%8D%E7%B4%B9%E4%BB%8B%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%88%E3%82%8A.jpg)
また、災害支援ネットワークおかやまでは、休眠預金を活用して制作した「災害対応ツール」として「水害編 復旧ロードマップ」「復旧ロードマップ詳細版 生活再建編」「⽔害復旧ロードマップ⾃動⾞編」などを制作公開、活用を促している。
![被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング P4 4 「復旧ロードマップ」などの作成(「災害支援ネットワークおかやま」HPより) - 被災者支援の新風<br>NPO・企業・行政連携<br>ネットワーキング](https://www.bosaijoho.net/wp/wp-content/uploads/2022/08/P4-4_%E3%80%8C%E5%BE%A9%E6%97%A7%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%8D%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AE%E4%BD%9C%E6%88%90%EF%BC%88%E3%80%8C%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%82%84%E3%81%BE%E3%80%8DHP%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%89.jpg)
〈2022. 08. 15. by Bosai Plus〉