災害の記憶に向き合い、学びあう
自然とともに生きるこころの旅へ
被災地の復興を後押しし、次の災害に備え、
また、災害を風化させないように、〈常在防災〉の志を
【 いま再び、東日本大震災の教訓を“学び・おさらい”する 】
宮城県南三陸町に震災伝承ラーニング施設「南三陸311メモリアル」が、2022年10月1日、開館する。これを機に、東日本大震災の災害教訓伝承施設を“おさらい”したい。
「南三陸311メモリアル」ではそのオープンに先立ち、8月10日から日時指定の予約が可能なオンラインチケットの販売が始まっている。チケットが不要のフリースペースとチケット購入が必要な展示ギャラリー、アートゾーン、ラーニングシアターがある。
具体的には、展示ギャラリーでは、住民たちの証言映像や町内各地でのエピソードをまとめたバナー展示のほか、防災対策庁舎で九死に一生を得た人びとの証言映像などを展示。アートゾーンでは、大災害で失われる命の重さに触れ、「自然とは、人間とは、生きるとは」に思いを馳せる静寂の空間。ラーニングシアターは、住民たちの体験をもとに自分ごととして、命を守るための行動を映像を見ながら考えるプログラムを用意。
チケット購入が必要な有料ゾーンは、展示ギャラリーが、南三陸町の人びとの被災体験をまとめたバナーや被災証言映像の展示、アートゾーンが、フランス現代美術家クリスチャン・ボルタンスキーによるインスタレーション空間、ラーニングシアターが、住民の証言をもとに構成した映像を見ながら対話し考えるラーニングプログラムとなる。
さらに、フリースペースとして、みんなの広場でオープニング企画の復興支援への感謝の展示(写真家浅田政志と住民たちが創り上げた写真作品)、展望デッキでは、地元紙・河北新報に掲載された特集記事「ドキュメント防災対策庁舎」の特別展示がある。
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●みやぎ東日本大震災津波伝承館(宮城県石巻市)
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宮城県石巻市の「石巻南浜津波復興祈念公園」内に「みやぎ東日本大震災津波伝承館」が2021年6月、開館した。伝承館は、東日本大震災の記憶と教訓を後世に伝える祈りの場として国などが整備した祈念公園の中核的施設として位置づけられている。
津波伝承館は、屋内直径約40mのガラス張り鉄骨平屋、延べ床面積約1300平方mの淡麗なたたずまいで、国が建設し、宮城県が展示物管理運営を担ってスタートしたが、展示構成などに批判があり、2022年度に運営委託先を改めて再スタートしている。岩手、宮城、福島の被災3県が運営する東日本大震災伝承施設のなかで最後に開館した伝承施設だ。
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●東日本大震災津波伝承館(岩手県陸前高田市)
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「東日本大震災津波伝承館」は、岩手県陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に2019年9月に開館した。館内展示では、災害対応拠点のひとつだった国土交通省東北地方整備局の災害対策室を再現し、当時、最前線で対応にあたった職員のインタビュー映像も見られる。「奇跡の一本松」もある公園は、敷地全体で震災の学習や犠牲者の追悼ができる場所となっている。
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●東日本大震災・原子力災害伝承館(福島県双葉町)
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「東日本大震災・原子力災害伝承館」は、福島県双葉町中野地区に2020年9月に開館した。津波で浸水した農地をかさ上げした場所に立ち、津波で流されたポストや除染時に使われた防護服など約170点を展示、津波と原発事故という複合災害の現実を伝える。高さ約5m、幅約8mの壁に計6面、床と合わせて計7面のスクリーンを配置したシアターでは、震災前の地域や避難を強いられた住民の生活、除染作業などの取組みを映像で紹介している。
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●公的機関による東日本大震災アーカイブ、本紙アーカイブなど
*一部、主な自然災害アーカイブを含む(東日本大震災以外)
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震災伝承ネットワーク協議会:教訓・伝承の道『3.11 伝承ロード』
いわて連携復興センター:3.11 いわてNPOチラシアーカイブ
▼本紙提携紙《Bosai Plus》編集・保存版特別企画『ワン・クリック先の震災アーカイブ(53件)』(2017年6月15日号/PDF)と、『東日本大震災 発災から1年の軌跡』(2012年3月15日号/PDF)を本紙(防災情報新聞)読者に進呈します。
《Bosai Plus》:震災アーカイブ 53サイト(No. 164_2017年6月15日号掲載)
《Bosai Plus》「東日本大震災 発災から1年の軌跡(No. 38_2012年3月15日号掲載)
〈2022. 08. 15. by Bosai Plus〉