P4 4 都道府県の防災・危機管理部局の女性職員 640x350 - 男女共同参画に向けて<br>骨太方針と防災フォローアップ

「女性版骨太の方針2022」と
「男女共同参画 防災取組み状況」

「人びとの意識、さまざまな政策や制度等が、
依然として戦後の高度成長期、昭和時代のまま」…

●「2022年版男女共同参画白書」と「女性版骨太の方針2022」

 内閣府男女共同参画局は6月14日、「2022年版男女共同参画白書」を公表した。男女共同参画社会基本法に基づき作成している年次報告書で、特集は「人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」としている。

内閣府男女共同参画局:令和4年版男女共同参画白書

P4 1 2022年版男女共同参画白書(表紙) - 男女共同参画に向けて<br>骨太方針と防災フォローアップ
「2022年版男女共同参画白書」(表紙より)

 白書は特集冒頭、「わが国における男女共同参画が進んでいない」と指摘。この問題の背景には、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方等の慣行、人びとの意識、さまざまな政策や制度等が、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていること、そして、「いまや、女性の半数は90歳以上まで生きる。平均寿命は女性87.71歳、男性81.56歳であるが、死亡年齢最頻値は女性93歳、男性88歳であり、100歳を超える人は、2020年時点で女性6万9757人、男性9766人となっていて、まさに人生100年時代。もはや昭和ではない」と、意識変革を求めた。

 さらに、「昭和の時代、多く見られたサラリーマンの夫と専業主婦の妻と子ども、または高齢の両親と同居している夫婦と子どもという3世代同居は減少……こうした変化・多様化に対応した制度設計や政策が求められている」としている。
 また政府は白書に先立って6月3日、女性活躍や男女共同参画分野で重点的に取り組む内容をまとめた「女性版骨太の方針2022」を正式決定した。今回の方針では、「わが国の男女共同参画の現状は諸外国に比べて立ち遅れ、昭和の時代に形づくられた各種制度や、男女間の賃金格差を含む労働慣行、固定的な性別役割分担意識など構造的な問題が根強く残っている」と厳しく指摘、「もはや昭和の時代の想定は通用しない」とし、女性の経済的自立が「対応の鍵」となるとして、男女間賃金格差への対応や経済的自立の支援策などが盛り込まれている。

P4 2 「女性版骨太方針2022」より - 男女共同参画に向けて<br>骨太方針と防災フォローアップ
「女性版骨太の方針2022」より
P4 3 「女性版骨太方針2022」より「男女間賃金格差」 - 男女共同参画に向けて<br>骨太方針と防災フォローアップ
「女性版骨太の方針2022」より「男女間賃金格差」

 同方針は、「女性の経済的自立」、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会」(性被害対策など)、「男性の家庭・地域社会における活躍」(育児休業取得など)、そして「女性の登用目標達成」の4つの柱で構成。「男性の家庭・地域社会における活躍」で「男性」が柱の項目に明記されるのは2015年以来の男女共同参画推進方針のなかで初めて。

●市区町村の防災・危機管理部局 6割が女性職員ゼロ 国、「底上げを図る」

 また、男女共同参画局は5月27日、地方公共団体における男女共同参画の視点からの防災・復興に係る取組み状況についてフォローアップ調査結果を公表した。これは第5次男女共同参画基本計画」が、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」の活用徹底と、ガイドラインに基づく地方公共団体の取組み状況をフォローアップして『見える化』する」ことを掲げていることから、取組み状況の把握と、好事例の収集、今後の取組み促進に向けた課題の抽出を目的としたもの(調査対象は47都道府県、20政令指定都市及び1721市区町村)。

 調査結果によると、防災・危機管理部局に配置された女性職員の割合は、都道府県で平均11.2%、市区町村は同9.9%にとどまり、61.9%の市区町村では1人もいなかった。都道府県のなかで防災・危機管理部局の女性の比率がトップだったのは宮城県で20.3%、以下、滋賀県(20.0%)、神奈川県(19.2%)が続いている。秋田、富山、福井、沖縄の4県はゼロ。1078の市区町村でも女性の配属がなかった。

P4 4 都道府県の防災・危機管理部局の女性職員 - 男女共同参画に向けて<br>骨太方針と防災フォローアップ
都道府県の防災・危機管理部局の女性職員

 防災担当部署の女性の割合が10%以上の自治体と避難所の備蓄品を比較したところ、女性職員がいない自治体では「女性用の下着」や「生理用品」、「哺乳瓶やおむつ」、「簡易トイレ」などの項目で備蓄が進んでいない傾向が見られた。

P4 5 市区町村における常備備蓄の状況 - 男女共同参画に向けて<br>骨太方針と防災フォローアップ
市区町村における常備備蓄の状況

 被災者の半分は女性であり、防災分野にもっと女性の声が反映されるべきであることは言うまでもない。国は「女性の視点」の活用が進む自治体の事例を各地に広げ、全体的な底上げを図る方針だ。

内閣府男女共同参画局:男女共同参画取組状況 フォローアップ調査結果

〈2022. 06. 25. by Bosai Plus

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