image 多摩美「災害と美術」展より - 雲仙・普賢岳大火砕流をテーマに<br>美術展

多摩美術大学の「災害と美術」

 多摩美術大学(東京都世田谷区、八王子市)は芸術人類学研究所(IAA)主催による展覧会「UNZEN―『平成の島原大変』:砂守勝巳と満行豊人をめぐって」を、八王子キャンパス アートテークギャラリーで、6月3日〜18日、開催する。

 同芸術人類学研究所は、芸術学という比較的新しく近代的な学問領域と、人類学という極めて長い時間軸を扱う学問とのあいだに広がる時間的・空間的なはざまを創造的に媒介することをめざす。同展は人間にとって普遍的な「表現」を手がかりに、同学教授で研究所所員の椹木野衣(美術評論)による監修のもと、戦後初の大規模火山災害として知られる雲仙・普賢岳大火砕流をテーマに、「災害と美術」について考えるもの。

 1991年に大火砕流を起こした長崎県島原半島の火山、雲仙・普賢岳による数年に及ぶ複合的な被害は、今日、私たちが直面する「災害の世紀」の到来を予見したかのようであった。1792年の「寛政の島原大変」に対し、「平成の島原大変」と呼ばれるこの自然災害に向きあったのが砂守勝巳(1951-2009)と満行豊人(1937-)で、写真家の砂守は、被災地を撮影した連作「黙示の町」(1995年)を発表、満行は、島原で教員を務めるかたわら噴火による日々の山の変化を撮影・記録し、定年退職後に記録写真をもとに水彩画を制作している。

P6 1 多摩美「災害と美術」展より - 雲仙・普賢岳大火砕流をテーマに<br>美術展
芸術人類学研究所:「UNZEN―『平成の島原大変』:砂守勝巳と満行豊人をめぐって」より

 「UNZEN」展では、二人の作品を含む4つのセクション(砂守勝巳と満行豊人/災害資料/定点/寛政の島原大変)から「自然災害と芸術表現の連動性」、「表現による記憶と伝承」について紹介する。多摩美術大学では、「災害の世紀」となりつつある21世紀に生きる私たちが、さまざまな表現の痕跡を通して、過去の災害を生き抜いた人びとの想像力に触れながら、新たな記憶の継承のありかたを模索していくとしている。
 関連企画として、朗読会やシンポジウムも企画されている。

芸術人類学研究所:「UNZEN―『平成の島原大変』 砂守勝巳と満行豊人をめぐって」

〈2022. 05. 19. by Bosai Plus

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