急速に伸びるスマートフォン活用
60歳以上でも8割が利用 災害時の情報収集・伝達に
「DX」という用語が一般化したのはつい最近のことだが、デジタル庁が発足し、世は一斉にデジタル化時代に突入した感がある。防災においてもデジタル化の進展は著しいが、ここでは身近なデジタル化の話題として、避難所や公的機関での「Wi-Fi」整備状況について見てみたい。
●デジタル活用の現状 スマートフォン普及 8割以上の世帯に
総務省が毎年実施している通信利用動向調査によると、情報通信機器の世帯保有率は、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末では、9割を超えている。そのなかでも、スマートフォンの普及が進んでおり、8割以上の世帯で保有している。
また、2020年のインターネット利用率は83.4%で、スマートフォンによるインターネット利用率は68.3%となり、パソコンやタブレット型端末などの他の端末と比べても、最も利用率が高い。このようにスマートフォンが急速に普及し、モバイル端末によるインターネット利用が拡大している。スマートフォンは、年齢が低いほうが利用率は高い傾向はあるが、60歳以上でも8割以上がスマートフォンを利用していることから、防災においても今後ますます、スマートフォンの活用が進むものと見られる。
●2021年度までのWi-Fi整備目標数 約3万箇所
昨年(2021年)末、大阪府豊中市が、市立小中学校(市内57カ所)の体育館などを避難所として開設する際、Wi-Fiを無料で利用できる環境を整備したとの広報発表があった。情報収集や連絡の手段が限られる災害時の避難所でも、避難者が安定したインターネット通信を利用できるようになるというもの。
東日本大震災時は、ツイッターなどのSNSが地域情報の取得、伝達に貢献したが、その後、熊本地震ではスマートフォンを利用してSNSから情報収集を行う割合は約50%となり、東日本大震災時の1%程度から大きく利用率を伸ばした。SNSの普及が進んだことで、災害時においても住民が地域に密着した情報を取得、伝達しやすくなっただけでなく、住民から発信された情報を活用して被害状況の把握や救助活動に役立てる取組みも始まり、災害時の情報収集・伝達にまつわる環境は大きく変化している。
総務省は2021年度までのWi-Fi整備目標数として、約3万箇所(整備済みを含む)を設定していて、自治体への調査結果(2019年10月)によると、約2.6万箇所が整備済み(整備済み率約88%)、残りの約4000箇所についてのWi-Fi環境整備を進めているところだ。近い将来、ほぼ完備という整備率となることが期待されるところだ。
総務省:2020年に向け全国約3万箇所のWi-Fi整備を目指して(2018年2月)
〈2022. 01. 01. by Bosai Plus〉