聞こえない体験、前方では見えない体験のまち歩き

《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

 「福祉にであう、福祉とまじわる」をテーマに、障がいのある人もない人も一緒に楽しむフェス「ミーツ・ザ・福祉」(主催=兵庫県尼崎市、企画運営=ミーツ・ザ・福祉実行委員会、事務局=NPO法人月と風と)の「バリア探しゲーム Vol.1」が去る10月2日、尼崎市立小田南生涯学習プラザ(兵庫県尼崎市)で開催され、学生、子ども、一般などを含む約30人が参加した。
 「バリア探しゲーム Vol.1」は、2人1組のチームに分かれて、車イス・見えない・聞こえないのいずれかの体験をしながらまちを巡り、さまざまなミッションをクリアしていく新感覚のゲームだ。

鈴東裕己さんによる開催挨拶 - 「バリア探しゲーム Vol.1」<br>体験を通して非常時に活かす
鈴東裕己さん(右奥・ホワイトボードの前、車いすで)による開催挨拶の様子

■体験実施してミッションクリアをめざす

 「バリア探しゲーム Vol.1」は、ミーツ・ザ・福祉実行委員会の鈴東裕己さん(個人事業Ring)による開催挨拶に始まり、ルール説明・各チームでの自己紹介(アイスブレイク)の後、ゲーム体験が行われた。
 車イス・見えない・聞こえないのチームに分かれて、当事者・サポート担当を含めて、参加者2人が1組となって、会場からコンビニのローソンに行き商品を購入後、体験の役割を交代して、会場に戻る途中でさまざまなミッションをクリアしていった。

 車イスチームは車イスに乗って、見えないチームはアイマスクを使用して、そして聞こえないチームは耳栓とイヤーマフを使ってジェスチャーで情報を伝え、ミッションに取り組んだ。
 会場に戻ってからの振り返りでは「道案内を読み取るのはむずかしい」、「コンビニの中は車イスが通る幅が狭い」、「見えない道を歩くのは怖い」などの感想が出された。
 見えないチームのサポートを担当した義岡 夢さん(NPO法人月と風と スタッフ)は「今回はサポート側だったが、過去の体験を含めて、体験されている方たちと一緒にいて、目が見えないことの不安・怖さ、いかに自分が目に頼って生きているかを感じた。また、体験したことがないので、楽しさも混じって不思議な感覚だった」と振り返った。

聞こえない体験と、その奥には見えない体験をしている模様 - 「バリア探しゲーム Vol.1」<br>体験を通して非常時に活かす
聞こえない体験、その前方では見えない体験をしながらまち歩き

■体験から学ぶことの重要性

 平常時に各障がいの「バリア」を実際に体験し、その特徴や具体的になにが不便かを知ることで、災害時のサポートに活かすことができる。災害時避難では、自宅から避難所までの道なかで、あるいは避難所のなかで、いろいろな場所で「バリア」に出合うことが考えられる。

 主催の鈴東さんは「バリア探しゲームを通して、子どもたちと心の距離が縮まった」とし、聞こえないチームのサポートを担当した小島菜月さん(NPO法人月と風と スタッフ)は「参加者にいろいろなバリアを感じてもらえてよかった。この企画をみんなで話し合って実現できてよかった」と感想を述べた。

 聞こえないチームに聞こえない当事者として参加した片岡(本稿リポーター)は「聞こえない人と聞こえる人とのあいだでの伝えることのむずかしさを感じ取ってもらえたのではないか。そこからがスタートになる」と思った。
 このイベントを継続開催することで、子どもから大人まで、「楽しみながらミッションクリア」をキーワードに多くの気づきにつながることを期待したい。
 「読者のみなさんもぜひ、『バリア探しゲーム』を体験してください!」( 義岡 夢さん)
 

※掲載写真については、当事者および子どもたちを引率していた代表の方から掲載了承をいただいています(片岡幸壱、編集部)

 

▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。

 

▼参考リンク

バリア探しゲーム Vol.1

ミーツ・ザ・福祉

NPO法人 月と風と

チャリティーショップ ふくる

個人事業 Ring

義岡 夢さんの妹さん(義岡 翼さん)のnote

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