「 人材育成エコシステム」を

「避難生活環境が良好でないと、最悪の場合には、
おびただしい数の災害関連死につながりかねない」(本文より)

 国の国土強靭化に向けた5つの有識者会議(以下、「WG=ワーキンググループ」)――「デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)」、「デジタル・防災技術WG(社会実装チーム)」、「事前防災・複合災害WG」、「防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)」、「防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)」=「1WG+4チーム」がとりまとめた報告書の概要紹介シリーズ・第4回(最終回)は、「防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)」(座長:栗田暢之・NPO全国災害ボランティア支援団体ネットワーク代表理事)を取り上げる。

【 防災教育・周知啓発WG「災害ボランティアチーム」提言 】

 報告書は冒頭、「避難生活支援が十分に行われず、避難生活環境が良好でないと、被災者が健康を損ね、最悪の場合には、おびただしい数の災害関連死につながりかねない」(本文より)と銘記。そして、「被災後の避難生活において、被災者が尊厳ある避難生活を送り、災害関連死を防ぐことができるよう、また被災者が生活の質を落とさず、避難生活から次の生活再建ステージへ円滑に移行できるよう、避難生活支援を格段に充実させ、適切な避難生活環境を確保することは喫緊の課題」とした。

P5 1 避難所運営に関係するボランティア等の支援者等の関係図 - 国土強靭化 提言④<br>「災害ボランティアWG」
避難所運営に関係するボランティア等の支援者等の関係図(報告書資料より)
P5 2 避難生活支援・防災人材育成エコシステム - 国土強靭化 提言④<br>「災害ボランティアWG」
避難生活支援・防災人材育成エコシステム(報告書資料より)

 そのうえで、避難生活支援を充実させ避難生活環境を向上させていくには、市町村が避難者(住民)自身の主体的な避難所運営を促しつつ、避難生活を適切に支援できる有能な災害ボランティア・NPO等と連携・協働する体制を確立していくことが重要。そのためには、避難生活支援スキルの高い災害ボランティア人材を各地で増やしていく必要がある」とした。
 避難生活支援における行政と災害ボランティア・NPO等との連携・協働はさらに進化・発展させること。また、「意欲ある災害ボランティア人材のスキルの向上とあわせて、避難生活の充実や避難生活環境の向上、地域防災力の向上を図るという相乗効果を生み出す新しいシステムを検討し、構築していく」ことが必要とした。

 新たに打ち出したのは、「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」。災害専門ボランティアを役割に応じて、「避難生活支援リーダー」、「避難生活支援アドバイザー」、「避難生活支援コーディネーター」と整理した。また、スキルアップ研修を終えたボランティアの認定制度、所要の経費を公が負担する有償の仕組みの検討も提案している。

内閣府(防災担当):防災教育・周知啓発WG 災害ボランティアチーム 提言

〈2021. 08. 15. by Bosai Plus

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