「おそれ」段階での防災

「備えていたことしか、役には立たなかった。
備えていただけでは、十分ではなかった…」(提言本文より)

 国(国土強靱化推進本部)の防災・減災、国土強靱化の取組みは、5カ年加速化対策を策定、今後の取組みを加速化・深化することとしている。その方向性についてナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(座長:藤井聡・京都大学教授)の下に「事前防災・複合災害ワーキンググループ(WG/座長:同上)」を設置、同WGは去る5月25日、検討結果を他の4つの有識者会議(「デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)」、「デジタル・防災技術WG(社会実装チーム)」、「防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)」、「防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)」)の検討結果(提言)とあわせ同時公開した。

 本紙では全5提言の概要を紹介予定だが、今回は、「デジタル・防災技術」に続いて第2回として「事前防災・複合災害WG」提言から要旨を紹介する。

P3 1 「事前防災・複合災害WG 提言」より - 防災強靭化 提言② <br>「事前防災・複合災害 WG」
「事前防災・複合災害WG 提言」より

事前防災・複合災害WG 提言――事前防災

○東京湾における高潮対策、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策の強力な推進
 高潮対策はその災害規模の甚大さを認識し大規模地震や水害対策と同様に推進。日本海溝・千島海溝沿いの地震は、想定すべき最大クラスの地震・津波に対する被害想定、防災対策の検討を推進

○災害対策基本法を踏まえた“おそれ”段階での広域避難の推進
 “おそれ”段階での国の災害対策本部の設置を可能とするとともに、水害からの広域避難の円滑な実施に向けた具体的な検討を推進

○あらゆる関係者が協働して取り組む流域治水対策の加速化
 国と地方公共団体の連携強化、農地の貯留機能向上、長期的な土地利用誘導など

○大規模地震災害の事前防災対策の推進
 南海トラフ地震対応のための資機材・人員等のリソース確保、首都直下地震の火災・エレベータ閉じ込めの防止対策の推進など

P3 2a 福和伸夫・名古屋大学教授による「大規模地震の課題~南海トラフ巨大地震の様相」より - 防災強靭化 提言② <br>「事前防災・複合災害 WG」
P3 2b 福和伸夫・名古屋大学教授による「大規模地震の課題~首都直下地震の様相」より - 防災強靭化 提言② <br>「事前防災・複合災害 WG」
福和伸夫・名古屋大学教授による「大規模地震の課題~南海トラフ巨大地震の様相」(上図)、同「首都直下地震の様相」より

事前防災・複合災害WG 提言――複合災害

○地震後の水害など複合災害シナリオや大規模地震の復旧・復興シナリオの検討
 災害がれき、仮設住宅、復興まちづくりなど

○感染症を考慮した災害対応の強化
 防災に関する各種計画の見直し、医療施設の耐災害性強化など

内閣府(防災担当):事前防災・複合災害ワーキンググループ提言

〈2021. 07. 15. by Bosai Plus

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