「地理」必修化へ 大規模災害や南海トラフ巨大地震に備え、
防災意識とその実践力を高める狙いも

●地域防災も「地理必修化」? 水害リスクを地形から知る

 高校の授業に来春(2022年度)から「地理総合」が「情報I」や「公共」、「歴史総合」と並んで必修化される。いまの中学校3年生が主対象となる25年の大学入学共通テストから入試科目になる。ほぼ半世紀ぶりの復活で、相次ぐ大規模災害や南海トラフ巨大地震に備え、防災意識とその実践力を高める狙いがあるという。

 「地理総合」の授業では、従来の紙地図を使う教育に加えて、GIS(地理情報システム)を活用して地理的な情報を調べ、分析したり考察したりする技能の習得も目標の1つになる。ハザードマップ、地形図の読み取り方をはじめ、防災教育を柱に、都市や交通問題、国際社会における日本の位置づけなども学ぶというから、ぐんと生活に身近で実践的で、さらに国際的な視点もカバーすることになる。自分が住むまちの災害リスクを知り、災害にどう対応するべきかを具体的に考えるなど、まさに、新学習指導要領が掲げる「生きる力 学びの、その先へ」を象徴する実践的な科目になる。

 その動きに呼応するように、国土地理院が去る5月27日、「イラストで学ぶ過去の災害と地形」をウェブサイトで公開した。全国85カ所について、水害と地形の関係をイラストで説明したもので、知りたい場所と類似する地形を探すことで水害の危険性を確認できるというもの。地域防災で活動する人たちも自分が住むまちの身近な地形に潜む危険性を学び、想定外の災害を極力減らし、過去の教訓を生かして出水期に備えたい。

P4 1 国土地理院「イラストで学ぶ過去の災害と地形」(サンプル)より - 国土地理院「イラストで学ぶ災害と地形」<br>水害リスクを知る
国土地理院「イラストで学ぶ過去の災害と地形」(サンプル)より

▼「イラストで学ぶ過去の災害と地形」とは

 自然災害伝承碑や浸水推定図等の情報を使用して過去に水害が発生した全国85カ所を抽出し、それぞれの場所で「水害と地形の関係を直感的に把握できる資料」と「水害と土地の成り立ちの関係も理解できる資料」を作成(後者は土地の成り立ちの情報整備地区のみ作成)。

P4 2 国土地理院「地理教育の道具箱」より - 国土地理院「イラストで学ぶ災害と地形」<br>水害リスクを知る
国土地理院「地理教育の道具箱」より

 「イラストで学ぶ過去の災害と地形」は「地理教育の道具箱」から公開。資料に掲載した色別標高図等の図は資料からのリンクをたどることで、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」や「地理院地図3D」でも確認できる。また、「地理院地図」にも85カ所の位置を掲載しており、地理院地図からのリンクをたどることで、それぞれの場所の資料への移動ができる。
 詳しくは下記サイトで――

>>国土地理院:ウェブで学ぶ水害と地形の関係

〈2021. 06. 19. by Bosai Plus

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