「防災都市づくり」イメージ図

地域不動産業者がクラウドファンディングなど活用

「小規模不動産特定共同事業制度」の創設で、
木密の空き家・空き店舗の再生・活性化、不燃化も

●東京都の「防災都市づくり推進計画」

 東京都は、大地震が発生した場合にも被害を最小化する地震に強い防災都市づくりを進めるため、「防災都市づくり推進計画」に基づき、木造住宅密集地域の改善など防災都市づくりに取り組んでいる。首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ、取組みを充実させる必要があることから、「木密地域不燃化10年プロジェクト」の反映や、木密地域のさらなる改善に向けた新たな取組みなどについて、区市とともに検討を進め、2016年3月に推進計画を改定した。

p4 1a 東京都の木造住宅密集地域 - 防災都市づくり、木密再開発に新手法
P4 1b 「防災都市づくり」イメージ図 - 防災都市づくり、木密再開発に新手法
上図:東京都の「木造住宅密集地域」、下:都「防災都市づくり」イメージ図(東京都資料より)

 この改定では、木密地域のうち、とくに大きな被害が想定される「整備地域」の改善を加速するため、延焼遮断帯に囲まれた市街地について新たな施策を提示している。その計画期間は、2016年度から25年度までの10年間としている。同計画では、延焼遮断帯の形成率を整備地域内では2016年度の62%を25年度目標として75%、不燃領域率を同61%から70%以上(全地域)に設定。また重点整備地域(不燃化特区53地区)については同55%から20年度に70%以上(全地域)に設定した。

>>東京都:防災都市づくり計画

●防災上の大きな課題――空き家・空き店舗の再生・活性化に新手法

 いっぽう、少子高齢化により人口減少社会が加速するなか、都市部においても増え続ける空き家や空き店舗の問題が、防災上も深刻な課題として浮上してきた。そこで国土交通省は2017年、空き家や空き店舗を再生・活用する事業に地域の不動産業者等が幅広く参入できるように「小規模不動産特定共同事業制度」を創設した。
 これは、これまで地域の不動産業者などは、投資家から出資を募って不動産を取得、リノベーションなどを行い、その不動産運用から得られる収益を投資家に分配する「不動産共同事業」には参入障壁が高かったが、「小規模不動産特定共同事業制度」では参入要件が緩和されたことから、地域の不動産業者をはじめ、より多くの事業者がクラウドファンディングなどによりこうした事業を行うことができるようになった。

 その事例として、株式会社Brain Trust from The Sun(以下、「BTS」)は、小規模不動産特定共同事業を利用し、地震に強い防災都市づくりのために都内の老朽アパートの建替え・賃貸経営などを実施している。BTSは今後も、地域の不動産会社と共同して新たな不動産活用手法を示し、防災まちづくり、地域活性化を図り、不動産流通市場の安定的で継続的な発展につなげたいとしている。

>>BTS:地震に強い防災都市づくりのために出資を募り 北千住で賃貸経営を開始

P4 2a 建替え前 隣地との距離がなく古く延焼しやすい - 防災都市づくり、木密再開発に新手法
BTSの事業例より、東京都の重点整備地域「千住地域整備計画地」でのプロジェクト。上写真:建替え前の物件は隣地との距離がなく古く延焼しやすい、下:建替え後は隣地との距離を取り不燃化している
P4 2b BTS:建替え後、隣地との距離を取り不燃化 - 防災都市づくり、木密再開発に新手法

〈2021. 06. 09. by Bosai Plus

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