シンポジウム「気候変動に備える国土強靱化」パネリストたち

Withコロナ時代に、
攻めるオンライン啓発・想定・訓練

リアル会場イベントとオンラインイベント
――双方のメリットを最大限活かして新展開

コロナ禍の逆境を逆手に、DXの追い風で “攻める”オンライン

政府 広報活動のポータルサイト「チーム NEXT ステップ」開設

 本紙は2020年10月15日付けで「コロナ禍の防災見本市」を取り上げた。

>>WEB防災情報新聞:コロナ禍の防災見本市 開催ノウハウ

 そのなかでまず、防災見本市は本来、防災・危機管理対策という”不要不急”の対極にあるものと位置づけ、そのうえでリアル会場での実施・開催のあり方、ノウハウの事例を取り上げ、オンライン開催といった”新しい様式”での開催を模索するケースも紹介した。

 ひるがえってコロナ禍が世界を席巻して1年を経たいま、防災見本市と併催されることも多い防災シンポジウム・セミナーなどの防災啓発イベントにも「ニューノーマル」の大波が押し寄せている。「オンライン化」である。
 国の政府広報オンライン(運営:内閣府大臣官房政府広報室)は昨年(2020年)10月、政府の広報・広聴活動をまとめたポータルサイト「チームNEXTステップ」を開設した。主に政府関係機関が主催するシンポジウムやワークショップをオンラインで公開しようというもので、「いわゆるwithコロナ(ウィズコロナ)時代の中で新しい日常をつくり、これからの暮らしを守るために実施する広報事業」と銘打っている。

>>内閣府大臣官房政府広報室:チームNEXTステップ

>>チームNEXTステップ:国土強靭化

>>チームNEXTステップ:公式YouTube動画チャンネル

P1 政府広報オンライン「チームNEXTステップ」HPより - 攻める「オンライン防災広報」
政府の広報・広聴活動をまとめたポータルサイト「チームNEXTステップ」が2020年10月、開設された。政府関係機関が主催するシンポジウムやワークショップをオンラインで公開・広報するもので、「withコロナ(ウィズコロナ)時代の中で新しい日常をつくり、これからの暮らしを守るために実施する広報事業」と銘打つ。まさに、コロナ禍を逆手にとった“攻める”オンライン広報と言え、オンライン防災情報もまた、新地平を切り開こうとしている

 「チームNEXTステップ」とは、「いまできることを知って、これまでの考え方や行動を見直し、 これからの暮らしを守りたい――生活・雇用など、私たちの目の前の暮らしに密着したさまざまなテーマと、地域の特色を活かした取組みについて、国と地域住民がひとつのチームとなり、情報を交換し、知識を深めるため、シンポジウムやワークショップをオンライン開催し、全国へのライブ配信を実施するポータルサイト」だとしている。
 このサイトでは、47都道府県で行われるシンポジウムなどのテーマ概要を施策別に紹介する。テーマは「地方創生」、「都市から地方への人材マッチング」など全32テーマが掲げられていて、防災関連は「国土強靭化」のカテゴリテーマとなっている。

 直近では「国土強靭化」に関連したライブ配信としてシンポジウム「気候変動に備える国土強靱化」が東京都を開催地として1月26日に開催された。同シンポはライブ配信され、ライブ配信終了後はアーカイブ(保存・公開)して終了後も視聴でき、講演者の講演資料(PDF)の閲覧・保存もできる。本紙もこれを視聴したが、政府が予算規模15兆円の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を決定したことを受けて、大規模広域災害への備え、防災対策の強化・加速化が主題となった。

P2 1 パネリストたち - 攻める「オンライン防災広報」
シンポジウム「気候変動に備える国土強靱化」より。シンポ”登壇者”は小此木八郎・国土強靱化担当大臣(ビデオメッセージ)、五道仁実・内閣官房国土強靱化推進室次長、基調講演は藤井 聡・ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会座長(京都大学大学院教授)、パネルディスカッションは藤井氏(前出)のほか、小池俊雄・国立研究開発法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター長)、鈴木英敬・三重県知事、米田雅子・慶應義塾大学特任教授、国崎信江・危機管理教育研究所代表。閉会挨拶を赤澤亮正・国土強靱化担当副大臣が行った

防災科研 成果発表会で「研究者による成果発表動画を公開」

 「”攻める”オンライン防災広報」と題した以上、次なるインパクトのあるオンライン広報の事例は、防災科学技術研究所の研究員成果発表会イベントだ。防災科研は、2月10日に東京国際フォーラムで成果発表会を開催(オンライン配信も)するのに併せて、120名に及ぶ各分野研究者の成果発表動画を同ホームページで全公開した。対象は2020年度の研究活動を含む研究で、視聴者の高評価数でベスト10を選出、発表会当日、会場およびWebでのオンライン配信において結果を発表、上位の研究者が当日登壇する。
 このような広報活動で私たちは、防災研究の最先端の現況を知り、近未来の防災の視界を広げることができる。

>>防災科研:令和2年度 防災科研 成果発表会「研究者による成果発表動画を公開!」

P2 2 防災科研 200名の「研究成果発表動画」を一挙掲載 - 攻める「オンライン防災広報」
防災科研が2月10日に予定する「成果発表会」のホームページより。ここで同研究者120名の成果発表を動画で行っている

各地の消防本部が乗り出す”攻める”オンライン広報 DXの追い風にも期待

 本紙は2020年9月1日号(No. 241)で「東京消防庁が『あつまれ どうぶつの森』人気に相乗りして、防災キャンペーンを展開中」との話題を取り上げたが、各地方の消防本部もオンライン広報に力を入れている。

>>東京消防庁:「あつまれどうぶつの森」で防災情報を発信

 東京消防庁の本年の出初式は無観客となってNHK中継も中止となったことから、東京消防庁はこの出初式の模様をYouTubeにアップして公開している。また、「2020年春の火災予防運動(3月1日~7日)」ポスターに東日本大震災被災地とつながり支援を続ける「のん」さんを起用、また「一日消防署長」に迎える予定だ。

>>東京消防庁:令和3年東京消防出初式

>>東京消防庁:のんさんをモデルとした春の火災予防運動ポスター

P2 3 東京消防庁「令和3年春の火災予防運動」で「のん」さん出演より啓発動画より - 攻める「オンライン防災広報」
東京消防庁は「2020年春の火災予防運動(3月1日~7日)」ポスターに東日本大震災被災地とつながり支援を続ける「のん」さんを起用、また「一日消防署長」に迎える

 そのほか、各地の消防本部がまさに”攻める”オンライン防災広報を推進している。
 こうしたオンライン広報ではコロナ禍での感染リスクがないことはもとより、参加者側は時間や場所(移動、移動コストなど)の制約がなくイベントを視聴、あるいは参加でき、より幅広い層のアクセスが期待できる。再生回数や再生率、平均視聴時間などの詳細なデータも取得できて、広報の効率化・確度アップにつながる。
 いっぽう、リアル会場のイベント開催では、来場者は講演やイベントを目の当たりにして臨場感を味わえ、イベント趣旨を肌で、空気で、人と人のリアルな交流において感じることができる。
 新型コロナ禍で、社会のあり様に新しい様式が求められるなか、デジタルトランスポーテーション(DX)の推進も同時進行中だ。新型コロナを逆手に、オンライン広報とリアルイベント運営手法に、相乗効果を狙える新たな可能性が広まっている。

〈2021. 02. 02. by Bosai Plus

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