男女共同参画(イメージ)

ことさら「女性視点」は変、
男女協働防災が“初期設定”

都道府県防災会議の委員に占める女性の割合は
平均すると16.1%!

【 女性を防災施策・方針決定の“主体”としてカウントしているか 】

●女性は防災・復興の「主体的な担い手」である

 昨年(2020年)12月25日に、「2021~25年度の第5次男女共同参画基本計画」が閣議決定された。新設の22項目を含む、政治経済や地域、教育など11分野を中心に89項目で女性登用の数値目標を策定。いっぽう、政治家や経営者などのリーダー層を指す「指導的地位」に就く女性の割合については、全体的な目標として「2020年代の可能な限り早期に30%程度」と掲げ直し、最長10年程度先送りした。

>>男女共同参画局:第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~

 いっぽう、これに半年ほど先立つ5月、内閣府男女共同参画局が「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」を公表した。

>>男女共同参画局:災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~

P1b 男女共同参画の視点からの防災・復興 - 「女性視点」の災害対応力強化
上図は、内閣府男女共同参画局による「災害対応力を強化する女性の視点 ~男女共同参画の視
点からの防災・復興ガイドライン~」より、「避難所チェックシート」(の一部)。これら項目
を見ると、「男女別」のカウントが避難所運営の重要なファクターとなることがわかる。ガイド
ラインは、「人口の半分は女性であり、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配
慮された女性の視点からの災害対応が行われることが必須」とする
P2 1 「避難所チェックシート(一部)」より - 「女性視点」の災害対応力強化
「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」より、「避難所のチェックシート」(一部)。チェック項目は多いが、それぞれ十分な配慮が必要な項目ばかりで、避難所運営においてはこれらが“基本項目”として標準化されるべきだろう

 ガイドラインは、「人口の半分は女性であり、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された女性の視点からの災害対応が行われることが、防災や減災、災害に強い社会の実現にとって必須」と宣言、都道府県・市町村の防災・危機管理担当部局、男女共同参画担当部局が、女性の視点からの災害対応を進める際に参照できるよう、基本的な考え方、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興の各段階において取り組むべき事項を示した。

P2 2 都道府県防災会議の委員に占める女性の割合(男女共同参画局資料より) - 「女性視点」の災害対応力強化
男女共同参画局資料より「都道府県防災会議の委員に占める女性の割合」

 第1部「7つの基本方針」で――1.平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基礎となる、2.女性は防災・復興の「主体的な担い手」である、3.災害から受ける影響やニーズの男女の違いに配慮する、4.男女の人権を尊重して安全・安心を確保する、5.女性の視点を入れて必要な民間との連携・協働体制を構築する、6.男女共同参画担当部局・男女共同参画センターの役割を位置づける、7.要配慮者への対応においても女性のニーズに配慮する――とまとめている。

 第2部では「段階ごとに取り組むべき事項」として、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興の各段階での取組み、第3部は「便利帳」として、備蓄や避難所の「チェックリスト」などを掲載している。

●女性を「防災の主体」として、男性と「対等にカウント」してこそ“共同参画”

 本年(2021年)1月17日は阪神・淡路大震災から26年となる。防災における「男女共同参画=女性視点の防災(とくに避難所運営)」は阪神・淡路大震災後の“新鮮”な課題として注目されたが、東日本大震災以降、その課題への取組みはある意味、災害対策の先進事例の典型となるほどまでに行きわたった。
 しかし、あえて本紙はこの「女性の視点」に異を唱えるところがある。なんとなれば、「女性の視点」に注目すればするほど、それは「男女共同参画」の本来のあり方からずれると思われるからだ。それはややもすれば、“男性の視点”から見た「女性の視点」になってはいないかと。つまり、「男性の領域である防災」に女性の視点を“汲んであげている”というフシがある。平たく言えば、果たして女性を「防災の主体」として男性と“対等に”カウントし、政策・方針の決定に関与させているのかということである。

P2 3 政策・方針決定過程への女性参画(男女共同参画局資料より) - 「女性視点」の災害対応力強化
男女共同参画局資料より「政策・方針決定過程への女性参画」

 ここで、東日本大震災直後にわが国がまとめた「2012年版 男女共同参画白書」から引用しよう。同白書は「特集」として「男女共同参画の視点からの防災・復興」を取り上げた。東日本大震災時の被災者の状況や復旧・復興における国等の対応を男女共同参画の視点から検証し、災害対応に関する意思決定過程への女性の参画の必要性など、将来への教訓を明らかにしたものだった。
 そのなかに、被災状況での、あるいは復興施策上での興味深い視点・指摘がまとめられているので、そのいくつかを紹介する。

▼今回の震災では警察、消防、海上保安庁、自衛隊が連携して大規模な救出・救助活動が行われたが、被災地への派遣人員数について、男女別の内訳は把握されていない。
▼「津波避難等に関する調査」で、災害発生時に女性は、家族や近所の人など周囲の声かけにより情報を入手し、複数人で避難をするなど、男性と比べて地域の人とのつながりが強いことが浮かび上がった。
▼がれき処理は男性が担当し、避難所の食事準備は女性が担当と固定化され、かつ、がれき処理には日当が支払われるのに対し、食事準備には対価が支払われない。
▼国は復興施策に女性の視点を反映することを明記しているが、現実は……東日本大震災復興構想会議は15人中1人、同会議の下に置かれた東日本大震災復興構想会議検討部会は19人中2人のみが女性委員……

 あいも変わらない男性優位社会が防災分野でも“岩盤”であるとすれば、防災はなかなか根づかないのではないのか。「男女協働防災」を“初期設定”に位置づけたい。

>>男女共同参画局「2012年版 男女共同参画白書」

〈2021. 01. 16. by Bosai Plus

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