佐賀県のゆでだご

Photo by くにろく

文・料理:大塚 環(本紙特約ライター/防災士)

 佐賀県は地理的に台風の影響を受けやすく、一級河川の筑後川やその支流の氾濫も発生しやすいため歴史的には水害対策を防災上の重要なポイントとして捉えてきました。他方で地震による被害は少なく、大きな地震もあまり発生していません。しかし近年、九州地方での地震が相次ぎ、県でも耐震化を始めとする地震への防災対策を強化しています。

 過去の大きな地震として真っ先に挙がるのは、『日本書記』にも登場する飛鳥時代後期、679年の「筑紫国の地震」です。水縄断層帯上で発生した、震源地がわかっている最古の地震であり(地震調査研究本部ホームページ、以下HP 佐賀県の地震活動の特徴、参照)、マグニチュード(以下、M)6.5~7.5の大規模な地震であったため家屋倒壊が多く、幅6m、長さ10㎞の地割れも発生したと伝わっています。また1703年(元禄16年)の「小城(おぎ)で発生した地震」は震度や規模が不明ですが「古湯温泉、大地震ニ際シ城山崩レテ複温泉ハ埋レタリ」(出典 『小城郡誌』)とあり、城山(じょうやま)が崩れて大量の土砂が温泉を埋没させたと記されています(「佐賀地域における地震・風水害防災減災対策について」石井樋公園さが水ものがたり館館長 佐賀大学名誉教授 荒牧軍治氏資料参照)。
 そして忘れてはならないのが2005年3月20日の「福岡県西方沖地震」(M7.0、最大震度6弱)です。佐賀県で初めて震度6弱を記録する地震となりました。震度6弱は佐賀県みやき町、福岡県福岡市東区、福岡市中央区、前原市で佐賀県内の被害は重傷者1名、軽傷者14名、半壊1件、一部損壊136件(佐賀県HP「これまでの地震災害」参照)、他県を含むと犠牲者1名、負傷者1087名、住家全壊133棟、住家半壊244棟、一部破損8620棟の被害が出ています(内閣府防災情報のページ 3−1 福岡県西方沖を震源とする地震 参照)。

 佐賀県では、阪神・淡路大震災の教訓から1995年に国が施行した「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(略称 耐震改修促進法)が2015年に改正された点や、熊本地震(2016年、M6.5以上、最高震度7)の発生を受けて佐賀県耐震改修促進計画を見直し2017年に改定しました。同計画の中で佐賀県に影響を及ぼす活断層は14断層あり、県南部の佐賀平野や白石平野は軟弱な地盤で、いつどのような大地震が発生しても不思議ではないとされています。また「佐賀平野北縁断層帯地震(M7..5)」と名付けた想定地震は液状化危険度が高く、特に被害が最大となるのは火気の使用が高まる「冬の18時に発生した場合」で全壊・焼失家屋が約5万8,000棟、半壊が約5万8,000棟となる可能性を指摘しています(佐賀県耐震改修促進計画 02.はじめに 参照)。
 阪神・淡路大震災では死因の8割が建物倒壊による圧迫死でした。佐賀県は県とリフォーム会社が連携した耐震化のセミナーや講習会の開催、地震防災マップの作成、基準適合認定建築物の表示制度の活用の促進などの取り組みを行い、地震防災への啓発に力を入れています(佐賀県耐震改修促進計画 第5章 耐震化を促進するための総合的な取り組み 参照)。

●料理名:ゆでだご(佐賀県)

 「ゆでだご」とは、茹でただんごのことです。農作業の合間によく食べたとされるゆでだごは、小麦粉と白玉粉をこねた皮にあんこを包み、茹でて作ります。さらに上から黒砂糖をかけることもあり、朝早くから農作業で汗をかいて疲れた体にはブドウ糖が美味しく摂れるおやつでした。

 ところで農林水産省の「佐賀の農畜産物」のページには、麦に関する豆知識が書かれています。「小麦」「六条大麦」「二条大麦」みんな「麦」とついていますが、3つとも違う植物で用途も異なります。小麦はご存じのようにパンやうどんの材料です。六条大麦は穂が六列に並んでいる植物で麦茶や醤油や味噌になり、穂が二列の二条大麦はビールや焼酎の材料になります。また六条大麦と二条大麦を脱穀すると「はだか麦」と呼ばれてお米と一緒に炊くとカルシウムが豊富に摂れます。
 九州はゆでだごの材料となる小麦の生産量が多く、佐賀県は北海道と福岡に次いで全国3位(2018年)です。佐賀県は昔から二毛作行い、米を収穫した後に麦を蒔いていました。毎日の食事やおやつに小麦粉はとても身近だったのです。今回は佐賀市HP 伝達会レシピの中から「おいしく減塩」 ゆでだごを参考にして作りました。

210107 ゆでだご - 〈 復興わがまち ご当地ごはん! 〉 <br>【第50回】 佐賀県「ゆでだご」
佐賀県「ゆでだご」

★かぼちゃで黄色く鮮やかに

 今回つくったゆでだごは、かぼちゃの黄色が鮮やかな一品です。料理は味ももちろん見た目もとても大事。かぼちゃの黄色を見るだけで元気が出そうです。しかもこの記事を書いている12月は1年で一番昼が短い日、冬至があります。今はハウス栽培によって一年中どの野菜も食べることが可能ですが、昔はこの時期に収穫できた野菜は少なく、その一つがかぼちゃだったそうです。カロテンが豊富で栄養いっぱいのかぼちゃを食べて、寒い冬を乗り越えたのでしょう。

 ゆでだごを作る前にかぼちゃはあらかじめ茹でてつぶしておいてください。かぼちゃと小麦粉(中力粉)と白玉粉を混ぜて耳たぶほどの硬さに練ります。かぼちゃに含まれる水分が多い時は、レシピの水分量を調整してください。こしあんを包み、手でぐっと押して平たくします。茹でる少し膨らむため1㎝くらいの厚さが食べやすいと思います。沸騰したお湯に入れて、浮かんで来たらできあがりです。
 かぼちゃ以外にも紫芋やよもぎを使い、色鮮やかなゆでだごにすればお皿の上も華やかになります。手でこねたり押してつぶしたりするので、小さいお子さんが喜んで手伝ってくれそうです。親子で郷土料理クッキングもいいですね。

〈2021. 01. 07.〉

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