気象庁台風予報
熱帯低気圧段階で5日先の見込みも
気象庁は、台風接近時の「防災行動計画(タイムライン)」に沿った対応を効果的に支援するため、24時間以内に台風に発達する見込みの熱帯低気圧の予報を、9月9日から、これまでの1日先までから「5日先まで」に延長している。
気象庁は、台風については5日先までの予報を提供しているが、24時間以内に台風に発達する見込みの熱帯低気圧については予報の誤差が大きかったため、1日先までの予報としてきた。しかし、2018年6月に更新したスーパーコンピュータシステムによる計算能力の向上や数値予報技術の開発などを進めた結果、熱帯低気圧の段階からの進路や強度の予測精度が向上した。このため、2020年9月9日15時(日本時間)以降、24時間以内に台風に発達する見込みの熱帯低気圧についても、5日先までの予報を提供することとしたもの。
台風および熱帯低気圧の実況と24時間先までの予報は3時間毎、120時間先(5日先)までの予報は6時間毎に発表。また、台風が日本に接近し、災害が発生するおそれが出てきた場合には、実況と1時間後の推定位置を1時間毎に発表する。
これにより、日本近海で台風になって日本へ接近する場合でも、台風接近時の「防災行動計画(タイムライン)」に沿った防災関係機関等の対応を、これまでより早い段階から、より効果的に支援することが可能となるとしている。
ちなみに欧米の気象機関は、台風の進路予想を10日先まで公表している。日本でもノロノロ台風などが接近時、テレビのワイドショーなどでは欧米の“長期予想”をあえて紹介することがあるが、実は、気象庁でも10日先の進路予想は技術的に可能だという。それをしない理由としては、情報の受け手である日本人の“心配性”、あるいは精度重視の性向による混乱のおそれからという。時間に正確な交通機関の運行に慣れた目からは、気象情報(天気予報)のハズレはひやかしのネタ、あるいは批判の的になりかねないというわけだ。
しかし、平時、「降水の可能性30%」などの情報への対応に慣れてきた私たちには、予報はできるだけ先の予想情報がほしい。とくに防災対応の基本は「最悪事態に備える」ことであり、10日先の台風接近の可能性を知ることは当然、防災対応上、重要となる。
〈2020. 09. 18. by Bosai Plus〉