「2100年-未来の天気予報-夏」より、世界のCO2排出量予測

全国各都市(那覇を除く)で最高気温40℃以上
 スーパー台風、接近

温室効果ガス排出削減
「COOL CHOICE」で”国民一人ひとり、頭を冷やそう!”

 北海道帯広市で去る5月26日、年間最高気温の記録も更新する38.8℃を記録、JR帯広駅前に設置された40℃まで計測できる電光掲示板の温度計の目盛りが振り切れる事態となり、市民らを驚かせた。この日、北海道網走地区・佐呂間では39.3℃で、北海道の観測史上初となる5月に39℃台を記録した。この記録は北海道の年間の最高気温を更新しただけでなく、5月に観測される気温として全国でも過去最高の気温となり、”気候変動”の一端をうかがわせる異常事象として不安を口にする人もいた――

 そのホットな話題も冷めかけた去る7月8日、環境省は、温暖化対策が十分にとられず世界の二酸化炭素排出量が増加を続けた場合の未来を予測した動画『2100年 未来の天気予報(新作版)』を公開した。

環境省「2100年 未来の天気予報/未達成 夏」より(YouTube)

●「COOL CHOICE」 30年度に温室効果ガス排出を4割削減

 動画『2100年 未来の天気予報(新作版)』の公開サイトには、次のようなメッセージが掲載されている。「あなたは、今から何をしますか? このまま有効な対策をとらずに地球温暖化が進行すると、2000年頃からの平均気温が最大4.8℃上昇すると予測されています。本動画は、気候変動政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書のRCP2.6とRCP8.5のケースを想定し、また、最新の気象状況等を踏まえ、産業革命以前からの気温上昇を1.5℃に抑える目標を達成した2100年と、達成できなかった2100年の天気予報です」――

 *RCP:Representative Concentration Pathways(代表的濃度経路)のこと。RCP2.6は温室効果ガス排出が最も 低いシナリオ、RCP8.5は温室効果ガス排出が非常に高く、世界の平均気温上昇が最も大きくなりうるシナリオ

 わが国は2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を踏まえ、目標として、2030年度に温室効果ガスの排出を2013年度比で26%削減することを掲げている。この目標達成のためには、家庭・業務部門において約4割という大幅削減が必要で、政府(環境省)は、脱炭素社会づくりに貢献する「製品への買換え」、「サービスの利用」、「ライフスタイルの選択」など地球温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」を促す国民運動「COOL CHOICE」を推進しているところだ。

 動画『2100年 未来の天気予報(新作版)』は、この「COOL CHOICE」を推進する環境省が制作したもので(監修:気象キャスターネットワーク、国立環境研究所。協力:気象庁・気象研究所)、同省では国民に”シェア(情報共有)”を要望、また、国民による各種啓発イベント等に向けて同DVDの貸出しを行うとしている。

>>環境省:動画『2100年 未来の天気予報(新作版)』

●2100年夏の東京の最高気温は43.3度の”激暑”、冬でも26度の夏日

 動画『2100年 未来の天気予報(新作版)』は、地球温暖化対策による影響等を天気予報という形式でわかりやすく伝えようというもので、個人での視聴はもとより、イベントや授業、研修などで利用されることを想定している。動画はテレビの天気予報を模した設定で、81年後の2100年8月21日(夏編)と2月3日(冬編)を想定。それぞれ「1.5℃目標」を「未達成/達成」の構成で、計4種(動画1本あたり4~6分程度)。

P5 1 環境省「2100年未来の天気予報」より - 環境省の動画『2100年 未来の天気予報』
環境省制作の動画「2100年未来の天気予報」より

 天気予報キャスターを務めるのはタレントの小島瑠璃子、リポーターは山下耀子。「1.5度目標が未達成」の場合、2100年の夏の各地の最高気温は、東京42.8℃、名古屋43.4℃、熊谷44.9℃と予測。夏の各地の最高気温は札幌から鹿児島まで全国140地点で40℃を超える”激暑”となり、熱中症死亡者は1万5千人を超えるとしている。さらに、冬でも東京の最高気温は26℃と夏日を観測、熱中症で搬送される人が出ると予測。

P5 2 環境省「2100年未来の天気予報」より、最大瞬間風速90mの台風も - 環境省の動画『2100年 未来の天気予報』
環境省「2100年未来の天気予報」より、最大瞬間風速90mの台風も

 ちなみに2100年夏(未達成ケース)の那覇(沖縄)の最高気温は38.5℃で北海道・本州・四国・九州のどの主要都市よりも低いが、現在でも那覇の最高気温は本土より低いことが多く、35℃を超えることは稀となっている。

 気象庁は「40度前後の暑さは災害と認識」との見解を明らかにしているが、高温が怖いのは熱中症にとどまらない。高温は大気の不安定な状態をもたらす。『未来の天気予報』では、中心気圧870ヘクトパスカル・最大瞬間風速90mのスーパー台風の本土接近を伝える。竜巻、高潮、豪雨、洪水などの激甚化はもとより、農作物への被害も甚大になると予想される。

P5 3 「2100年 未来の天気予報 夏」より、世界のCO2排出量予測 - 環境省の動画『2100年 未来の天気予報』
「2100年 未来の天気予報 夏」より、世界のCO2排出量予測

 温暖化が災害要因を拡大させることは確かだ。2020オリパラを機に改めて「COOL CHOICE」! 温室効果ガス削減への長期戦に向けて、国民一人ひとり、”頭を冷やそう!”

〈2019. 07. 24. by Bosai Plus

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