片倉台自治会「行動順序カード」訓練

自治会防災隊  「行動順序カード」で住民率先行動に挑戦!

災害時に自主防・自治会役員・隊長がいなくとも
住民自らが行動できる体制づくり

訓練で、避難場所となる公園に集まってきた住民のみなさん。「行動順序カード」に従って、お互い協力しながら“行動”を開始する
訓練で、避難場所となる公園に集まってきた住民のみなさん。「行動順序カード」に従って、お互い協力しながら“行動”を開始する

特約リポーター: 関町佳寛(防災士/Bosai Plus 写真も)

●一般住民がわがこととして災害対応行動を主体的にとれるように、
 さらなる改善を期待

 片倉台自治会は、2015年4月に都内初の中核市となった人口56万人の八王子市の南東部に位置し、1970年代に開発が始まった戸建て住宅団地の自治会である。1545世帯4198人(2018年9月調査)を擁し、住民の高齢化率は40%を超えている。住宅は新築・リフォームが進むが旧耐震建築住宅は約45%(2018年5月13日住民アンケート)700戸あり、首都圏直下地震や八王子市想定地震の多摩直下地震では、この地域の想定最大震度は6弱となっている。
 東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震では、この地域は震度5弱の揺れとなり、大きな被害はなかったが、築40年以上になる旧耐震建築住宅では地震波の周期によって、また経年化もあっ  て、倒壊損壊の心配がある。このような環境・状況を背景に、片倉台自治会では自治会役員と自   主防災隊の主導による防災避難訓練を続けてきた。

 しかし、家屋が倒壊するような大地震では、主導する役員も自主防隊員も被災する可能性があり、主力メンバーが参集できるかどうかは疑問となる。そこで数年前から、災害が発生する時期・時間・天候などの諸条件や、自分の身と家族の安全・家屋の被災状況などを考慮し、メンバー・関係者がすぐに参集できない場合に備え、従来の自主防主導から、一般避難住民が率先して行動できる方法・訓練を検討してきた。
 そして先ごろ、災害時に公園に先着した避難者がリーダーとなり、後から避難してきた人たちの協力を得ながら、公園内に避難施設(救護所・トイレ・炊飯カマドなど)を設営する訓練を行った。訓練の概略は次のようである――

【 訓練概略 】

  • 最初に避難してきた住民が、班長や公園リーダー・自主防隊員や自治会役員がいない場合に関係者が参集してくるまでの間、リーダーとして他の避難者と協力して、避難場所設営を進める。防災関係者が到着したら随時交代する

◆行動順序は簡潔に記された行動順位カード(パウチファイル)で指示される

◆災害時の条件(災害発生時期・時間・天候など)により順序や行動内容が異なる場合が当然あ るので、今後の訓練では条件を変えて改善を図る

【 行動順序 】

最初に公園に到着した人が最初にする行動
・「公園備蓄倉庫正面扉に貼ってあるパウチされた指示書」を読む

災害時、最初に避難場所公園に到着した住民に向けた「行動順序を示すメッセージ」(指示書)
災害時、最初に避難場所公園に到着した住民に向けた「行動順序を示すメッセージ」(指示書)

▼指示書内容(正面扉)

1:暗証番号で倉庫を開錠する
2:夜間の場合はランタンが扉内側に吊るしてあるので点灯する
3:倉庫内正面に行動順序が記されたボックスがあるので開封する

▼指示内容(行動順序指示箱)

カード1=リーダー用

1:貴方は公園リーダーとして正規の公園リーダーが到着するまで代行願います 

カード2=リーダー用

2:貴方はリーダーとして設営協力班長を避難者到着順に決め、担当作業を示したカード(担当班長用カード4の1~7)を渡してください

1班 救護用テント+簡易ベッド組み立て
2班 要配慮者用テント
3班 トイレ用テント+簡易トイレ組み立て
4班 非常食飲料水用テント+カマド設営
5班 ブルーシートテント(藤棚・ブランコ・樹木等利用)
6班 警備・資材調達班用テント(人員に余裕あれば)
7班 公園本部用テント(今回は倉庫を仮使用)

カード3=リーダー用

1:全作業班長が決まったら避難者全員を集め各班の作業を説明して下さい

2:避難者に各班の作業に協力要請をして下さい

3:避難者全員で倉庫内のブルーシートを敷き備品を全て並べて下さい

4:各班長に担当備品をブルーシート上から探すよう指示して下さい

5:各班の作業開始・経過・完了などの報告を受けメモして下さい

6:自治会館本部と連絡が取れれば適宜報告・指示を受けて下さい

7:火災発生・人命救助・救出・要配慮者支援などが発生した場合は作業を一部または全部中断し支援活動をして下さい

8:地域内外の各種必要情報を倉庫内ボードに記載し避難者に適宜知らせて下さい。また自治会館本部へ報告して下さい

カード4班長用1班用~7班用まで個別に計7枚

1班 救護用テント1を図に示された場所に設置して下さい簡易ベッド1の組み立てをして下さい
開始・経過・完了をリーダーに報告して下さい

2班 要配慮者用テント2を図に示された場所に設置して下さい途中経過・完了をリーダーに報告して下さい

3班  トイレ用テント3を図に示された場所に設置して下さい簡易トイレ便器の組み立て、トイレテントに設置して下さい途中経過・完了をリーダーに報告して下さい

4班 非常食・飲料水用テント4を図に示された場所に設置して下さい途中経過・完了をリーダーに報告して下さい

5班 ブルーシートを利用してテント(一般者用)を設置して下さい
 ブランコ利用・藤棚を利用・樹木を利用・他
 途中経過・完了をリーダーに報告して下さい

6班 警備・資材調達用テント(今回なし)

7班 公園本部用テント(規定の班長・公園リーダー用。今回なし)

自治会役員や防災隊がいない設定で、カマドの設置やテント設営が進められた。当然、課題もあるが、なによりも一般住民の主体的な取り組みへの可能性への挑戦の意義は大きいと言える
自治会役員や防災隊がいない設定で、カマドの設置やテント設営が進められた。当然、課題もあるが、なによりも一般住民の主体的な取り組みへの可能性への挑戦の意義は大きいと言える

検討課題:

1:避難場所先着避難者が体調不良や災害弱者の場合
2:最先着者が暗証番号を知らない場合
3:無線機所持者が未着の場合
4:荒天時の設営対策
5:救護所の簡易検査・要配慮者の介護者有無
6:カマドの安全な設置場所(大風時の火災・危険防止対策)
7:トイレ組み立て使用方法・臭気・汚れ・衛生・防犯対策
8:調理時の衛生管理・食中毒防止

 今後、地域の防災訓練で「行動順序カード」のいわゆる「PDCA」(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Act=改善)を繰り返すことによってさらなる改善が図られ、自治会の責任者や自主防がいなくとも住民がわがこととして災害対応行動を主体的にとれるようになれば、自治会防災活動の大きな改革に通じることになりそうだ。

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