いきなり余談から入るのは恐縮だが、本記事大見出しにある「バックドアの学び」の“バックドア”を解説しておく。ここで言うバックドアとは、直訳すれば「裏口」または「勝手口」のこと。車の話ではなく、近年のIT分野のセキュリティ用語「不正侵入するための入口」でもない。むしろマイナー(マニアック)な野球用語で「打者の外角側のボールゾーンからストライクゾーンに変化する球を投げてストライクを取る投球」を意味する。要するに、ボールと思わせてストライクになるボールである……

 1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災から、この9月1日は99年だった。来年2023年9月1日には100年を迎え、多くの周年記念イベントや教訓をめぐる論考がメディアをにぎわすと思われるが、本紙はそれに先立ち、99年の年に特別の意味を加えて、もうひとつの視点から関東大震災を取り上げたい。
 2008年3月に公表された中央防災会議・災害教訓の継承に関する専門調査会報告書『1923 関東大震災』は、近代から現代に至るわが国の災害教訓としてもっとも重要な報告書のひとつだと言えるだろう……