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5月12日は「民生委員の日」
災害に備える民生委員のいま

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民生委員・児童委員は「地域の身近な相談役・支え役」
地域防災の活動家・防災士との“共創・協働”を考えたい
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 厚生労働省が本年1月、全国の民生委員・児童委員について2025年11月30日に3年間の任期が終了し、同年12月1日に一斉に改選(厚生労働大臣委嘱)されたことから、その結果を公表した。それによると、全国の定数24万971人に対し、22万880人を委嘱。改選時点の欠員数は2万91人で、欠員が初めて2万人を超える事態となっている。

厚生労働省:2025年度民生委員・児童委員の一斉改選結果を公表

P2 1 民生委員・児童委員について(厚労省資料より) - 5月12日は「民生委員の日」<br>〜災害にも備える民生委員~
民生委員・児童委員について(厚労省資料より)

 民生委員・児童委員は厚生労働相から委嘱される特別職の地方公務員。「地域の身近な相談役、支え役」として、主に福祉の分野で活動する。任期は3年。報酬はなく、年10数万円の活動費を支給される。子育て世代の相談を受ける児童委員も兼務し、委員は町村部では70〜200世帯、都市部で220〜440世帯を担当として受け持つ。
 少子高齢化が急速に進むわが国では、とくに高齢者の増加で「見守り・相談ニーズ」が拡大したことから、民生委員の定数は、この20年で約8000人増加している。いっぽう、委嘱者の数はほぼ横ばいで、充足率は2007年には97.9%だったが、徐々に低下、直近の充足率は91・7%、前回改選時(22年度)から2ポイント減って、戦後最低となった。

 この背景としては、企業の定年延長や地域コミュニティでの人間関係の希薄化などのため、民生委員の「担い手不足」が顕在化していることが考えられる。この課題について厚労省は「喫緊の課題で、自治体などとも協力して取り組んでいく」としている。ちなみに、厚労省によると、2022年時点での民生委員の年齢構成は70代以上が37%、60代が46%で、60歳未満の委員は全体の約2割。性別では男性が37.8%、女性が62.2%だった。

 本紙は、「福祉防災」の視点から、民生委員・児童委員の防災への貢献をこれまで何度か取り上げてきたが、5月12日が「民生委員・児童委員の日」として記念日登録され、また5月12日〜18日が同「活動強化週間」でもあり、本号で改めてその活動を取り上げる。
 なお、5月12日が記念日となった由来は、1917年5月12日の「岡山県済世顧問制度設置規程」の公布に遡る。現在の「民生委員」の名称は1946年の民生委員令公布が始まりだ。

P2 2 民生委員・児童委員の日(全民児連資料より) - 5月12日は「民生委員の日」<br>〜災害にも備える民生委員~
民生委員・児童委員の日(全民児連資料より)

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“一人も見逃さない”という志に殉じざるを得なかった民生委員が…
⇒「災害時要援護者の支援は地域ぐるみの取組みが必要」
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 全国の民生委員・児童委員約22万人で組織する全国民生委員児童委員連合会(以下、「全民児連」)は、2007年の民生委員制度創設90周年に際して、災害時要援護者支援に備える防災キャンペーン「民生委員・児童委員発 災害時一人も見逃さない運動」を提唱・展開し、地域防災と福祉の連携を担う一大勢力の浮上として防災関係者に注目された。
 国もこの運動を高く評価し、災害時の要援護者支援について「民生委員・児童委員との連携」を市町村に求めた。これを踏まえて全民児連は「災害時一人も見逃さない運動」を継続することとし、07年10月1日から2010年11月末日まで「第2次運動」を展開した。

 しかし、災害時の自らの安全確保が第一とされていたにもかかわらず、“一人も見逃さない”という志に殉じざるを得なかった民生委員がいた。そして、東日本大震災の発生で、56人の民生委員が犠牲になり、多くの民生委員も被災、民生委員の安全確保や災害時の委員の役割など、多くの課題が明らかになった。

 こうした課題を受け、全民児連は「民生委員・児童委員による災害時要援護者支援活動に関する指針」を2013年4月にとりまとめた。その後も全民児連は2019年3月、第3版となる「災害に備える民生委員・児童委員活動に関する指針」を策定。
 指針の名称が「災害時要援護者支援活動に関する指針」から「災害に備える民生委員・児童委員活動に関する指針」へと変更されたのは、「民生委員も地域住民のひとりであり、自らの安全が最優先」、「災害時要援護者の支援は委員だけが担うのではなく地域ぐるみの取組みが必要」、「災害時に円滑な対応を行うためには平常時の取組みが重要」という主旨に基づく。

P2 4 民生委員・児童委員による災害時要援護者支援活動に関する指針【改訂第4版】 - 5月12日は「民生委員の日」<br>〜災害にも備える民生委員~
民生委員・児童委員による災害時要援護者支援活動に関する指針【改訂第4版】

 2023年5月、全民児連は「災害に備える民生委員・児童委員活動に関する指針」第4次改訂版を策定。改訂第4版では、近年の災害対策法制の相次ぐ見直しへの対応とともに、相次ぐ自然災害に際して民生委員・児童委員の死傷事例が発生しており、その安全確保がなにより重要であることを改めて、次のように明確にしている。

 第一は、災害時、自らの安全が確保できない(=危険がある)状況においては民生委員・児童委員は活動を行わず、率先避難に努める。自らの安全が確保できてこそ、その後の長期にわたる避難、そして復旧・復興期において要援護者を支えることも可能となる。

 第二は、平常時における地域ぐるみの防災・減災への取組みこそが重要。高齢者等の災害時要援護者が増加するなか、発災時にこうした人びとの安全や避難行動の実効性を確保するには、一部の関係者の活動に負うのではなく、住民自身の互助が不可欠。

 第三は、地域特性に基づいた取組み方針の策定と、その過程での民児協会長の指導力の発揮への期待。

P2 3 「災害に備える民生委員・児童委員活動 10か条」 - 5月12日は「民生委員の日」<br>〜災害にも備える民生委員~
「災害に備える民生委員・児童委員活動 10か条」

全国民生委員児童委員連合会:災害に備える民生委員・児童委員活動に関する指針

 防災士のスローガンに、「助けられる人から助ける人へ」があるが、その意味は決して“スーパーパーソンたれ”、ではない。その前提として、「自助」(自分の命は自分で守る)があり、次に「共助」、そして「協働」があり、民生委員の今日の災害対応と呼応する。具体的なポイントも「災害に備える民生委員・児童委員活動10か条」(別画像参照)に呼応するようだ。
 日常的な地域防災活動における防災士と民生委員・児童委員の連携・協働、あるいは防災士の民生委員・児童委員の兼務などが大いに推奨されるところだ。

〈2026. 05. 07. by Bosai Plus

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