超簡易住宅=「インスタントハウス」は
空・海・陸経由輸送も可能 孤立解消にも
空き地を資産に変える高効率な空間ビジネスの素材としても注目
令和8年熊本地震で最大震度7を観測した同県氷川町に、2024年能登半島地震の被災地にも導入された簡易住宅「インスタントハウス」が建てられ、これを開発した名古屋工業大学の北川啓介教授も現地に駆けつけ、「被災者の方に一日でも早く、少しでも前向きになってもらえたら」と話しているという。「避難所で数カ月も暮らすのは過酷。仮設住宅に入居するまでの被災者の生活を守る必要がある」――


北川教授は東日本大震災をきっかけに2016年に「インスタントハウス」の開発に着手し、約5年半かけて完成させた。これまでに2023年のトルコ・シリア大地震の被災地やウクライナの戦地などで使われ、国内では2024年能登半島地震で初めて導入された。能登半島地震で被災地に設置した「インスタントハウス」の数は240棟にのぼっている。
「インスタントハウス」はモンゴルの移動式住居「ゲル」のような外観を持ち、高さ約4mの円すい形の屋根が陽光を透過するので、内部には温かみのある空間が広がる。その最大の特長は、どこでも短時間で快適な環境を構築できること。設置するには、送風機で防炎シートを膨らませ、内側に断熱材の発泡ウレタンを約4cmの厚さに吹き付けるだけ。
「インスタントハウス」は1人でも施工可能、早ければ約1時間で完成するまさに「超簡易住宅」だ。ペグなどで地面に固定すれば風速80m/秒にも耐え、発泡ウレタンが輻射熱を抑え快適な室内環境を実現する。被災地に設置するタイプの原価は30万円弱程度。
建築物ではないため、基本的にどこでも設置でき、さらに車などで移動可能な柔軟性(モビリティ)により、空き地を資産に変える高効率な空間ビジネスの素材としても注目されている。平時には、別棟の宿泊ブースや、ワークスペース・趣味部屋・プライベートジム、レンタルスペースにも使えるからだ。

さらに、25年9月に株式会社LIFULL ArchiTechが、株式会社ODCとドローンによるインスタントハウスの空輸送実験を実施し、運搬・設置に成功した。高い断熱性能を持つ居住空間を丸ごとドローンで運搬する試みは日本初で、これにより、災害発生時に孤立した集落などへ短時間で居住空間を提供することが可能になる。
そして、同年9月に富山県南砺市で行われた富山県総合防災訓練では、孤立集落への快適空間の提供を想定したドローンによる空輸送デモ飛行にインスタントハウスが使用され、その様子が公開されている。
LIFULL ArchiTech:ドローンによるインスタントハウスの空輸送の実証実験に成功【日本初】
〈2026. 08. 05. by Bosai Plus〉

