山火事は増えているのか
いま・これから、有効な対策はなにか
日本では山火事はどのくらい発生しているのか――現代の“雨乞い”を考える
● 消防機関・自衛隊等、1000人以上の態勢を維持して消火活動
岩手県大槌町で続く大規模林野火災は、乾燥と強風が重なった最悪の条件下で急拡大し、国内外で増える森林火災の象徴的事例となった。この林野火災は4月22日、大槌町小鎚地区と吉里吉里地区の2カ所でほぼ同時に発生、覚知時刻は小鎚が13時53分、吉里吉里が16時22分で、いずれも強風・乾燥注意報下だった。
火勢は急速に拡大し、4月28日6時00分時点で、小鎚地区約446ha(精査中)、吉里吉里地区約1187ha(精査中) が焼損、人的被害は、小鎚=軽傷2名(小鎚の避難所における転倒、消防団員の消火活動中の負傷)、建物被害=小鎚7棟(住家1棟・非住家6棟)、吉里吉里=1棟(非住家)、 避難指示等の発令状況=大槌町:避難指示1558世帯3257名。乾燥と地形の複雑さが鎮火を妨げている(総務省消防庁・第13報)。

消防機関等の活動状況(要員の交代等で実動員数等は異なる場合がある)は、
・4月22日:釜石大槌地区行政事務組合消防本部=15隊51名、大槌町、釜石市消防団= 20台96名、県内応援隊=7隊20名、岩手県防災ヘリ=1機 [*23日〜27日 中略]
・4月28日:釜石大槌地区行政事務組合消防本部=7隊28名、大槌町、釜石市消防団 10台81名、県内応援隊=25隊91名
*災害派遣要請を受けた自衛隊大型ヘリ6機、中型ヘリ3機、上空偵察、消火活動を実施
4月30日現在、延焼は食い止められているようだが、山林には依然として火が燃え上がるおそれがある熱源が点在していて、消防と自衛隊などは1000人以上の態勢を維持して消火活動を続けている。なお、避難指示は30日夕刻に全面解除となった模様。
総務省消防庁:岩手県大槌町の林野火災による被害及び 消防機関等の対応状況(第13報)
● 林野火災は増えているのか ― 国内外の傾向と背景、対策
日本国内の林野火災は長期的には減少傾向(左図参照)だが、焼損面積は気象条件により年ごとの変動が大きい。直近5年間の平均は年間1167件、焼損面積752ha(林野庁資料より)。出火原因の98.8〜99%は人的要因で、たき火・野焼き・タバコの不始末が中心。

いっぽう海外では増加傾向が顕著で、ハワイ・カナダ・欧州・豪州などで大規模火災が頻発。背景として「気候変動による高温化・乾燥化」、「降水量減少による森林の水分低下」、「強風の増加」などが挙げられている(JAMSTEC資料より)。


○ 現在の林野火災対策 ― 予防・監視・消火技術
日本では総務省消防庁・林野庁が共同で「林野火災特別地域対策事業」を展開、「巡視・監視強化」、「林道整備」、「消防施設整備」などを進めている。テクノロジーの活用面では、「ドローン監視」、「赤外線カメラで熱源を検知」、「夜間監視が可能」など。
○ 将来的な対策としては――「遠隔操作消火ロボット」(高温地帯へ無人で進入し放水)、「海水利用型消火システム」(沿岸部の大規模火災に有効)、「AI延焼シミュレーション」(風向・地形・植生から延焼予測)などが想定される。
さらに将来の防災DX的なシステムとして、
①AI森林バイタル監視網(衛星・地上センサーで森林の水分量を常時監視、危険度を自動判定して地域に警報を発信)、
②自動初期消火ドローン群(発火直後にAIが検知し、ドローンが自動出動、小規模火災を“数分以内”に制圧)、
③超耐熱ゲル散布システム(山林に薄く散布し、延焼速度を大幅に低下、消防隊の安全確保にも寄与)、
④地形適応型AI散水計画(風向・斜面・植生を解析し、最適な散水パターンを自動生成)、
⑤スマート林業×防火ネットワーク(森林管理データと防災データを統合、“燃えにくい森づくり”を自動化)などが考えられる。
連日の消防機関・消防団、自衛隊による懸命な消防活動が延焼防止に大きな力となっていることは事実だが、本紙の異次元の視点として、今回の大槌町の住民の切なる願いとしての“雨乞い”の声が多く聞かれたことにメッセージ性を感じた。事実、4月29日のこの一帯での降雨が延焼を食い止めることに一定の効果が認められたようだ。
被災当事者である住民の“切なる雨乞い”が“準消防活動”として、あるいは“教訓として残すべき祈り”として催行されてもいいのでは、と感じた次第……
〈2026. 05. 01. by Bosai Plus〉
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